表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
735/927

735 結婚式そして結婚式 105 後始末 07偶然の産物

発電能力が落ちた使い古しの発電型ボーズを水中に沈めると、水中に存在する放射線物質を取り込んで放電していく。、

これはファルトンでは、割と早くから知られていた。


ある国で露天掘りで鉱物を掘っていた。

この頃には、二本の電極が突き出した発電型のボーズは色んな現場で使われていた。

周囲から滲み出る地下水が一番底に溜まる。

その地下水を地上に送り捨てる排水ポンプの電力源として重宝されていた。


様々な鉱物が掘り出されるが、採掘量は減少し閉山は時間の問題だった。

結局、地下水を排出するコストと見合わせて鉱山は放棄。

溜まり続ける地下水。

多くの資材が残されていたが、もうファルトンを捨てる事になっていて新たな鉱山を地上で開発する予定は無くなっていた。

小惑星群で鉱石を集めて、宇宙空間で移民団の艦船を建造する方が効果的。

そう判断された。

機材が、そのまま水没して行く。

使い古しの発電型ボーズも、その中に含まれていた。

地層からか滲み出る地下水に、放射性物質が含まれて汚染が進む。

こうして人々が近寄れない人工湖が誕生した。

放射性物質に汚染された地下水を溜め込んだ人工湖。

誰もがその存在を忘れていた。


上空を飛ぶ航空機が、この湖の異常を発見した。

夜間に光って見える。

湖面の表面温度が時折、上昇する。

見捨てられた人工湖にあがる謎の炎。

時折消えるが、すぐ様見えない炎が燃え上がる。

夜間には月軌道上の衛星からも、ぼんやりとした円形の湖が浮かび上がる。

直ぐに水素炎だと判明したが、水中に無人潜航艇を沈めて初めて正体が判明した

水中で発見されたボーズからプクプクと泡が出ていて、それが水素と酸素だと判明したからだ。

これが、一定濃度に達した瞬間に湖面で爆発着火する。

しかも、湖から観測される放射線量が低下している。

偶然が、一大発見に姿を変えた。



ファルトンでも宇宙空間を旅している際に、有効なエネルギーの供給手段は無いかと模索していた。

ボーズがコーカを食い散らしている事は、もう解っていたが引き返せない。

ただ、解らない事はボーズの挙動。

コーカが消え去った時、或いはコーカからの距離が離れた時。

そして、送って来られた、そのエネルギーを電気や推進力に変える仕組みと、その最後が謎だった。


前から、移民船団の居住スペースやコールドスリープカプセル(CSC)の周辺には、水を充した隔壁を置く事は検討されていた

このシステムを利用した隔壁が取り付けられていて、飛んで来る放射線を防ぐ為と、水を電気分解して水素と酸素に分けて、これを使って燃料電池として発電した。

宇宙空間を飛んでくる電子線や放射線の量は大きく変化する。

酸素と水素に分けて貯蔵させておけば安定的に使用可能だ。


一石二鳥という訳だ。


エネルギー供給源は、赤色巨星となっている筈のコーカ。

その表面に浮かぶ黒点からの、エネルギー吸収が出来なくなった発電型ボーズがなせる技らしい。

碧も散々考えているが、まだ不明な点が多すぎる。

下手に放電させると、一番近い太陽に黒点が現れてしまう。

