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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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913 間話 ファスロ・ピコ 14



夕食を済ませブランデーケーキを切り分けていると、パウエルが二人の部屋を訪れた。


良いタイミングでやって来たなぁ〜

搬送機の行動ログでも見ていたのだろうか?


ファスロ達は、老師達が眠るエリアの医官として登録されたそうだ。

あのエリアに入る為には、なんらかの肩書きが必要になる。

それは、そうだが・・・・・予測してない権限が付与されていた。

パウエルが、新しく作ってきたネームプレートを差し出して

「これが、上級医官に登録された新しいネームプレートだ。

今まで使っていた物は返してくれ。

裏に追記されている通り君等は、ルベルやトーラスにも乗艦出来る。

まぁ、自ら赴く用事は無いだろうがね。

このコロニー艦の艦橋にも入れる。

一度艦橋から広がる宇宙を見ていくと良い。

次元航行に入ったら外の景色は、ただただ白い世界だからな。

勿論、入室に際しては、許可を必要とする場所もあるから注意してくれ。

しかし、・・・・・良い匂いだな。

この甘い匂いはなんだ?」

「(白々しいなぁ〜)

老師様達からブランデーケーキを頂いたんですよ。

お茶でも如何ですか?」

「それは済まないね。ケーキなんて何年振りだろう?」

それから、お茶をしながら次元航行の事を聴いた。

「実は、私も実習艦とルベル、トーラスでは次元航行の指揮経験はあっても、このコロニー艦では、50日後に予定されている短距離の次元航行が初となる。

私の後任の船長達も、コールドスリープ(CS)に入るのはそれ以降だ。

この艦は試験航行無しの、ぶっつけ本番なんだ。

正直、不安はある。

ここまで、デカイ艦だと加速までに時間がかかるからな。

この船団は、今迄の移民団と違いこのコロニー艦が先頭に立つんだ。

コロニー艦が次元航行に入った後を護衛艦がついて来る。

護衛艦は、コロニー艦に先導されて進むんだ。

まぁ、その方が通常星域に出た時に隕石が有っても、コロニー艦が吹き飛ばしてくれるんで護衛艦の被害が出ずに済むんだがな」

「このキノコの様な傘の部分には、そんな働きがあるんですか!」

「重大な軍事機密だが、軍艦からのミサイルも当然、レールガンによる特殊金属弾頭も弾き飛ばせる。

多少の被害は出るかもしれんが、直撃されるよりはマシだ。

居住区と反転させる事で応力を打ち消し、居住区の疑似重力も安定させて居るし、回転しながら敵艦に突っ込めば、相手は宇宙に漂う塵になるだけだ。

だがもう、それを知られては困る敵対国も無くなった。

私としては、航行中に他の艦艇ならば、重篤な被害を与える隕石やデブリでも、跳ね飛ばす事に威力を発揮してくれれば、それで良いんだがね。

戦闘行為は互いに犠牲が少なからずとも発生するし、宇宙では僅かな被害でも、その後の航行に支障がでる。

ファルトンの近くで戦闘行為が無くて良かったよ。

ファルトンへ落ちて行った輸送艦も、隕石が掠っただけで姿勢の復元に失敗し落ちたんだ」

「ナトルに降りる予定はないんですか?」

「『補給を貰える』そういう契約にはなっている。

・・・・・・カイエル様は、恐らく共に入植をする事を誘って来るだろう。

だが、そうもいかない理由がハイエル様には有る。

ハイエル様のプライドと、カイエル様の側近がハイエル様を嫌っているからな。

他にも、いくつか気になる事がある。

だが、これは本当に軍事上の機密だ」


それからも、居住空間での生活について質問をしてみたが、結局は、あの区画で生きていく事を選んだ者の意志だと話を締められてしまった。


お茶を済ませて去って行くパウエル。

ブランデーケーキを切り分け、子供用にパウンドケーキも持って帰って貰った。

パウエル船長が、家族との最期のひと時を過ごす事に役立てば、ジェーンもアンジェスも喜ぶだろう。


交換されたカード。

確かに、乗船許可の欄にルベルとトーラスが追記されて居た。

しかも、艦橋入室許可まで・・・・・・


「これって・・・・・」

「あぁ、ハイエルからのお呼びがかかる。

何処で呼ばれるかは解らないがな」

そんな話をしながらもロリアがアクビをした。

ロリアが眠そうだ。

俺も眠い。

なるほど、ケーキに使われていたブランデーだけで酔っている。

そうか、宇宙に出て初めてアルコールを摂取したが酔いが回りやすい。

それが実感出来た。

ロリアを、お姫様抱っこでベッドに運ぶとスヤスヤと眠りだし、俺もそのままロリアを抱いて眠る事にした。


翌朝、待機室に向かうと、昨日会った女性とは違う二人の女性医官が、医療用アンドロイドを使ってジャガー達のデータをとっていた。

おりしもジャガーに薬剤が打たれるところで、注射針が苦手なジェーンがバッフィムの背中に隠れている。

この後、医官に付き添われてCSCエリアに向かうジャガー。

何時もは、皆を笑わせて緊張感を解くムードメーカー。

それが、事前検査の結果、一番手に選ばれてしまった。

「なぁに。今度、会う時も笑かしてやるよ。

先に行って待っててやんよ!

ダルトン!

皆んなを、連れて来てくれよ!」

「あぁ!ちゃんと一人で寝るんだぞ!」

「解っているよ!じゃあ、先行ってるぜ!」

マスクを装着したジャガーは、ストレッチャーを断って外で待っていた医官と共に歩き出した。

誰もドアからは見送らない。


マスクをヘッドギア付きの物に変えて、CSCに入ってしまえば、後は自動で睡眠が始まる。

意識が無くなり、胃と肺に挿管がされて徐々にコールドスリープに移行していく。

30日近くかかる作業。

中には60日かかった例もある。

それをアレンは、数日で無理矢理終わらせていて、覚醒後の障害が不安では有るとロイ、コンナが案じている。


ロイとコンナは奥の部屋にいる様だ。

バッフィムは震えるアンジェスに付き添って手が離せない。

不安なのは誰もが同じだ。

このまま目が覚めない可能性も有るのだ。

だが、残されて死を待つのも辛すぎる。


誤字のご指摘ありがとうございます。

先程修正いたしました。

作品の投稿ばっかりにのめり込んで、気がつきませんでした。

申し訳ありません。

他にも気付いている修正箇所はあるんですが、この間話のエピソードが終了しましたら修正をいたします。

基本的には誤字、および名称の修正を行いますのでストーリーに変更はありません。

今後とも宜しくお願いします。

2025/08/27

Saka ジ

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