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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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079 リーファ

やっぱりというか、イバの妻二人が妊娠した。


『聖地の岩屋』と『浜の岩屋』に有った【転移陣】をルースが回収して、新たに白石板に青魔墨で重ね描きした転送陣に青魔石を使い、同じ物を『聖地の農園の自宅』にも置く。

この3ヶ所を繋いだ。

重ね描きの回数で制限して有るので必ず『聖地の岩屋』を中継する事になる。

『聖地の岩屋』で研究を重ねるイバの元に、二人の妻はどちらかがイバに寄り添い研究を手伝い、夜は母親達に子供を預けて三人で過ごすのだから当然だ。

ある日、サランが先に岩屋に入りイバが中に入った途端に【陣】の中に鍋を置いた。

当然、聖地の農園からルナが転移できない。

ルナは念話で、二人に陣から異物を退ける様に伝えてくるがサランはこれを防ぎイバを独占した。

やられたらやり返すのがルナ。

翌日、タルムに飛翔で送らせて同じ事をやってイバを独占した。

不毛な戦いを辞めさせて、聖地の岩屋の陣には陣が動けない間は音が鳴る様に知らせ石を埋め込んだ。

元はコッソリと自分自身を実験台に使ったイバが、妻達の不安を煽ったのだが巻き込まれたタルムも哀れだった。


タルムの妻達も日を空けずに それぞれ男女一人づつの双子を産み落とした。

タルムの母親や叔母、娘達はもう聖地に入って来ていた。

夫達が残り家畜の世話をしている。

タルムの妻達の家族はこの大陸には居ない。

姉ルナと兄達だけだ。

そこで、産まれた四人の子供達は、聖地に入っているタルムの母や叔母達が我が子の様に可愛がる。

「これで、任せておけるな」

「アナタ。お願いね。必ず説得してね」

「私からもお願い。せっかく手にした土地を棄てるのは辛いだろうけど、命をすてさせないで」

二人の妻達からも懇願された。


丘の上の開拓地に残る、あといくつかの集落の説得に行く必要がある。

中には、ルースの義従姉妹の家族も居る。

嫁入り先になるが、その体に流れる開拓者の血がそうさせるのか、奥地に踏み込んで羊、山羊の放牧で生計を立てていた。

タルムの嫁達も何度か訪ねて行って、【黒鳥】と【銀の鳥】の話をしてあった。

そして、その後の悲劇の事、彼等が再来する事を。

だが未だ彼らは丘を去ろうとしない。

彼らに聖地で暮らす準備・・・・・開拓地の放棄と家畜の間引きをさせる事を納得させる。


聖地の中は、ルクアが中心となって改修にあたっていた。

転移、転送の陣に興味があったが、妻の言葉に聖地の環境を整える事に専念し出した。

聖地で籠るには上下水道、汚物の処理、換気、解らなくなる一日の時の流れを聖地で刻ませる事、【黒鳥】が外を舞う時には、聖地の中にいる事になっているから、その間に何かで時間を過ごさせる方法を考える。

学校、診療所、食糧庫、やる事が多すぎて誰かが指揮を取らないといけない。


ゲーリン様はどうしても武官だ。

ルース様に聖地の長になってほしいと考えている。

急ぎそうして欲しい。

そしてルクアと私で長を支えたい。

【アレ】の避難所で起きた悲劇を見聞きして来たリーファの言葉だった。


リーファは名変えの儀式の際にあらかじめ名は【リーファ】のままで良いとルクアに頼んでいた。

自分が名を変えれば面倒を見ているお年寄りや子供が戸惑う。

私の我儘を聴いて下さいとお願いされた。

実際に結婚をしても名を変える女ばかりでは無い。

リーファの様に周辺の影響を考える者や名に特別な想いが有る者は、名を変えないし変えさせない夫もいる。

現に彼らと一緒に婚姻した中にも多く居た。

ルクアはもちろんそれを許した。


もっとも二人でいる時は子供の時の様に『ルーくん』、『リーちゃん』と呼び合っているから関係ないのだが・・・・・。

ルクアが渡した青魔石の原石は、隠れた一個を合わせて四個だった。

チョーカーを一つ、お揃いのブレスレットを三個作り意匠は【流れる水・波】

リーファが着けるチョーカーは、中央に置いた青魔石から左右に水が流れ出す意匠にして有る。

揃いのブレスレットも同じ意匠だった。

ルクアは左手に、リーファは右手にそれをつけている。

もちろん意匠の中に【遮蔽の陣】と更に強固な【盾の陣】を忍ばせていた。


ルースの義父の親父殿も聖地の中で、多くの術師と一緒に新たに見つかった住居部分の整備を続けている。

ルクアは率先して、その住居跡のインフラを調べまくっていた。

各家庭への上下水道、換気、日照の代わりをする魔道具を繋ぐ【魔絹綱】やる事はいくらでも有った。

自宅に戻る頃にはルクアが着けたブレスレットの青魔石の魔素は空になる。

それを持ち帰って外して夜を過ごす。


翌朝、自宅にある3つの魔石の状態を見る。

リーファの魔石は、聖地の中で仕事をする際に注がれる『魔素を吸収』させて『妊娠』に影響が出ない様にする為。

だから、充填されすぎては行けない。

空になったルクアの魔石と交換しておく。

この魔石も、外せるのは二人だけだ。

台座に刻んだ【固定の陣】が魔石を抱え込んでいる。

(この【固定の陣】はルクアが編み出した。彼の功績のひとつになっている)

もう一つのブレスレットは、聖地の中に設けた【魔素の泉】に設けた彼の収納箱に置いてあった。

こちらは空になった魔石を入れて置くと、大きさや魔石の質によるが、半日もすれば魔石は魔素で一杯だ。

こうして、ルクアも農園の中に設けた託児所と学校で忙しく働くリーファにも女の子が授かった。



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