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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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089 リボン

2026/01/07 エピソードタイトル修正しました。

       一郎文書の修正を行いました。

連れて行かれた先の仔山羊の小屋は清潔で、どの仔山羊も元気に飛び跳ねていた。

広さも十分あるし、とても洞窟の中とは思えない広さだった。

見回せば羊や牛、鶏もいる。

「ここに居るのはほんの一部だけ。

家畜の世話に慣れていない子供達の為に練習させる場かな。

ここでは子供でも働いてもらう。

シュウもそうだよ。

養魚場って言って海で魚を育てている。

あなた達も知っている様に、家畜の糞を使って堆肥を作ったりもするから手伝わせているわ。

だからあなた達も働くし、勉強もする。

読み書きできる様にするし、算数をできる様になって、編み物も覚えるし術が使える子は術も修行するわ。

二人共、術士になれそうね。

動物のいる場所は、魔素が入り込まない様になっているし、術を学ぶ場所は逆に魔素が濃いくなるわ。

術士の才能持ちは魔素が満ちていても平気だし、逆にそうでない人は魔素に酔うわ」

「あの〜?」

「なぁに?」

「女の子が、魔素が濃い場所にいると子供ができないて聞いたんですが・・・・・」

「あら、誰か好きな人がいるのかな?」

「えっ お姉ちゃん! 誰?」

「ち、違うわよ! まだ、そんな気持ちじゃないわよ」

「まだ? じゃあ、今はどんな気持ちかな?」

「サランさんの意地悪!」

「まあ、それはおいおい聞くわ。大丈夫よ。

女性の周辺に漂う魔素は魔道具で吸収するし、妊娠をしたい夫婦の為の家も、子供を産む為の部屋も子育て用の家も分けて作ったわ。

女性の事を考えてくれる術師がいるのよ。

私の弟だけどね」

「良い人ですね」

「奥さんのリーファが優れているからよ。

どんなに優秀な男でもその妻がしっかりしないと男なんてダメになるわ。

ねぇ イバ?」

「・・・・・」


「だから、私たちが色々教えてあげる。

ここに集まってくる男の子は優秀な子が多いわ。

もちろん女の子もね。

だから頑張らなきゃ。取られちゃうよー」

赤くなるミク。

「さて、ユキちゃんを小屋に預けようか。喉が渇いているみたいよ」

ユキが柵を舐めていた。

(サランさん。よく知っている)

「そうね、これをユキには着けてあげましょう」

と言ってサランは【収納】から赤いリボンを2本と、青いリボンを2本取り出した。

「ユキちゃんは、その名の通り雪の白さだから青が良いかな?

もう一本はアミちゃんが使って。

この赤の二本はミクちゃんにあげる。

ミクちゃん【火の術】使えるね。

他にも何か使える様になったら良いね。

好きな男の子は【身体強化】が使えるのか、その子にハチマキにしてあげたら良いわ」

「サランさん!」

ユキにリボンを着けていたアミが納得した顔をした。

「そうか、タクム兄ちゃんか!」

ミクの顔が真っ赤になった。

「サラン、意地悪しちゃダメじゃないか」

「良いの。ミクちゃん好きな子を好きでいて続けて、その子を支えてあげるのが良い女よ。

私は赤ん坊だったイバに恋をして14年かけて思い続けて、こうして一緒になったわ。頑張りなさい」

「サランさん」

(サランの愛情が重い・・・・・)

