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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
849/928

849 間話 レディース 07

「お待ちしていましたよ」

「もっと早く来ると思ったのに、遅かったわね」

すっかり片付けられたパドックに、二人だけが残っていた。

「誰かが傷つけた男の心のケアをしていたんだ。無茶言わないでくれ」

「やっぱり、契約者ね。誰と契約しているの? 」

「いやいや、勘違いするな。俺じゃない。確かに浮名は流したが契約者は俺の義父だ。

先に自己紹介をするのは、そっちじゃないかい?

ファミールのマリアさん?」

二人の表情が変わる。

「どうした? 二人とも固まって?」

「ファミールって言葉が出るとは思わなかったわ。

人魚って言葉が当たり前なのに。

伝承に過ぎないと思っていた言葉よ」

「悪いが俺の大事な継承者だ。潤を連れ去るのは無理だぞ!」

「連れ去りはしないわ。どうせ、フロリダには来るでしょう?」

「ほう? そんな事を言ってもいいのか?」

確かにMotoGPフロリダが開催されて、その事前にレディースが開催される。

「私は、彼を傷つけたくはないし欲しいのは子種だけ。

でも、あの体に組み敷かれたいのは嘘じゃない。

あなたもいい体しているけど、もしも、あなたに手を出したら色々と問題になりそうね?」

「そうか、まぁ解った。

でも、珍しいな。

男のファミールは知り合いに数人はいるが、良く生きていられたな。

将来の禍根を無くす為に、産まれてすぐに土に帰される事も有ったと聞いているよ」

「そこまで知っておいでですか? 私達にはある薬草があるんですよ」

「それ、貰えないか? もしも妻の・・・アレ? ロイアは俺にとって何にあたるんだ? 妹? 姪っ子? まぁ良いや。ファミールに男の子が生まれた時に使いたい」

「余り、お薦めはしませんよ。

でも、レディースに参加される、お嬢様達は人でも無く人魚でも無い。

違いますか?」

「君らに近しい仲だよ。彼女達は」

「「近しい?」」

「あれ。知らないのかな? ドラーザと言うんだが?」

「ドラーザ?」

「知らないわ」

「じゃあ、ドラゴニアは?」

「知らない」

「ふう。やはり根本的な歴史が伝わっていないんだな」

「興味深い話ね。でも、良いの? 娘さん達不味い状況よ。

あらいけない。妹? 姪でしたっけ? 世間では娘と噂されているわね?」

モニタには、多くのライダーに囲まれた状態のキャミとアリアが居た。

ファッジスの二人は、ヘルメットを外してピットの中でモニタを見ている。

【more】の二人が、囲まれた二人を助けようと前に出ようとするが塞がれている。

アトランティスの二人は、ピットロードに入る事も出来ずにいた。

(いや、入ろうとしていないな! あのお転婆達め!)

「おやまぁ〜困った事だね」

田尻が、オフィシャルに抗議しているが、肝心のアトランティスは動かない。

オフィシャルも判断に悩んでいるが、ぶつけている訳でもなくフリー走行が行われている中、こう言った集団になる事は良くある事だ。

旗は出なかった。

「監督が、いないからじゃない?」

「まぁ、心配するな。今、あの二人は冷静に対策を練っている」

「大した自信と信頼ね。私ならS字でグラベルに逃げるわ」

「嘘を付くなよ。誰かを操って前を開けさせるだろう?

ただし、3メートル以内に近付かないと出来ない様だが?」

「私の映像から見出したのね? でも、レースでは使わないわ」

「狩には使う訳か?」

「そうね。実生活でも役に立っているわ」

「まぁ、モニタを観ながら話そうか。まず、先に教えてくれ。潤は契約者か?」

「えぇ、間違いないわ。抜いた子種はそう言う味がした」

「そうか、やつも大変だな」

「あなたは?」

「だから、俺じゃない。契約者は義父 岩屋 脩だ。

娘が二人。海の妖精の(おさ)カミラは、先日2回目を身籠ったそうだ」

「海の妖精? カミラ? お父さん聞いた事ある?」

「・・・・・イギリスでそう呼ぶと聞いたが、アトランティスを最後に出て、アドリア海とエーゲの同族の世話をした女王と聞いている」

「へぇ。女王ね。

じゃあ、あの娘達の母親は? ドラーザって何?」

「その前に、昔話から始めよう。信じ難い話だが事実だ。

ドラゴニアって星があって、そこには竜人が住んでいたんだ。

だが、その星は滅びた」

「いきなり、SFの世界?」

「まぁ、そう言うな。取り敢えず聞いてくれ!