これは、碧がやってしまった実証実験からあきらかだ。


バッテリーとして復帰するが、これが何万も増えたらと思うと使えない。


使い物にならなかった電力供給型ボーズ。

ところが、水深120メートルを越えた辺りで変化が生じる。

今回、ドーンから渡されたボーズの大きさは小さく約40センチのほぼ球形。

一部に平面な部分があり、ここに近接し飛び出た二本の電極がある。

この電極間間で電力が得られる。

ところが【核種減衰装置】には、新たなパーツを取り付けられていた。

片方の電極にスッポリと被る様に、違う金属がソケットの様に取り付けられる。

そして、電極の間を仕切る様にカバーが取り付けられて、発生した水素と酸素を分離する様になっていた。


【核種減衰装置】と元のボーズを見比べる二人の科学者。

ドーンが操るカメラが、碧とその側の若い研究者に向けられる。

二人には電極に新たに被せられた金属と間を隔てる透明な膜について見当がついた。

「海中用ですか?」

「そうだ。

海中で電気分解を行うと、酸素の代わりに塩素が放出する」

電気化学の基礎。

「ファルトンでも、海水には塩化ナトリウムが存在しているからね。

電極部分もファルトンでも解析出来ていない金属だ。

そのままでも、使えるが知っての通り電力供給型のボーズには偽物が混在する。

ルベルの科学者がそれで一儲けした。

だが、蓄電池としては使い勝手が良くて、この艦の中でも使われている。

それを使った場合の電極がこれだ。

塩素の発生を防ぐ触媒型の電極とイオン交換膜を使って、塩化ナトリウムを電極周辺に寄せ付けない様にしている。

純水の電気分解をしている訳だ」


透明な樹脂のカバーには、電極部分から発生するガスを分けて取り出す為のパイプが付いていて、これを使って燃料電池を動かす事もできる。

『ボーズ自体の金属もファルトンでも不明のままだが、電極もファルトンの物だから盗まれない様にしろよ。

特許の使用料は取らないし、新たな構造で出来るならやってみてくれ!

コールドスリープカプセル(CSC)に使っているイオン交換膜の技術や、触媒の技術じゃ地球には負けないよ」

ドーンが笑う。


碧も横にいる若き研究者、冬樹・ロックナーはイオン交換膜と燃料電池の研究者として放っては置けなかった。

先の人工子宮に使われている人工胎盤でも苦戦続きだ。


「この球形部分に接触した放射性物質が、一瞬で取り込まれるのは解るんだけど、

反応が終わった物質。

最終物質の鉛は、どこに消えたの?

半減期の概念は?」

碧がアメリカの研究所で取ったデータをドーンに見せていた。

「ただ使えるだけだ。作れれば夢の装置なんだがな」

ドーン達も、ファルトンで散々やったが無理だったそうだ。

碧もキッシンのコネを使って様々な施設で試したが、圧力では無く水深が必要だった。

ファルトンの鉱山跡の湖が、水深150メートル以上なかったら発見されなかったかも知れない。

宇宙空間で使えたのも、次元の違う空間を挟んでいたからだ。

推進力型は、エネルギー量が違う。

そのくらいの次元の壁は突き抜けた。


流石にイオン交換膜の複製には未だ時間がかかるが、萩月の研究所で産み出した新たなイオン交換膜と触媒を使って塩水でも塩素を発生させないシステムを開発して特許を取得した。

