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新たなる世界へ  作者: パルス
第1章

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第45話 「終幕、そして次の戦いへ」


扉の前で、全員の呼吸が揃う。外周の喧騒は遠い。ここから先は別の領域だ。リックが短く言う。「ここで終わらせる」リリアが笑う。「任せな」エレノアが視線を細める。「最短で制圧します」セレスティアが頷く。「支援、途切れさせません」


扉が開く。冷たい空気が流れ込む。最奥は静かだった。広い空間の中央、魔力が集束している。人の形を取った“核”。結社の中枢、その意思がそこにある。


「遅かったな」


声が響く。揺らぎのない圧。だが過剰ではない。制御されている。


リックは一歩も引かない。「終わりだ」


空気が切り替わる。


先に動いたのは敵だった。床面を走る線が発光し、空間ごと切り分けるような斬撃が走る。範囲が広い。回避だけでは間に合わない。


「前、任せて!」


リリアが踏み込む。斬撃の間に身体を差し込み、角度をずらして受け流す。完全に止めない。流して通す。その一瞬に、エレノアの矢が重なる。「右、空きます」風を乗せて軌道を曲げ、敵の視線を奪う。セレスティアの光が遅れず追いつく。「維持します」


核が手を上げる。空間が歪み、複数の“像”が生まれる。実体と虚像が混じる。数で圧すつもりだ。


「面倒だな」


リックが即座に判断する。「本体は中央、遅延は左。削れ」


エレノアが頷く。「了解」矢を細く速く、結界の縁を裂いて内部へ滑り込ませる。虚像は散るが、本体の反応がわずかに遅れる。


「そこ!」


リリアが踏み込む。正面を叩くのではなく、半身で流し、軸を崩す。打撃の“通り道”を断つ。核の動きが一瞬止まる。


だが反撃は速い。床が割れ、束縛のような魔力が足元を絡め取る。


「来る!」


セレスティアの光が先に走る。拘束を焼き切る。「動けます!」


リックが重ねる。「押すな、削れ。間を空けるな」


短い連携。間断なく圧をかけ続ける。回復と再構築の“隙間”を与えない。


核が形を変える。腕が増え、同時に攻撃が来る。多方向。だがリリアは下がらない。「まとめて来い!」踏み込みのリズムを崩し、相手の同時性を分解する。順番にさせる。その一瞬に、エレノアが射抜く。


「通します」


矢が中央へ届く。風が一点に収束し、魔力の芯を擦る。


リックが言う。「もう一度」


リリアが笑う。「いいよ、最後ね」


踏み込み、半歩のズレで正面を外し、横から入る。打撃が通る。セレスティアの光が重なり、崩れを固定する。エレノアが続ける。


「今です」


三つが噛み合う。


音が遅れて届く。中心が裂ける。核の揺らぎが乱れ、形が保てなくなる。


「――――」


言葉にならない声が、空間に散る。


リックが短く告げる。「終わりだ」


最後の一撃が通る。核が崩れる。


静寂。


次の瞬間、結社の構造が軋む。壁がひび割れ、魔力の流れが断たれる。上階から崩落の音。外周の気配が一斉に軽くなる。


「……終わった?」


リリアが息を吐く。


リックは首を振る。「違う」


その一言で、空気が変わる。


洞窟の気配が、はっきりと届く。


(来ている)


猶予は終わった。


「戻る。最短で」


全員が頷く。余計な確認はない。動く。


崩れ始めた通路を抜け、最短経路で戻る。外周ではギルド長が最後の残敵を押さえている。視線が一瞬だけ交わる。言葉はない。だが十分だ。


洞窟へ。


湿った空気、閉じた空間。静寂が張り付く。


そこに、立っている。


「終わったな」


カインが笑う。


軽い声。だが重い。


リリアが一歩出る。「……あんた、待ってたの?」


「約束だろ」


肩をすくめる。


エレノアが低く言う。「圧が違います」


セレスティアの光がわずかに揺れる。「これが……」


ルナとシルヴィアはすでに配置についている。逃げ場はない。ここは迎撃のための場所だ。


リックが前に出る。


「……ああ、終わった」


短く返す。


カインが楽しそうに目を細める。「じゃあ、次だな」


空気が変わる。洞窟の壁がわずかに軋む。何もしていないのに、圧だけで環境が歪む。


リックは言う。


「ここからが本番だ」


誰も否定しない。


戦場は一つに収束する。


静寂の中で、次の戦いが始まろうとしていた。

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