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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
828/928

828 桜(おう)の企み 01

避妊具の話が出て来ますので、ご注意ください。


「結論から言うわ」

アトリエの地下に設けられた宿泊施設の一室。

隣の部屋は()と桜の部屋。

今ここには、主人公の(オウ)

沙耶と美耶に青。

青に言われた物を、話を通しておいた大学の医局から入手して来た碧と若菜がいた。

(オウ)()の子供を人工子宮で産み出す計画は聞いてはいたが、自分の出番が来るとは思っていなかった若菜は戸惑っているし、まさか医局で受け取った物が・・・・

美耶と青、碧の三人で、天測と真眼の陣で映し出した(オウ)の下腹部の映像と、桜の身体の中を調べて導き出した。

アーバインの治癒師としての経験。

地球における医療器具の見識。

そして、研究者としての知識。

これを突き合わせて導き出した結果。

「やはり、桜の身体に受精でき無い様に細工がされていた。

(オウ)も気付かないうちにだ。

あまり馴染みが無いだろうが、ペッサリーと言う女性用の避妊具があるんだ。

コレだな」

美耶が話を始めた。


ステンレスバッドに置かれた、医療用のアルミ袋に入った丸いピンクのゴム製品。

ゼリーが塗られていて若干ベタベタする。

他にも、コンドームやピルまで置かれていた。

使用方法を書いた説明書まで置いてあった。

「避妊具としては、性病感染防止を兼ねて男性が装着するコンドームが使われる事が多いが、ペッサリーは女性側が体内に装着する事から『女性用コンドーム』とも呼ばれている。

性行為の前に、自分で子宮頸部に装着する必要があるから、使っている女性はごく僅か」

避妊具を使わない(オウ)とアーバイン組が、青と若菜を見る。

『使った事があるか?』の問い。

二人とも首を振った。

「二人の反応から分かる様に、ペッサリーは自分の身体に指を入れて装着するという中々に難しい準備が必要だから利用者は少ない。

桜の身体には現在、それと同じ様な働きをする物が取り付けられている。

子宮内に精子が入ってこない様に蓋がされているんだ。

極薄なのと、男性経験が無かった桜には感じられないんじゃ無いかな?」

美耶が桜に説明した。


だが(オウ)には、事態が飲み込めていない。

何しろ避妊具を使った事がない。

紗羅や美耶、そして碧もそれは同様だ。

アーバイン人は、青魔石を使っておけば妊娠しない。

様々な避妊具サンプルを、興味深げに手にとっていた。


「ここにある様にシリコンゴムで出来ている。

でも、桜の身体の中に取り付けられているのは、恐らく()の身体の組織を利用した生体物質。

この年齢まで、桜の身体に異常が起きてい無い事からも安全性は非常に高い」

桜は、思わず下腹部を押さえた。

そんな物が・・・・・

「隙間を潜って子宮に侵入しようとする精子の行動を阻害するゼリーなんかも併用する様だが、そう言った物は検出されなかった。

桜の組織に密着しているんだよ。

そして、妊娠出来なかった事で生理が始まると、溶け出して体外へ放出される。

良くわからないが血液かホルモンか・・・・・何かに反応するんだろう。

今度、生理が始まった時にそれは判明する。

そして、再び()(オウ)の身体を求めた時に、どうやってか解らないがペッサリーが形成される」

桜は、頭がクラクラしてきた。

だが聞いておきたい。

「それならもし、生理が終わって()に抱かれる前に、他の男性に抱かれたら妊娠するんですか?」

「するだろうね。排卵日にそう言う行為をしたら確実とは言わ無いが、三割は妊娠する」

「そうなんですか・・・・・」

「だが、もし妊娠を知った(サポ)が、どう出るかが解らない」

「えっ?」

「サポを取り込むと、体組織を変化させれるんだ。

桜の妊娠を知ったサポが、何をするかわから無い。

それが、()の感情からくる行動なのか、サポに組み込まれた行動なのか・・・・」

「サポに組み込まれた行動?」

「私達は、サポをね、全面的に信用しているわけじゃ無い。

サポは作られた存在。

自らも、そう言っているし、私たちもそう思っている。

自らは増殖をしないのに、こう言った人間臭い避妊具を相手に装着させる。

あり得ないだろう?

