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「生まれた意味と生きる意味」

この短編は細かい描写や固有名詞を避けています。わかりづらかったらごめんなさい。

また作者がこんな内容のストーリーがあったらいいなぁ~という願望で、映画の予告のような感じで話が進みます。しかも短いです。

細かい描写や内容が好きな方は遠慮したほうがいいかもしれません。

短編「生まれた事と生きる事」



ピー・・ピー・・ピー



「順調だな。今まで幾つもの失敗を重ねてきたが、これは成功するだろう」

「各部チェック・・・・異常なし。順調です」

「うむ、注意を怠るなよ。ここで失敗してはもう後が無いのだからな」


それはとある研究所での出来事。

嵐の日に、運命は産声をあげる・・・・



ビー!ビー!ビー!



「どうした!何が起こった!」

「落雷の影響で、システムに異常が!」

「なんだと!?ちっ!こんなときに!」

「所長!大変です!」

「どうした!?」

「サンプルが目を覚ましました!成功です!」

「何!?」


部屋の中心のカプセルに浮かぶ少女が目を覚ます。薄いグリーンの液体の中でもはっきりとわかる黒髪黒目。綺麗というよりはまだ幼い顔立ち。見た目は5、6歳にしか見えない普通の少女だった・・・・


ガガーン!ガガガガ!


「所長大変です!落雷があたりに降り注ぎ研究所が崩壊し始めています!」

「なんだと!?一体どうして・・・・・・まさか!・・・・」


所長と呼ばれる男の視線の先にいたのはカプセルの中に浮かぶ少女だった・・・・



そして・・・・


「ワタシは・・・・・なに?」


研究所は完全に崩壊し、残ったのは傷跡1つ無い少女だけだった・・・





数年後・・・・


研究所が崩壊したあと、少女はそこを立ち去った。その後、とある組織がその瓦礫の山を調べ研究内容を解析したことで少女の存在がばれてしまう。そして、その組織は世界規模で少女を賞金首にした。なぜなら、その研究所で行われていたのは人の形をした生態兵器の開発であり、少女は究極の戦闘生命体として開発されていたのだから・・・・


一方で少女は普通ではあり得ない速度の成長を遂げ、あらかじめインプットされていた物事に対する常識を理解していった。同時に、自分の力の恐ろしさを理解してしまう。素体が女性だったことが幸いしたのか、女性は心優しく、力を振るうことを恐れるようになった。そして人知れず森の中で生きるようになる。


数年間は平穏な暮らしをすることができたが、とある人間に見つかってしまうことで、運命が動き出す・・・・


「あの賞金首がこんなところにいやがったのか!おい!組織に連絡しろ、見つけたぞ!」

「いや!こないでぇぇぇ!」


女性は追ってくる賞金稼ぎや組織の追っ手をなんとか撃退しながら逃げ延びていった。しかし、逃げるにつれ賞金が上がっていき、撃退するにつれ力が増していった。



「こんな力・・・いらない・・・」


逃げる彼女を賞金稼ぎたちは追い詰めていった。





そして、女性が世界に絶望しそうになった時、転機は訪れる・・・・・


「あ~、俺はあんたの味方だ」

「・・・・え?」


1人の青年が彼女を化け物ではなく女性として話しかけてきた。


「とりあえずさ、友達にならないか?」


彼は世界最強と謳われた魔導師であり賞金稼ぎでもあった。

女性は青年との出会いにより少しずつ心を開いていく・・・・


2人が一緒に行動するようになってから、女性に対する世間の評価が徐々に変わっていった。女性は力を振るうことに恐れを抱き、青年が彼女を守っていたのだから。少しの平穏だったが、女性は幸せだった。しかし、それは長くは続かない。





「初めまして、お姉様」

「え?貴方は誰?」


妹を名乗る女の子、彼女は女性のデータを元に作られた戦闘生命体だった。彼女は女性を同胞として迎えに来たと言う。しかし、女性はそれを断る。既に人並みではないにしろ十分な幸せを感じている彼女には戦うつもりはなかった。


「私達は所詮戦うために生まれた。それはお姉様も同じです」

「私はこの力が嫌いなの。戦うことしかできない、破壊することしかできない力だから・・・・」

「・・・・今は何を言っても無駄みたいですね。少し悲しいですが、また後で迎えに来ます。その時は色よい返事が聞ければ幸いです」


そして、世界は終焉へ向けて動き出していく・・・・




女性を作った組織が、そのデータを元に次々に戦闘生命体を研究、そして量産していった。しかし、その組織は早々に崩壊してしまう。戦闘生命体のリーダー格が組織に対し反旗を翻したのだ。組織の崩壊後、量産された戦闘生命体を纏め上げ新しい組織を設立する。そのまま量産も続行することにより数を増やして行き・・・・


「我々は、人間によって生み出された究極の生命体である!そしてそれはこの身をもってそれを証明しよう!我が組織は人間に対して独立を宣言するとともに!生存かけて、宣戦布告をする!」


人間対戦闘生命体の生存競争がここに始まった。当初、数で圧倒する人間側が圧勝すると思われていた。しかし、戦闘生命体側の圧倒的な身体能力と特殊能力、驕りの無い緻密な戦略によって、人間側はことごとく敗走していった。