日本の大学でも、この分野での研究が行われていて学術論文が出されていたが、ロックナーのイオン交換膜との併用で、塩素の発生を完全に止めた発明は賞賛を受けている。


「全く!まだ特許を取ったばっかりなのになぁ〜」

ケーブル敷設船の船上で、妻 葵の膝枕を堪能しながら、冬樹ロックナーが苦笑いをしていた。

この男。

何かというと、葵に膝枕を要求する。

初めて、膝枕の魅力に取り憑かれたのは徹夜、徹夜続きの研究室で横に座った葵と、お茶をしていた最中だった。

これ以上徹夜させては不味いと、葵が妖狐の術で眠らせた。

その際に葵に抱きついたまま膝枕で眠ってしまった。

心地良い感触。

実は未だ妖狐出会った葵が、ロックナーの行動に驚いて尻尾を出してしまった。

その尻尾にロックナーが抱き着いた。

葵の体臭と触り心地の良い尻尾。

ロックナーは何度もプロポーズをしていたが、妖狐から人になって、やっとプロポーズを受けた。

尻尾に惚れられた様で気分が悪かった。

尻尾の事は、まだ秘密だ。

それでも、体臭と膝の感覚が、どんな寝具にも代えられないと言い切る。

変態だ・・・・・


ファルトンのカバーと電極を【核種減衰装置】に取り付けて沈めては危険なのだ。

アーバインの【保護の陣】がある限り、破壊されることは無いとはいえ、地球外の物質を目の届かない場所に置いて置く気はしない。

【核種減衰装置】にはJAXAで付けた【NDA/CCF 】のタグが付いているし、万が一破壊行動に出たら壊れる事はないが、()()する事が確定している。

日本では、試験的に東北の沖に千個ほど【CCF】の管理下で沈めている。



光ケーブルの敷設船を装って、石垣島から北上する黒潮に沿わせて三千個沈め始めていた。

モニタで見ると、明らかに大陸側で水素発生量が多い。

「この海底からのカーテンは、どれ位効果があるんだ?」

モニタを見ているJAXAの研究員に、ロックナーが質問をした。

「海面スレスレまでですよ。

大体、海底から底面数十メートルの防波堤が立っていると思って下さい。

海面では10メートルの範囲が綺麗になっていますよ」

「放射性物質は、拡散しているはずなのにな?」

「分かんないんですよ。推測すら建てられない現象ですよ」

「それなら、仕方ないな」

「このボーズに関わる事象は、理論すら解っていません」

「黒点がブラックホールで、ボーズの内部に対になったホワイトホール・・・・

ホワイトホールを、どうやって閉じ込めた?」

「ですよね?さっぱり解らないんですよ。

これに関わった研究者は誰もが言います。

『宇宙空間。それも原始の宇宙にでも居なかったらできない事だ』

そう言い切っています。

私も説明受けましたけど、途中で諦めました・・・・・

訂正します。

のっけから、さっぱりでした」

「水素の放出量増えています。

台湾でも敷設開始していて、着底開始後から、すごい量の水素が出ているそうです」

「大陸から海中に、放射性物質が流れ込んできているんいだろうな」

モニタに映し出されたデータには、海面に現れる水素の泡が見て取れる。


空母キッシンから、やっと解放された友嗣が敷設船に現れた。

イチャつく甲板上の二人に目をやったが無視をする事にした。

洋樹と真弓は空母キッシンから、航空機を乗り継いで日本国内に帰ったが直ぐに新たな任務に就いた。


「ドーンさんの船には、いくつ残っている?」

また、南極にも行かなくてはいけないな。

そう思いながら、JAXAの研究員に尋ねてみた。

「人工子宮ユニットのエリアを保護する為でしたからね。

あのエリアを囲む様に取り付けてありました。

宇宙空間で長い時間過ごすには欠かせない装置です。

直ぐに取り外せるのは一万個ほどです。

アメリカとフランスにイギリスにも持ち込んで試していますからね。

JAXAでオリジナルのカバーと電極を外して、国内の工場で製作した物と交換が済み次第、タグ打ちとケーブル接続をしていますから、それが済み次第持ち込みます。

沈める時には、保護の陣を貼り付けています。

蒼さんのアトリエは、もう大忙しですよ」


海図上の一点を、指差す友嗣。

「大陸の沖に浮かべたタンカーには、どの国も接近させていないよな?」

「はい。それはもう厳重に遮蔽を張っていますし、線量計の数値を見たら誰も近寄れません」

「大陸の領海に入る許可は、まだ貰えないのか?」

「今、外交ルートを使って、現地沿岸に敷設する許可を貰おうとしていますが

『先に寄越せ』

と一点張りです」

「分解しようと思っているんだろうな。どうなるんだっけ?」

「ホワイトホールの露出ですよ。

碧さんの話じゃ、破壊された瞬間にコーカの黒点が一つ消えて、そのエネルギーが放出されるそうです。

下手したら破壊の瞬間に太陽に黒点が現れて、そこからのエネルギーも加算されます。

その場合。広島型原爆が何万も落ちたことになりますよ。

そこまでの情報を渡したんですが、それでも言う事聞きません」

「先ずは、放射性物質の拡散を止めることが先決だろう?