『そうよ。これ以上増やしたら、承知しないんだから』



ユキを水飲み場に連れて行き、山羊用に精製回数を減らしてニガリを残した塩を与える。

山羊小屋に入れると最初はお互いに経過していたが、しばらくすると一緒に走り回っていた。

飼い葉も与えられていて問題ない様だ。


自宅になると言われた区画は、集落の家族も同じところに居た。

三ヶ月前に入っていたタクムも、近くの区画の部屋でミクがホッとしていた。

「良かったねミク姉ちゃん」

「馬鹿。喋るんじゃないわよ」

中に入ると、綺麗で明るい部屋だった。

窓がないが、それは仕方がない。

代わりに『白石板』が取り付けられていて、魔道具を働かせれば聖地の外の風景が写し出される。

横にあるギザギザの筋に指を這わせると、見える場所が変わる。

丘の村の映像もあって、さっきまでいた集落が微かに見えた。

その光景を見ていた二人に驚く事が起こる。

その集落の家が倒されていく。

目を見張る二人。

聞いてはいた。

このまま置いておいても、火をかけられてしまうだけだ。

だが、聞いているのと見るのでは訳が違う。

二人は泣き出していた。

夕陽が沈んでいく。

いつも見ていた風景だ。

そこへ、

「こんな立派な部屋なのかい」

「こいつは綺麗だな。魔道具を使ったコンロも有るし、風呂も有る」

「どうした?二人共目が赤いぞ」

二人は、映し出された光景を指差した。


察する両親

「そうか、家を潰すところを見たんだな。

思い出がいっぱいだったからな。

だけど、生きていかなきゃ思い出を作れない。

二人共、恋もしな! 子供も産みな! 聞いたら術士の才能があるらしいな。

俺も母さんも、身体強化と風が使えるらしい。

今からでも鍛錬しなくちゃな。

一番欲しいのは、土の術師と聞いたから頑張ってみるよ」

「それから一番奥は、俺とお母さんの部屋だ。

その手前に有る3つの部屋は、おまえたちが一つづつ使って良い。

ベッドを運び込むから、早い者勝ちだ好きな方を選びな!」

「えっ!自分の部屋があるの!」

食堂をダッシュで飛び出すミク! 身体強化も使えるらしい。

「あっズルい! お姉ちゃん!タクムに言い付けるわよ!」


「秘密だって!言ったでしょうが!」


「お姉ちゃんが、意地悪するからでしょうが!」

「この、おしゃべり!」


「そうか、ミクはタクムか?

そういや、妹のタカは前に治癒師が預かって行っていたよな」

「あぁ、さっきお母さんが、こっちの家に来てずいぶん良くなったそうだよ。

直ぐに死んでしまう様な事は無くなったと喜んでいた」

「危なかったからな」

「前に治癒師が来た時には、爺さんが、

『どうせ、死ぬんだから』

と言って出してくれなかったからな。

あの爺さんが、死んでくれてホッとしているよ」

「3ヶ月前に空飛ぶ護衛さんが来てくれて、すぐに転移で運んでくれた。

もう、一日遅かったらと思うとゾッとすわ」

「結局、旦那はどこいったんだ?」

「噂じゃ、あの崖から飛び降りた。って話だよ。

自業自得さ。ここに居なくってせいせいするよ」

「確かにな。隣の集落だったけど、羊と山羊をアイツに叩きつけて、先にこっちに来てたんだよな」

「さっき見かけたけど、みんな明るくなっている。良かったよ」


「暗い話はこれまでだ。

タクムも身体強化と剣士の才能と頭が良いらしい。記憶師って特殊な能力持ちらしい。

ミクも良い旦那捕まえそうだな」

「そうだ、夕食は広場で歓迎会だって言ってたわよ。

着替えなきゃ!服は置いてあるって・・・・・

こんなに綺麗な服を貰っていいのかい! 

何枚もあるよ。

下着も綺麗だ。お風呂に入らなきゃ。

洗浄の白魔石もこんなに沢山あるよ!

アンタ、娘に声掛けておくれ!

急がないと遅れちゃうよ!」

「おーい、ミク!アミ! 風呂に入りな。

広場で歓迎会らしい。ご馳走が出るぞ!

着替え、そこに置いてあるだろう?」

「やっぱりこれ、着ていいの!」

「あっ、名前書いてある」

「他にも、いっぱい子供や大人もいるからね」

「早くしとくれよ。俺も風呂に入りたいから」


大慌てで身支度を済ませ外に出る。

扉は渡されたブレスレットを近づけると、勝手に鍵の開け閉めが出来た。


「さあいくよ」

「俺たち大人は、この札を首から下げるのか?」

「嫌ならお名前、服に入れてあげようか?」

「よせやい! 恥ずかしいだろう!」


新しい生活が始まる。

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