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第三話 ①

ここから第三話~

少しでも笑って頂けると嬉しいです~

第三話


   1


「いや、まさかレズ映画見ることになるとは……」

「感動したじゃない。あと、百合と言いなさい」

 教室で向かい合って弁当を食べながら、先日観た映画の話をしている。

 もちろん、君塚と。

「女子高でステキなお姉さまと出会い、切ない恋に落ちる……美しい世界ね」

「そうっすか……」

 適当に相槌を打つ。

「それにしても……」

 君塚が少し怪訝な表情をする。

「須藤君。変わったわよね」

「え?」

 どこらへんが? 前と全く変わらないと思うんだけど……

「前のあなたなら、きっと教室の中央の座席で百合映画の話なんて絶対しないだろうなって……」

「あー……確かに」

 言われてみればそうだ。

「それに、クラスの変人と呼ばれる私と一緒にお弁当なんて、絶対にしないと思うわ」

 確かに、君塚の言うとおりかもしれない。けれど……

「俺は別に、君塚のこと変人だとは思わないけどな」

「……え?」

「確かに変わってるところはあるけど……一緒にいて楽しいからさ」

「……私と?」

「ああ。例え俺たちが一緒にいることを笑うヤツがいたとしても、一緒にいたら楽しいって気持ちが上回る。それだけだよ」

「……とんだ物好きね」

 そう言って君塚はふいと顔をそむけた。


   2


「ちょっと解」

 放課後、机の上に鞄を置いて帰り支度をしていると、三谷に話しかけられた。

「なんだ?」

「あんた最近さ、お弁当君塚さんと食べてるわよね?」

「ああ。食べてるよ」

「なんで?」

「なんでって……むしろ、どうしてそんなこと知りたいんだよ?」

 三谷には昔から、俺の個人的な部分まで知ろうとして詮索してくる癖があった。

 今回もまたその癖だ。少し煩わしく思い、適当に返事をする。

「そ、それは……」

 三谷は顔を赤くする。

「わ、私には、解の監視者として、解と君塚さんの関係を知る権利……いえ、義務があるの!」

「義務ってなんだよ!?」

「いいから答えなさい! あんた達、どんな関係なの!?」

 さっきから気になっていたが、なぜ関係という言葉を妙に強調する? 俺と君塚の関係が三谷にとってそんなに重要なのか?

「その質問にはワタシがお答えしまショウ!」

 俺が疑問を感じて少し黙っている間に、いつの間にかサンストーンさんが俺と三谷の間に割り込んで来た。

「うわっ! サンストーンちゃんったら急にびっくりするわよ!」

 三谷が声を上げる。

「スミマセン。でも、三谷サンの知りたい答え、ワタシは知っていますよ?」

「本当に!? でも、どうしてサンストーンちゃんが?」

 三谷の問いに対し、サンストーンさんは「ふふふ……」と不敵な笑みを浮かべる。

「なぜなら! 君塚サンと須藤サンとワタシは、特別な関係だからデス!」

「と、特別!?」

 サンストーンさんの言葉に三谷は過剰に驚き声を裏返す。

「ハイ! そりゃあもう特別も特別デス! なんたってワタシたちは誓いを契った仲デスので!」

「ち、誓いまで済ませせちゃってるの!?」

 誓いというのはキングダム王国体操のことだろう。前に王国民になる誓いだとか言っていたし。

「籍も入れまシタよね~」

「籍まで入れたの!?」

 籍。国籍のことだろう。誓うだけで国民となれるため、手続きとかはしてないけれど。

 三谷は「ま、まさかそこまでの関係だったなんて……」とか呟き、かなり動揺しているようだ。

「ってゆーか、三人で籍とか入れられるの!? そんなのが認められるわけが――」

「できマスよ?」

「そんなの法律違反じゃない!」

「うーん……日本の法律は詳しくないのデスが、キングダム王国では認められていマス!」

「うっそぉぉぉぉ! 嘘でしょ!? ねぇ嘘でしょ!?」

 大げさに叫ぶ君塚。というか、別に日本の法律でも三人同時に国民になることは禁止されていないだろ。

「全部事実デス! ね、須藤サン?」

 サンストーンさんは相変わらずの元気な笑顔で俺の方に振り向いた。

「ああ。おおよそ本当だな」

 それといって嘘はないので俺も頷く。すると……

「うgldl@fz¥sj#HFぃえw<!?!?」

 三谷が声にならない悲鳴を上げた。

「お、おい三谷。大丈夫か? さっきから様子が変だぞ……」

「誰のせいだと思ってるのよ!?」

 むしろ本当に誰のせいかわからないんだけど……

「ま、まぁ済んだことは仕方ないわ……問題はこれからのことよ……」

 ぜーぜーと肩で息をしながら三谷は呟く。

「あ、あんたたち、どこまで済ませたの……?」

「どこまでって何をだよ?」

「そ、それは……」

 妙に頬を赤らめ、もじもじし始める三谷。

「そ、そーいう事をどこまで済ませたのかって聞いてるの!?」

 真っ赤な顔で叫んでくる。けれど、そーいう事ってどういう事なのか全く分からない。

「第十一番なら済ませまシタよ」

 サンストーンさんが勝手に答えた。

「第十一番って何よ!?」

 キングダム王国体操第十一番のことだろう。前にサンストーンさんの家でやったけれど、それが三谷の聞きたいことなのだろうか?

「狭い部屋で三人、はぁはぁと呼吸を荒くながら運動をしまシタ!」

「それ完全に最後までヤっちゃってるじゃん!!!」

 確かに、深呼吸ばかりの意味不明な体操だったな。

「私の初めては解が、解の初めては私が貰う予定だったのに……!」

 露骨に項垂れる三谷。

「解のバカぁぁぁぁぁぁ!」

 そう言って三谷は自分の荷物も持たずに走り去って行ってしまった。

「三谷のやつ、なんだったんだ……?」


   3


「それはそうと須藤サン!」

 三谷が走り去った後、わけがわからず茫然とする俺に、サンストーンさんが声をかけて

きた。

「なんだ?」

「生徒会からお呼び出しなのデスよ!」

「……え? 俺が?」

「ハイ! 正確にはワタシと君塚サンもデスが」

 サンストーンさんは相変わらずの明るい口調だが、俺は少し不安を感じてしまう。

 生徒会に呼び出し? どういうことだろう。

 特に問題行為をした覚えはないけれど……

「というか、なんで君塚とサンストーンさんも?」

「行けばわかりマスよ!」

 そう言って強引に俺の手を引き、生徒会室へ連行するのだった。







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