そこに、事前に誰かに組み込まれた意図があるのは明確だ。

サポが作られた世界では、ペッサリーの様な物が使われていたんだろうね。

サポは、まぁアニメの世界観で言ったら【魔法生物】

ただ、そんなに知能は高く無い。

アンの様に取り込んだ知性を持つ生物の記憶と能力を使って、宿主の身体を使い、取り込んだ幾人かの記憶と能力を使って行動している。

そして、相手の状態に応じてなんらかの行動をとり、身体の組織を変えて取り込んだ人物に変化ができる。

でも、所詮は紛い物。

アンの様に、女性体になっても卵巣はない。

まぁ、そうだろうね。

今は身体を変性させると言っても、使うのが男性体の()なんだからね。

この部分だけは、変性させれ無いんだ。

心音を聴く、血圧を測るみたいな簡単な検査には同意してくれているが、血液検査や、その他の診断は拒絶されている。

こちらの転移陣を使わないのは、影やモノリスの存在から自分の身を守るためと言っているが、案外コチラが何かを仕掛けてくる事を警戒している節もある。

だけど、担当医が昴先生だと見抜くのは簡単だ。

天測の様な人の身体の内部を見る能力は知らないのかも知れない。

事実、アーバインには居なかったからね。

アンでいる間は医学者として、私の治癒にも興味を持ち、スバルやコンナとの雑談は好きで良く休憩時間には一緒にいるだろう?

だから、昴に警戒はしていない。

アンの姿でも性器は女性になったとしても、精嚢が身体にあることは解っている。

今夜、()に何度も抱かれてね。

激しく求めて、出来るだけ多くの精液を集めて!」


いつもは、淡々とした話し方をする美耶が、強く桜の身体を抱きしめながらそう言って励ました。

こんな事を言われたら、赤くなって動悸がする程なのだろうが、桜の頭は冴え切っていた。


母親になる実感をこの身で味わえないのは残念だが、それでも子供が欲しい。

桜蘭(ろうらん)の一族の血筋』を絶やしたく無い。

命を助けられた代償に、身体を操られている事への反逆心も湧き上がって来た。

だが一番は、愛する()と自分の為だ。


「任せて!

アンに仕込まれた、性技を尽くして()から搾り取ってやる!」

今度は、聴いている紗羅や美耶が赤くなる。

アンは、何を教えたのか!

碧は平然を装っているが・・・・・ちょっと、身体が熱くなる。

「今夜は、若菜には重要な役割をやってもらう。

今までも、体内から腫瘍を抜いた事あるだろう?」

「えっ。まさか! 桜の身体に残った()の精子を抜き取るの!」

「正解!」

外科手術の手伝いで、腫瘍や体内の異物は抜いた事はあったが、性行為後の精子を抜くのは初めてだ。

「大丈夫だよ。私達も朝まで付き合うよ。

()も桜も夕食は終えて来ているから、直ぐに眠るんじゃ無いかな?」

「・・・・・頑張ります」

それで、ステンレスバッドの上に、2本の採取瓶が置かれていたのか・・・・


()が贅沢を嫌うので、ワンランク落としてセミスイートを使って貰っていたが、今夜は、バスルームやトイレが二ヶ所設けられているスイートに入って貰う。

紗羅達がいるのは昨夜、そのセミスイートの部屋になる。

地下施設なので眺望は映像になるが、好まれるのは柳葉からの富士山と相模湾の光景、洋樹達が使う北欧のコテージからのオーロラの映像だ。


二人にはベッドルームの真横に備えられた、バスルームを使って貰うが、若菜は離れたバスルームに隣室から入れる様にしていた。

このバスルームで桜の身体に残った、()の子種を回収する。




今はピルが主流なんでしょうが、それだと話が進みませんので『ペッサリー』なんて避妊具を使いました。

もう、死滅したかと思っていたんですが、未だ使われている様で驚いています。



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