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第二話 ②

   3


「はぁ……」

 放課後、一人ため息を吐きながら教室を出て廊下を降りる。

 結局今日も君塚に話しかけられなかった。

 まぁ……今日は転校生のこともあってガヤガヤしていたし、仕方ないな。また明日頑張ればいいんだ。うん。

「って、それは関係ないだろ……」

 自分で自分の言い訳に指摘をする。なんだかノリツッコミみたいで非常にダサい。

「カイ!」

 うじうじする気分を引き連れながら廊下の角を曲がる時、俺の名を呼ぶ声がした。

「……誰だ?」

 振り返るとミスト・サンストーンさん……うちのクラスの金髪美少女転校生がいた。

「カイって……俺のこと?」

「そうデス!」

 そりゃあ、確かに俺の名前は須藤解だが……どうして知っているんだ?

 実は過去に一度会っていたとかいうラブコメ的展開でもあるのか?

「カイはワタシのペットの名前デス! クラスの名簿で須藤サンの名前を見た時、この人とならお友達になれる! そう思いまシタ!」

「そ、そうなんだ……」

「運命デス!」

 一歩後ろに下がり距離を取る俺に対し、三歩前に進み距離を詰めてくるサンストーンさん。

 たじろく俺。しかし、そんなことは全く気にしないという風に、にっこりとほほ笑んで言う。

「突然ですが、キングダム王国民になりまセンか?」

 …………………………は?

 突然の提案に固唾を飲んでしまう。

「それは……あれか? 某声優のファンになれってことかな?」

「違いマス!」

 首をぶんぶん振って否定する。

「言葉のとおり、キングダム王国の王国民になってほしいのデス!」

 言葉のとおりと言われても、正直怪しい以外に何も感じない。

 ここはやんわりと断っておくのが吉だろう。

「い、いやぁ~、俺もう日本国民で間に合ってるし……そういうのはちょっと……」

「じゃあ、特典を付けマス!」

「特典?」

 つか、特典を付けてまで人口を増やす必要があるのか? 意味不明な国だな。

「国王との握手券デス!」

「いらねぇよ! なんでCDみたいな売り方してるんだよ!」

「えぇ~、じゃあ国王ファミリーのイベント優先券も付けマス!」

「お前んとこの王家何者なんだよ! アイドルなのか!?」

 この王国、ちょっと軽いノリで国家運営しすぎなんじゃないか?

「悪いけど……もう帰るからな……」

 俺はサンストーンさんに背を向ける。そのまま歩き出そうとした時、今度は俺の手を強引に掴んで来た。

「でも、王国民にはなって頂けるのデスよね?」

「ならないよ!? 今の会話でどうしていけると思ったんだよ!?」

 俺の言葉に対し、心底疑問という顔をする。疑問なのはこっちだよ……

「と、とにかく! 王国民にはならないから!」

 強引な勧誘に辟易としつつ、それだけ言ってサンストーンさんの手を振りほどこうとする。けれど、強く握られていて全く離してくれる気配はない。

「わかりまシタ……」

「わかったならこの手を……」

「こうなったら、今からワタシの家に来てくだサイ! たっぷり王国民の魅力をお教えしマス!」

「……え? ちょっ! 痛い痛い!」

 サンストーンさんは俺の手をこれでもかという力で引っ張る。女子の力とは思えない。キングダム王国民は力が強い国民なのか!?

「いたたたた! 行く! 行くから離してくれ!」

「本当デスか?」

「本当!」

「じゃあ、お友達も誘ってくだサイ!」

「友達!?」

「ハイ! 一人につき王家ブロマイドSR2枚進呈デス!」

「なにその友人紹介キャンペーンみたいなやつ!?」

「あてはありマスか!?」

「ある! 一人ある!!」

「なら、さっそくお誘いしまショウ!」

 笑顔でそう言い、俺の手を放す。あぁ、結局行くことになってしまった……

 なんて強引なヤツなんだと思うと同時に、その強引さを羨ましくも思った。

 俺もこれくらい良い意味で図々しくなれればいいのに。そうすれば、君塚に話しかけられないと言ってウジウジ悩まなくても済む。

 まぁでも、きっかけは掴めた。これで君塚と会話する大義名分が出来上がった。


   4


 友人候補とは、当然君塚である。

 いったんサンストーンさんと共に教室に戻ると、放課後だというのに座席でラノベを読む君塚を見つけた。

 こんな王国民の誘いなどという怪しげなことに他人を巻き込むのは心もとないが、俺の望んだ形ではないにしろ、君塚と自然に会話するきっかけをつかめたのだ。それはまぁ……よしとしよう。

 ことのあらましを君塚に話す。

「……ってことなんだけど、一緒にサンストーンさんの家に行かないか?」

「行くわ」

「即答!?」

 正直断られるだろうなぁと思っていたので驚きだ。

「来てくれるのデスか! 嬉しいデス!」

 両手を挙げ、跳ね回って喜ぶサンストーンさん。

「ええ。前々からキングダム王国民になるということに、興味を持っていたのよ……」

「ほんとに!?」

 俺なんてキングダム王国とかいう国さえ知らなかったぞ……?

「当然よ。あわよくば、国王になってやろうとさえ考えているわ」

「野望でかいな! てか外部の人間がなれんの!?」

「なれマスよ? 基本的に国王の選出は、オセロか、ドッジボールか、ポ○モンで決めてマスので!」

「軽っ! 小学生かよっ!」

 その言葉を聞き、君塚は「努力値振らないと……」とか呟いている。国王の座を本気で狙うようだ。

「では! さっそく参りまショウ! ワタシの家へ!」

 サンストーンさんは拳を天井に突き上げ、大きな声で言い放つ。


誰か見てくれてる方がいらっしゃるのだろうか……

ヒジョーに不安になってきた><


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