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幸せもの同士のホワイトデー

作者: 雪月フィア
掲載日:2026/03/15

「どうしよ~……」

 ホワイトデー前日の夜。ベッドに座りながらスマホとにらめっこして、彼氏にお返しするものを考えている。毎年贈っているから、段々とネタ切れになってきてて……。今年は彼が新しいお菓子に挑戦してくれたから、せっかくだし私もなにか挑戦しようかなぁ……。

「でも、なにがいいんだろ~……」

 普段お菓子作りどころか料理もほとんどしないから、なるべく簡単なものがいいんだけど、どれくらいが簡単なのかよくわからない。簡単! とか初心者におすすめ! とか書いてあっても、見てみると難しそうなものも結構あるし……。それに、当然だけど調理器具もほとんどないから、より狭まってしまう。百均でも揃ったりするのかなぁ……。


 悩むこと小一時間。気が付いたら時計の針は零時を超えていて、ホワイトデー当日になっちゃってた。時間が経つのあっという間すぎるよ。

「あ、これなら出来そうかも……」

 そこにあったのはトースターで作れるクッキー。必要な材料も調理器具もほとんどないから、わたしでも失敗せずに作れそうかなって思える。

 たださすがに今から作る、ってわけにもいかないから、買わなくちゃいけないものだけメモをして、ひとまず寝ることにした。寝すぎたりしないようにしなきゃね。会いに行くのに遅刻したくもないから。


 うるさく鳴るスマホをもそもそと止める。まだまだ眠くて寝たりないけど、これ以上寝ると時間が足りなくなっちゃうから、頑張って起きることにした。

 眠い目をこすりながら顔を洗いに行って、買い物に行く準備をする。出ようとした所でメモを忘れそうになって慌てて取りに戻ったりもした。けど、なんとか必要なものはちゃんと買えた。多分。

「よーし……やろう……」

 ゆっくりしちゃう前に終わらせてしまおう。どれくらいかかるかわからないし、書いてある以上に時間かけちゃいそうな気がするし。

 失敗しないようにちゃんと量って、袋で混ぜたりとかしながらこれでも簡単な方なんだなぁ……と考えてた。ら、途中で手を滑らせそうになった。危ない、考え事しながらだと危ない……。


「これで完成~かな?」

 焼きあがったクッキーを見て独り言をつぶやく。味見は~……ちょっと冷ましてからの方がいいのかな? 火傷しちゃうかもだしね。この間に使ったもの片付けないと……片付けもしないといけないなんて大変だなぁ。調理器具ほとんど使ってなくてこれなのに、毎年……いや、自炊もしてるみたいだからほぼ毎日なのかな? 色々やってる彼はすごいなぁ。

 なんとか片づけを終えてクッキーをひとつ摘まんでみる。うーん……美味しいの、かなぁ……? よくわからないかも。彼が作ってくれたやつはもっと美味しかった記憶あるけどなぁ……。作り方の違いもあるんだろうけど……。