タンカーもそろそろ限界だ。

オーバーフローさせて、海に放射性物質を拡散させて処理を開始しないと、本当にタンカーが沈没して取り返しつかない事になるぞ。

平和利用しかできない代物だ。兵器に使えるものじゃない」

「『我々を疑う気か!』

と、地元の要求そっちのけですよ。

大陸の沿岸1,000キロが、汚染されかねないと言うのに・・・・・」

「今、どれ位が危険域だ?」

「あの原発の左右。20キロですね」


「面白い実験結果が出て、台湾の小島から仭さん達が大陸に戻られたそうですね?」

「あぁ、その為に今から台湾に渡るんだ。そうか、上手くいったのか!」

「体内に吸収されてしまった放射性物質ですが、尿や呼吸で排出されていますがそれでも蓄積した分を足湯感覚っでボーズに足を着けていたら吸収された様です。

JAXAででっかい水槽を120メートルの海中に沈めて汚染された魚と、このボーズを置いたら半日もかからずに、体内から消えたそうです」

「120メートルか・・・・・・一般人には無理じゃ無いか?」

「ドーンさんが教えてくれました。ボーズ周辺に120メートルの水深さえあれば良いそうです。

ですから、患者は地下に繋がるエレベーターで120メートルの地下に行き、強化ガラスに埋め込まれたボーズに足湯感覚で寝そべれば良いんです」

「そう言うわけか・・・・・それで、仭達も復調したのか?」

「『ほっといてくれと』散々言われましたけどね。

『翠さんと楊さんに、子供が出来た』と言ったら大人しくなりました。

血は繋がっていませんが、孫なんでしょうね。

ひ孫には、勝てないみたいですね?」

「まぁ、これで道士の三大派閥が一つになったんだ。大陸も、もう変な手出しはできない」


半日後、大陸政府が折れた。

デモが発生し、派遣していた軍人が制圧に向かわない。

遠く離れた地区から軍人を送り込んで土地の関係を切り、対立を利用して民衆を制圧する。

そんな姑息な手が、何時迄も通用する訳がない。

民衆と軍が同じ土地を守る為に手を組んだそう見える。

【このままでは暴動、いや政府が転覆するクーデターが起きる】

そう考えて対処を検討していたが国家主席自ら、国連本部に中継映像で参加してCCFの提案を受け入れた。

国民の一部には貸与される装置が、日米英仏伊と言う強烈な各国の所有物と、故意にリークされて反対意見も出たが、直ぐに世論にボコボコにされて、政府に飼われた論説者は黙りこくった。

「SNSの威力だな」

「仭さんと一緒に女帝・・・紗羅様を、連れて行ったのが一番ですよ。

記憶操作で、しばらくは操り人形になってもらいます」

「もう、あいつ大陸に乗り込んだのか? まぁ、行ってみたいと言っていたが、台湾に飛んできていたのか?」

「日本国内に居る土の術師を連れて、翠さんが所有する事になった島の改修工事。

大急ぎでやりましたからね。

たった、三日ですよ!地上部分はプレハブですが驚きです」

「みんな腕が上がったな! 隆史君も参加したのか?」

「えぇ、北村隆史君ですよね。

萩月の術よりアーバインの術の伸びがいいんです。

アーバインの術師が、ルースの聖地で体験修行させてからだそうです」

(まさか、誰かの生まれ変わりとかじゃないよな?)




どんなに言っても、どこかの国が錨が引っかかっただ、漁網が流されたと言って引き上げにかかるだろう。

だが、切れない。

全てを連結させてケーブルに接続している。

着底した海底に根を張る様に張り付かせている。

何かが触れたら直ぐに探知されて、別途結んだ条約に照らし合わせて重罰を与える事になっている。

陣が刻まれているのだ。

【保護】までかけて・・・・・

何年、この大陸の沖でプクプクと水素を吐き出し続けるのか・・・・・

水素濃度が高くなる事があれば、また、放射性物質を流した事になる。

だから言ってある。

【虎の子の原潜と、原子力空母を鉄屑にしたいならやってみれば良い】

巨大なエネルギーを放出中の、物体に寄って行かせる事も出来そうだ・・・・・

間違いなく放射線だけでは無く、核反応物質にまで手を伸ばして核反応を止める。


こうして、未知の技術を持つ集団としてCCFが表舞台に立つ。

日本国内だけでは無く

どこから聴き込んだか、様々な環境活動家が寄越せ、寄付をしろ、貸与すべきだと言ってくるがCCFは耳を貸さなかった。

おいそれと、正体が怪しい人間に渡す訳もない。

やはり過ぎたる技術なのだ。

【必要があるかどうかは、私どもの調査団が伺います】

こうして、洋樹達の一行を受け入れさせるカードが又出来た。


国後島を始めとする北方四島。

そして、カムチャッカの【原潜の墓場】に沈む北の大国の原潜。

法力を使う無人潜航艇【タートル】の出番になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