その星の女王はアンという。

彼女の祖先の体組織を使って、他の星の人間をやはり竜人に変えた存在がいた。

その竜人がドラーザだ」

「ドラゴニアから、人工的に作られたのがドラーザね」

「オッ!理解が早いな!」

「馬鹿にしないで!

それで?

・・・・・コーナーは、この娘の方が上手いわね」

「アリアだ。だが直線になるとキャミが早い」

「若い頃の君らだな」

「オッ!俺らのレースを知っているんだ!嬉しいね〜」

「あぁ、英雄だ」

「ありがとうよ。えと・・・

そうだ。でな、この作られた竜人の星も消滅する事が解った」

「あらら、」

「だが、こいつらは新しい星へ移住し出したんだ」

「宇宙に出たのね」

「そうだ、その最中に宇宙へ飛び出していたアンを救出して、新たな星で暮らし出した」

「でもドラゴニアは、一人じゃない?」

「あぁ一人だ。だが、アンは男女を妊娠していて、彼らを産み出した」

「まさか、その二人で・・・母親も混ざって?」

「いや、この二人は受け入れ合わなかった。

何故なら、オスはメスをセックスの最中に食い殺す」

「狂っているわ!でも、アンは妊娠していたんじゃ無い?」

「人工受精だよ。アンは処女で妊娠した」

「まるでマリアね。同じ名前でも、私は、そんなのゴメンだわ」

「あぁ、娘は・・・・・兄だったそうだが彼を拒絶。

『単為生殖』の道を探る研究者になった」

「単為生殖って?」 

「メスだけで子供を産む方法だ。

フロリダに詳しいなら、『ミステリー クレイフィッシュ』は知っているんじゃないか? ザリガニの突然変異でマーブル模様の奴らしい」

「聞いた事あるわ。フロリダでも多くの水辺から藻が消え失せて大騒ぎになっている」

「時事問題に、興味があるのは助かるな。そいつと同じ様な事を考えたんだ。

卵子に刺激を与えると分割を開始して、母体のコピーを作るんだ。

ただ、その娘の研究は、なかなかうまく行かなかった。

そこで、さまざまな生物に自分の卵子と結合させて宇宙に放り出した」

「なんて、育児放棄!」

「まぁ、それだけ設備が整った状態なんだろうさ。

話を続けるぞ。

もう直ぐ動き出すと思うから、話を終わらせて起きたい。

で、住んでいた星で地中を掘り進み生きていける生物や、海洋生物との間に新たな生命を誕生させて宇宙に放り出した。

地中を進み続けれる土竜。

アースドラゴンはアシと言う種族名を名乗り別の星で生き延びた。

この星はアーバインという」

「で、海の生物から生み出したのが私達という訳?」

「そういう事だ。

まぁ、良ければ話をしないか。流石に今日、この後は不味いがね」

「あのスタンドにいる二人は?」

「あぁ、念話で煽った夫婦か?」

「煽って来たのは女の方よ!何!アイツ、タチが悪い。人間なの?」

「どっちかというと、男の方が人間じゃ無いんだがな。

その辺も含めて、話を聞いてくれると助かるよ」

「彼も同席させて!」

「彼って?」

「速水 潤。私は、あの男の子供が産みたい。

私が、ここまで来て見つけ出したんだから私の夫にしたい。

私は、他の娘との共有なんてしたくない!」

「ファミールは、契約者の縛りがあるからな。

でも、父親だったとは・・・・・あの意識を外させたのは君だね」

「あぁ、私たちの居住地を荒らされない様にする為に編み出した能力だ」

「でも、下流から太陽光パネルが迫って来ているよね。

ファビアンカ川だっけ?」

「どうしてそれを!」

「君らを助ける為さ」

「お父さん!」

「CCFは、やはり油断ならないな!」

「ム!」

「無駄だよ。君が術師とわかって何も準備しないと思うかい?

この術を解いてくれ!

でないと、ここの隣のチームがウチの娘達が暴れた時に対応が出来ない」

「お父さん!」

「ふう。同じ契約者でも、ここまで力が違うとは・・・・」

「違わないさ。

色々企業秘密を持ってんだ。

そろそろだよ。あの二人の本気を見ててご覧」

ちょっと、竜の娘達と話をさせてくれ。


どうやら、友好的になれたな。

彼らを通して、アマゾネス達に門戸を開いてもらいたいもんだが・・・・・


モニタでは、どうやら準備が整った様だった。


しかし、脩と真悟を間違えるとは・・・・

設定を難しくしたのが原因なのはわかってはいるんですが、これもストーリーに必要な設定なんです。

本日は、ここまでですね〜

週末までには、このエピソードを終わらせたいのですが・・・・

又のお越しをお待ちしています。

Saka ジ


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