「どうして・・・どうしてそんな酷い事ができるの!?」

「我々は人間ではないのですよ?人間だって家畜を平気で殺せるでしょう、それと同じです」

「わからない・・・私たちは確かに人間じゃないかもしれない。けど・・・同じ『人』じゃないの?」



女性は自分の存在に悩む、しかし、明確な答えが出ないまま時は過ぎていく。

そして、人間側は有効な対策をとる事ができず、数を減らしていった。その脅威は女性の周りにも近づいていく。


「俺は戦うよ、これ以上やつ等を野放しにしておくわけにはいかないからな。君はここにいてくれ、戦いは嫌いだろう?」

「ありがとう・・・・でも、私も戦う。戦いは好きじゃないし、この力だって嫌い。でも、私の事を友達だって、仲間だって言ってくれた人達を助けたいの。これ以上、傷ついて欲しくない!」


女性は戦うことを決意する。そして、それを機に人間側が徐々に盛り返していく。


「何故お姉様は敵なのですか?私達は同胞なのではないのですか!?私達は戦うために生まれたはずでしょう!?」

「私達は確かに戦闘生命体として生み出された。生まれた意味は戦うことなんだと思う、そこは否定しないよ。でもね・・・生きる意味は別でもいいんじゃないかな?」

「生きる・・・意味?」


女性は戦うことを選んだが、それは『人』として生きるために戦うことを選んだのだった。一方戦況を互角にした人間側であったが、戦闘生命体側も黙ってやられていたわけではなかった。彼らは独自の兵器を生み出し、人間たちを圧倒し始めたのだ。


「くははははは!人間など敵ではないわ!」

「ちっ!あの化け物め・・・・どんどん人間を取り込んでいくぞ・・・・」

「もうやめて!これ以上悲しみを増やさないで!」


しかし、その兵器はあまりにも殺すことに特化し過ぎていた。その制御が利かなくなるほどに・・・


「まずい、向こう側は壊滅状態だが人間側もすでに戦える状況じゃない・・・」

「多くの人間を飲み込み、その負の感情を取り込んでしまったのか。我々はとんでもない化け物を生み出してしまった・・・」

「協力するぞ!このままいけばお互い共倒れだ!いがみ合いはあいつを倒したあとにしろ!」

「私達は同じ『人』なんです。同じ大切な人を持ち、守るために戦いましょう!」


女性と青年のおかげでなんとか協力体制が整う。そして人間でも戦闘生命体でもなく、『人』が生き残るための戦いが始まる。




「ワタシハ、全ての平穏ノ為にスベテヲ破壊する。そのためにウマレタのだ」

「そんなことは絶対にさせない!」


正真正銘化け物と化した兵器に対して絶望的な戦いを挑む彼女達だった。しかし、決して希望を捨てずにいた彼女たちはなんとか兵器を停止させた・・・・かのように思えたのだが。



「ハハははアアはあはあはアハハは嗚呼・・・・ただではホロバナイ・・・・全テの絶望ヲこの世ニ・・・・我が身ヲ爆発させれば世界に冬ガクルダロウ。白いヘイオンが世界を覆イ尽くスノダ」

「まずい!あの核を破壊しないと・・・」

「動かないで!貴方の傷は深いのよ」

「あれを破壊しないと、ここも吹っ飛ぶんだ!なんとかするしかないだろう!」

「それは、私がやる」


女性に迷いはない。自分を助けてくれた大事な人と世界を守れるのだから。女性はふいにあることを思いつき場違いではあったが、ほんの少し嬉しそうに苦笑してしまう。


「??何を笑って・・・」

「私ね、この力が嫌いだった。貴方に会ってからもたまに思ってた、『何故私にはこんな力があるのか?』ってね。普通に生きている人が羨ましかった。こんな力なんてあっても結局戦いを呼び込んじゃうんだって・・・・でもね、今は・・・ちょっとだけ違う。この力のおかげで貴方を守れる、皆を守れる、そんな自分が誇らしくなったんだけど、嫌っていたものを自分の都合でいきなり好きになるっていうのも無責任かな?って笑っちゃって」

「・・・・でも、危険だよ。それにこういう時はいつも俺がやっただろう?」

「大丈夫、核は私が破壊します。私の力の全てを懸けて・・・・・」


自分が力を持って生まれたのは、きっとこの瞬間のためなんじゃないか?そう確信しそうになるくらい女性は自信に満ちていた。でも、直ぐに考え直す。本当にそうかもしれないし、違うかもしれない。結局、何のために生まれて、何のために生きるのかは自分で決めればいいのだから。


そして、女性は核の前に立つと今まで制限していた力を全て引き出す。それは女性にとって、最初で最後の本気の一撃であった。


「はああああああああああああああああ!!!!!」



核を破壊するとそこから光が漏れ出し、やがて兵器全体が光に包まれて世界を照らしていった。新しい世界を歓迎するかのように。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


半分ノリで書いたような作品ではありますが、こういう話は結構好きですね。

こんな話も面白そうだよねと、少しでも思っていただければ幸いです。


できれば連載で書きたいのですが・・・・正直書ききれる自信は全くありませんので、短編で終わりにしておきます。


ではでは、ありがとうございました。



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