黄色い自転車2
茶柱、囮、ドラパンキーの三名は、黄橋小学校の校舎の東側を通り掛かった時、少女の歓声が聞こえた。
「嬉しい事が有ったみたいだねぇ」と、ドラパンキーも、口にした。
「ここは、美根我さん親子が、ご厄介になっている学校でしたね」と、囮が、目を細めた。
「そうですねぇ。この声は、逗子さんみたいですねぇ」と、茶柱も、笑みをこぼした。ようやく、幸せを摑んだと思われたからだ。
「でも、美根我さんって、三日前に、何者かに襲われて、記憶が飛んじゃっているみたいだよ」と、ドラパンキーが、告げた。
「まさか、お前が、やらかしたんじゃないでござろうな?」と、囮が、威圧した。
「ひょっとして、僕が、釘バットで殴ったなんて思っていませんでしょうね?」と、ドラパンキーが、顔を顰めた。
「お二人共、今日は、喧嘩は無しですよ。美根我さんの容体を見ましたら、我々は退散しましょう」と、茶柱は、提案した。
「そうだね。無実を証明したいけど、茶柱の言う通り、美根我さんを見るだけにしよう」と、ドラパンキーも、同調した。
「まあ、犯人は、美根我さんが知っているでござるからな」と、囮も、聞き入れた。
「お父ちゃん、しっかりして!」と、逗子の緊迫した声がした。
三名は、聞き耳を立てた。
しばらくして、「江来さんを呼んで来るわね!」と、逗子の慌てる声がした。
その直後、「殺気を感じたでござる!」と、囮が、口にした。
「美根我さんを襲った犯人!」と、ドラパンキーも、はっとなった。
「囮さん、急いで下さい!」と、茶柱は、急かした。美根我の危機だと察したからだ。
「承知したでござる!」と、囮が、応答した。そして、塀を乗り越えるなり、傍に在る黄色い自転車へ跨るなり、校舎へ向かった。
「茶柱さん。間違いだったら、尻バットですよ」と、ドラパンキーが、口元を綻ばせた。
しばらくして、激突音と、男の悲鳴が聞こえた。
「あの野郎! やっちまったぜ!」と、ドラパンキーが、天を仰いだ。
「囮さんなら、旨くやってくれますよ」と、茶柱は、落ち着き払って言った。
しばらくして、囮が、戻って来るなり、「間に合ったでござる」と、告げた。
「そうですか。では、私達は、今の内に退散しましょう」と、茶柱が、提言した。人が来る前に、立ち去るのが、得策だからだ。
間も無く、三名は、路地裏へ進入した。
この一件を、ブルパン親子が、数日後、新聞記事で知る事となった。
林羊史にぶつかった自転車は、怪談になるのだった。




