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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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084 盾の術師

2026/01/07 エピソードタイトル修正しました。

       一郎文書の修正を行いました。

丘の集落を廻って、ジャリムの集落へ帰ってきたルース一行。


ある集落での出来事。

色々と反対や、自分は残ると言い張った独り身の者もいたが、映像を見せると肩を落とした。

『妻の墓を守りたい』

墓を、まさか掘り起こす訳にはいかないので、周囲の土を盛り上げて囲ってやった。

小さな魔石を使って最小限の【遮蔽】を施す。

「コレならば、直撃さえ受けなければ墓は守られます」

他の墓は谷間に有るが、この男の妻は夫を見守りたいと、丘の自分の家の横に墓を作らせたのだった。

村を去る時には家を風の術で壊した上で、コレを植えさせてくれと馬鹿蔦の種を見せる。

人家の跡が有れば目標にされるし、逃げて来た人間に荒らされてしまう。

そうなれば、墓も危ない。

男は、肩を落としながら同意した。


「心配ですね」

「あの男か?」

「えぇ」

「集落の人たちにも、気をつける様に言っておきました」

「済まんな。タリム」

「今日も夕食は、あの集落に住む子供が運んでいったはずです」

「そうして、生活していたんだな」

「術師じゃなかったんだろうか?」

「イバもそう思うか?」

「はい。ただ何の術師か解らなくって・・・・・」

「そうだな。私も解らなかった。だが、術師だな」

「次の集落に着きます」

その日は、その集落で夜を過ごした。


早朝、ルースとイバの白魔石が光る。

昨日、訪ねたあの集落だ。

急いで戻ると、男の家の前で、集落の代表者が立っており男の子が泣いていた。

玄関には、朝食が置かれている。

「そうか・・・・・」

ルースは、そう答えた。

「お判りになるのですか?」

「もしやと思っていたのだよ。彼はどこに?」

「墓の前です」

横手に回ると、男が妻の墓に縋り付く様にして死んでいた。

「自分で心臓を止めたか・・・・・ 術師だな」

「そんな事が出来るのですか?」

「あぁ、知っているものは少ないな。当主が、ある者に伝えるものだから」

「それは・・・・・?」

「破門した者と、旅に出る一門の者にだ」

「それでは・・・・・この者は?」

「破門された者だろう。杖の先が折られている。

手にしたペンダントの一方の翼が折られている。

破門された者同士だった様だな」

「父と母の様な・・・・・ 」

「何があったかは調べないでおこう。

家に入って残された物がないかを見て葬ってやろう。

イバ、妻の墓に巡らせた術を解いておいてくれ。

石碑を作って並んで埋葬してやろう」


彼の家に入ると、手紙が残されていた。

名は仮の名で『フイル』と『フィス』としてあった。

杖とペンダントから見ると、ファルバンの一門の者に間違いない。

だが、それには触れていなかったが、妻が死んだ経緯で彼等の素性が解った。

十年以上前のあの日、丘の村に【黒鳥】と【銀の鳥】が襲来した。

【黒鳥】から集落の娘を守る為に【黒鳥】を撃ち落とした男フィルは、接近する【銀の鳥】からの攻撃を防ぐために【遮蔽】と【盾】を展開。

妻が同じく【盾】を展開して、娘を谷川へ誘導して娘が逃げる時間を稼いだ。

だか、先に妻の【盾】が消滅して焼き殺され、夫は、その衝撃で谷底に落ちて九死に一生を得た。

【盾】の強固な防御力で僅かだが残った妻の遺骨を墓に入れて生きてきた。

娘は、それ以来男の食事を作り届け、今では、この集落の男との間に子を成して、その子が食事を届けていた。

『妻は、多分こうなると思っていた様だ』

と父親は、息子の肩を抱いて話してくれた。

残された杖には青魔石。

ペンダントにも青魔石が有り、裏には本当の名が、刻まれていたはずだが削られていた。

自分で削り落としたのだろう。

しかし、使い手が少ない【盾】の術者の夫婦。

恐らくファルバンが、いろんな大陸に派遣した者なのだろう。

ファルバンでも、各地に置いて悪事を働く者達がメトルの時代に多く出た。

それらを、一門で処罰する者達が派遣された。

術師と読み取れなかったのは、その為なのだろう。

自分の存在を隠すのに【隠形の術】を使っていたのだろう。

彼の目の前で『当主』と告げたのも、自責の念を抱かせたのかもしれない。

ルースは頭を下げた。


遺言は続く。

この村に、優れた術師の素質を持った三人の子供がいる。

目の前の子が、その一人で有り、その下の女児と幼子も優れた術師であると。

ここに、もう一つのペンダントが有る。

亡くなった妻の姉の物だが、この三人の子供に使って貰いたいと残してあった。

ペンダントは『桔梗の花』

花の紋章は、別のサトリの系譜。

裏には『フェリム』と名が残っていた。

「優秀な家系だったんでしょうね」

「そうなんだろうな」


イバは墓の周辺の基礎をやり直し、家の土台を使って石碑を作り、三人の名を刻んで男の亡骸と家に残されていたリースをかけて【保護】と【遮蔽】をかけて土に埋めた。

遺言にあった様に目ぼしい物を【収納】にしまい、家を風の術で引き倒して『馬鹿蔦』の種を蒔いた。


集落に帰りフィルが残して行った物を【収納】から取り出して分け与えた。

三人の子供は、やはり他の子供と年寄りと一緒に連れて行く事になった。


丘の集落をこうして周り、3ヶ月の猶予を与え、次々と子供と老人達を浜の村に連れて行った。

今度は【転移】でライラを連れて来ており、年頃の娘の夜着の採寸を済ませ、男の子にはルースが【嫁取り石】を渡した。

何人かは同じ集落や近くの集落の娘に早速差し出すだろうし、振られてもお見合い大会がある。

その気が、なかったらそれでも良い。

連れて来た丘の子供達が、砂浜に走っていく。

早速、浜の子供達や新村の子と仲良くなっている。

老人の中には、初めて見る海に涙を流している者もいた。



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