 でもこれ以外の用意なんてないから、仕方がなくラッピングをしてしまう。ラッピングは中々綺麗に出来た気がする、可愛い。

 っとと、早く準備して向かわないと! 彼の事待たせちゃう。バタバタと準備をして彼の家へと急いで向かう。


 なんとか時間までに彼の家に辿り着いた。ちょっと走ったから軽く息を整えて、それからインターフォンを鳴らす。するとすぐに扉が開いて、彼が出迎えてくれた。

「いらっしゃい。今日も寒かったんじゃないか? ほら、あがって」

「そうなの~そろそろあったかくなると思ったのに~。おじゃましま~す」

 いつ来ても綺麗に掃除しててすごいなぁ、って考えながらいつものようにコートをハンガーにかける。そして鞄からクッキーを取り出して彼に渡す。

「ハッピーホワイトデー!」

「お、ありがとう。クッキーいいなぁ……ん……? もしかして、これ手作りか……?」

「え、そうだけど~……なんでわかったの?」

「ラッピングの仕方と言うか、センス? あんた、こういうの好きだから」

「えへへ~……確かに好きだけど。それでバレちゃうって嬉しいような恥ずかしいような~……」

「何年一緒にいると思ってるんだよ。それじゃあ紅茶淹れてくるから、待ってて」

「はーい」

 そっか、ラッピングだけでわかっちゃうんだ。ほんとわたしの事よく見てくれてるな~。ま、わたしも彼のことよく見てるから、お互いさまかもだけど。

「おまたせ。んじゃ、早速食べさせてもらうかな」

「味の保証はしないからね~?」

「なんで美味いって食べる自信だけはあるけどな。んじゃ、いただきます」

「ど、どうかな……?」

「ん、すげぇ美味いよ! 結構ほろほろでいい感じだなぁ」

「ほ、ほんと……?」

「ほんとほんと。つか、嘘ついても仕方がないだろ?」

「それもそうだけど~」

 その後も彼は美味しいって言いながら幸せそうに食べてくれてる。こうして食べてくれるって、こんなに嬉しいんだなぁ。彼がわたしに色々作ってくれちゃう気持ちもわかるかも。

 その様子を見ながら、わたしも持ってきた自分の分を食べる。なんだか家で味見した時より美味しいかも? 彼と一緒に食べてるからかなぁ? 彼が淹れてくれた紅茶が美味しいからって言うのもあるかもだけど。


「はぁ……ごちそうさまでした」

「お粗末さまでした?」

「本当にうまかった。それにあんたから手作りのお菓子もらえるなんてなぁ……」

「そんなに嬉しかったの~?」

「嬉しいに決まってるだろ。彼女からの手作りなんだから」

「えへへ、そっか~」

 嬉しいならよかったなぁ。彼が喜んでくれたのなら、頑張った甲斐あるかも。

「そうだ。せっかくだし来年は一緒に作らないか?」

「一緒に?」

「そう。そしたら楽しそうだし。もちろん、あんたが興味あるならだけど……」

 今回お菓子作りしてみて、結構大変ではあったけど楽しくはあったし、興味は結構ある方だとは思う。それに、彼と一緒ならきっと楽しめるだろうし、わたしの答えはひとつだけ。

「わ、それいいかもっ。バレンタインもホワイトデーも、一緒に作れたらもっと幸せになっちゃいそうだね~」

「はは、確かにそうかもな。楽しいし幸せだし、しかも美味しいし。いいこと尽くめだな」

「んふふ……なんだか今から楽しみになってきちゃったかも」

「気が早すぎるだろ。気持ちはわからなくもないけどな」

「そんな風に言って~君も楽しみになってきてるんじゃない?」

「バレたか……」

 少し照れくさそうにそう言う彼がすごく可愛い。普段はかっこよくてかなり頼りになるんだけど、こう言う時はすごく可愛くて好き。ギャップ……ってやつなのかな?

「あ、でもせっかくやるなら来年だけじゃなくて、毎年やりたいよな」

「わたしはいいけど~……君は大変じゃない? 普段料理しないわたしと一緒にやるんだよ~?」

「あんたと一緒にする事で、大変なことなんてないから大丈夫だよ」

「そっかぁ~」

 そんな風に言われると、今度は私が照れちゃう。もう、そういう事さらっと言っちゃうんだから。そういう所も好きなんだけどね~。


 今日もバレンタインと同じでこのままお泊まりだから、のんびり話を続ける。こういう時間がすごく好きで、いつまでも続けばいいなって思っちゃう。そろそろ同棲の提案とかしたいなって思いつつも、もう少し色々落ち着いてというか、社会人になってからの方がいいのかな、なんて。学生のうちに焦ってすることじゃないもんね。こういう素敵な時間をいっぱい過ごしながら、いつかそういうお誘いも出来たらいいな。

 まだ夜にもならない時間。今日だけでも時間はいっぱいあるから、ひとまず今この時間をしっかり楽しんじゃおう。

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