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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
855/926

855 間話 レディース 13

お待たせしました。

今週は複数のエピソード投稿します。

Saka ジ

「そう言えば、ヨットがフロリダ沖で発見されたと言ったな? マースルさん」

「えぇ、もう一人の行方不明者については盗まれたモーターボートが、同じ海域で見つかっています。

指紋が残っていて、消息を絶っている男が盗み出した物と断定されました。

使用されたクレジットカードも盗まれた物でした。

彼女が男と接触した場所は、いずれもシーサイドエリアだと判明しています」

現場に浮かんだヨットとモーターボートがスクリーンに表示されて、地図に切り替わり南に離れた海域に赤い丸が表示される。

「発見位置と周辺の潮流の関係から、この海域で漂流を開始したと推測されます。

ですが、この海域を航行した船舶で、遭難者を救助したと言う報告はありませんでした」

「それじゃどうやって、契約者や男をアマゾンの奥地に連れて行ったんだ。

俺はアマゾン川河口の街で、船を調達して連れて行っていたが、その手筈を取れたのも、探検家の叔父の名が有ったこそだ。

それに俺はもう7年以上、関わっていない。

先方も、現地の女がアメリカ人の一般人を連れて、船を貸してくれないかと言っても断るに決まっている。

そもそもアマゾネスの連中に、交渉事ができる訳がない」

「そうね。現地の上空を飛行する事も禁じられているから、ヘリなんかじゃ無いわね。マリオ。マリア。コレを見た事無い? それか、言い伝えが有れば教えて」

カミラが指し示すスクリーンに映し出された紋様。

円を何重にも描いて、その間に文字の様な物が記されている。

中央にも文字が描かれていた。

「見た事は無いから、コレがそうなのかは解らないが伝承なら有る。

だが、それが本当なら・・・・」

「マリオ。今は知っている事を教えて」

「そうだな。済まない。

伝説ではこうだ。

知っての通り人魚は、人と共存し産まれた子と共に、海の恵みを分け与えて暮らしていた。

だが、祖先は海を彷徨う。

それまでも、何度か追われる様に棲家を変えてきた。

海底から熱い毒水と泡が吹き出して海を失い、多くの同胞を失い人族による迫害を受けた。

戦争も、その一つに加わった様だな?」

(マースルが頷く)

「何度も、何度も逃げる事しかできなかった。

しかし、人族が居なくては子が産まれない。

しかも、ただの男ではダメだ。

【契約者】

人族の男の中に、稀に居る特別な存在。

しかも、誰かが契約者の精を受けてしまうと他の人魚が手を出せない。

もし、他の者が手を出そうとすると、人魚同士で憎しみ合い殺し合う。

女しか産まれない悲しい一族。

それが、人魚が増える事を阻害する。

こうして、新たに人族をそして契約者を探す事になる。

だから、人を探して海辺を彷徨う。

だが、友好的な者ばかりでは無い。

海に住み長い時間を、海中で過ごせる美しい女。

私の祖先が遭遇した人間達は、人魚を女として慰み者にして頸の鱗を剥ぎ取った。

鱗を無くすと、我々は発狂して死ぬらしい。

そんな光景は見た事ないがな。

海からあがり食を採り眠る際に、待ち伏せを受けて数を減らした。

更に海を彷徨い、バラバラになってしまう。

私見だが、この時だろうマースル達カリブ海の人魚達と別れたのは。

だが、ある夜。

我らの祖先は、海に立つ光の柱を見る。

光の柱は朝日が現れる前には消え去り、後には紋様を刻まれた巨大な円形の岩が残されていた。

そこに映し出されている紋章がそうなのだろう。

この光の柱は、月が無い夜に現れた。

新月の夜には、多くの人魚が岩を取り囲んだ。

炎に引かれて、焼かれ落ちる蛾の様に・・・・・

元来、人魚達は臆病だが好奇心が強い。

その光に触れてみたが、何も起こらなかった。

次第に大胆になる。

だが、ある夜中央に入った人魚が姿を消した。

驚く人魚達。

無理も無いだろうな。

光に包まれて何人かの人魚の姿が消えたのだから。

だが、しばらくすると、そいつらは帰って来た。

手に一杯の果物を持ってな。

話を聞き一緒に光の柱に入って、新たな土地を得たんだ。

こうして、月に一度、新月の夜に人魚達は果物や食料を求めて、アマゾンの奥地との行き来を続けた。

出産を控えた人魚達は、アマゾンの奥地で暮らす様になる。

海は無いが、美しい泉を囲む森は、果物を与え川には魚が溢れていた。

それに、なんと言っても人族に襲われる事も無い。

今でもそうなのだが、居住地の周辺に残っている部族は、今でもアマゾネスを森の女神として神格化し女神達に見染められた男は、途切れる事がない夜伽をする。

この部族が使っていた薬草。

薬草と言っているが、大麻の様な効果を持つ麻薬だ。

コレが、私の鱗に蓄積している成分、契約者を共有化する秘薬だよ。

この薬草を、寝所に香のように炊き込めるんだ。

他の人魚が、契約者の精を受けても憎しみが湧かない。

だから、契約者を探しては共に密林の奥手で暮らす。

精を受け娘を孕み出産する。

男の精が続く限り、契約者の命は保障された。

精を枯れ果てさせてしまっても、男は聖なる使いとして部族で力を得る。

おそらく、アマゾンでも他の部族との諍いは有ったのだろうが集団戦は苦手でも、相手が少数で、逃れれる水辺が有れば人魚達は術を使える。

アリアの様に人を操ることも出来る者も居ただろうし、身体を固くして矢を弾き、槍を折ることも出来る。

私は見た事ないが、手で触れて人を爆ぜさせ倒す者もいたそうだ」

マリオは、剣吾が差し出した冷水を飲み干した。

「一族の者がアマゾンの奥地で住む頃には、集落の池が、以前は清らかな水が湧き出る泉で、その中央に紋様が描かれた巨大な円形の岩が沈んでいるそうだ。

そこが回廊だった。

それが復活しているのか・・・・・・

契約者を探しに、よりによってフロリダに現れているのか・・・

俺の実績での話だが、契約者が持つ体臭はそうだな・・・・・・

500から1,000の人間のうち一人程度だ。だが、若くなければ意味がない」

「体臭?」

潤が、自分の衣服の匂いを嗅ぐ。

如月が、潤の背中に鼻を近づけるが良くわからない。

アリアがクスリと笑う。


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