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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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732 結婚式そして結婚式 102 後始末 04

「オウ所長!」

「オウ!」

「あぁ、マオか?あれ?ここは?」

「セーフフロアです」

「その割には明るいな? 電源が戻った?」

「いいえ、まだ紫の霧に包まれて、2時間も経っていません」

「・・・・・二号基! 二号基の方は!」

「解りません。外からの情報は全く無いんです」

「ここのドアも、外からロックされていて開きません」

「だが、この明るさは?」

「アレですよ。」

天井にいくつもの丸い物が貼り付けて有って、それが光を注いでいた。

「所長こそ、あの京劇の面の男達と話していましたよね?

あいつら何者なのですか?」

「・・・・・彼らは、仭所長の仲間だ」

「【仭】・・・・・・って名前だけ記されている、ここの初代所長じゃ無いですか?」

「あぁ、物理学の天才。

ここの3基の原子炉を手掛けた方だ」

「でも、追放されたんですよね?」

「あぁ、この国ではよく有る事さ。

所長となれば、権力者が顔を見せに来いと言うからなぁ。

メンテナンスの時期や出力制限の時期に口を出してくる。

『この日はダメだ。工場の稼働が、この日まで続く』

『今年の夏は暑い!政府の指針に従っていては死人が出る。

電力供給量をあげろ』

『データは、改竄すればいい。

誰も、原子炉なんかには入らない。

テレメタリーのデータは補正するんだ!

良いか!補正だ。

その補正係数を、いじれば良いだろう?」

万事がこんな調子だ。

嫌気がさしていたんだろうな。

厳しい先輩だった」

「でも、どうやってメルトダウンを防いだんです?」

「もう、燃料棒が原子炉内に溶け落ち始めていたじゃ無いですか?」

「メルトダウンは起こったよ。だが、それを海中に吹き飛ばした」

「そんな!無茶苦茶な!」

「気づいてはいたが、生きているとは思わなかった海中投棄用配管が有っただろう?」

「まさか、原子炉から海中に放出したんですか!」

「その様だ」

「それでは、ここ周辺の海は・・・・・」


「大丈夫ですよ。今まで蓄積していた放射性物質共々、全て空きタンカーに移しています」

「誰だ!」

所員の中から見た事もない男が姿を現した。


「済みません。

動かないでください。

又、拘束する事になります。

ロウさん。もう嫌でしょ?」

副所長のロウが頷いた。

あの痺れる感じは、もう懲り懲りだ。


「あぁ、皆静かにしてくれ」

「ありがとうございます。オウ所長」

「先輩の仲間か?」

「えぇ、やっと仲間になって頂きました。

取り敢えずセキとだけ名乗ります。

皆さんの、お世話をする事になっています」

「それじゃ、この灯りもそうかね?」

「えぇ、灯りと換気は、私が復旧させました」

「じゃあ・・・・」

「いえ、外には出れませんよ。

紫の霧は、もうこの国の殆どを覆い尽くしていますし、電力は一切発電されていません。

電気機器が使えません。

理由は、さっぱりわからないそうです。

それに、ベントバルブを開けたじゃ無いですか?

1号基も3号基も、放射性物質を放出してしまっています。

老人達が必死で対応してくれましたけど、管理が悪過ぎです。

老人達も、余りの酷さに泣いてましたよ。

廃炉一択ですね」

「それは解っている。どんな罪に問われても異存は無い」

「所長!」

「元々、国際機関からは廃炉を言い渡されていたんだ。

だが我が国の電力供給量が不足しているんだ!」

「そうですね。

省エネタイプに変えても、台数を増やして設定温度を下げて使うエアコン。

付けっぱなしのテレビ、夜でも明るいイルミネーション・・・・・

それでは、どんなに計画を変更しても追いつけない。

所長を焚き付ける上の連中も、民衆の欲求を全て抑えられる訳じゃ無い」

「良く、国民を観察している」

「今は、待つだけです。飯でも食いません?

前からこう言った場合に出る非常食に興味があったんですよ」

「大した物は提供できないけど、食べていけ!」


レトルトの中華丼に野菜ジュース。

セキがどうやったのかわからないが、冷めた飯にはならなかった。

車座に座り

「今このフロアの保存食・・・・・ここに居る28人ともう一人。

千食分保管されています。

10日持つ勘定ですが、動かない訳ですから一日二食にして三週間。

勿論、これは、この換気が続くことが条件ですが・・・・・・」

「換気は、問題無いですよ。

水も、こうして持って来ています」

セキと自らを呼んだ男が、床に20リッターの飲用水タンクを100個ほど出した。

「な、何ですか!」

「手品?」

「道士?」

(じん)さんに、聞いたんですね?

えぇ、道士です。

ですが、友人から鍛えられましてね。

こう言う事もできる訳です」

「萩月・・・・・なのかね?」

「そうです。道士で有りますが、萩月でも有りますね・・・・・・

時折り、訪れて差し入れします。

先ずは、本日は皆さん。

お疲れ様でした。

ちょっと、変わったスイーツですが、日本で今有名になりつつ有るパテシエが作った物ですよ」

セキは同じ様にして、中に餡が入って串に刺された団子を山の様に積み上げた。

白い味噌の風味に胡麻が混ざっている。

餡がかかっていて美味い。

ペットボトルの茶が合う。

「つくづく驚かせてくれるな」

「出来立てのスイーツにお茶」

「それに、時折り訪れる?」

「君は、出ていけるのかね?」

「えぇ、取り敢えず私だけは移動できます。

所長と三名の副所長を、ここに運んだ術です。

皆さんを脱出させるには、少々、安全地帯まで距離があり過ぎます。

私の能力では、私一人が精一杯なんです」

「安全地帯・・・・・何処になるんだ?」

「・・・・・・ルーモイです」

「ルーモイ! 300km先だぞ!」

「内陸部・・・・海岸は、海岸の都市はダメなのか・・・・」

「いえ、そう言うわけでは有りません。

私達の、アジトが有るんです。

そこに行かないと、私は力を発揮できません。

申し訳無い。

まだ、力不足です。

ですが、道士を纏める者が必ず道士を導く筈です」

「解った。他でも無い仭先輩の言う事だ。

君の言う事を信じよう。

どっちみち、ここからは出られない様だし、今後、どうなるのかな?」

「それで、ひとつ皆さんを驚かせる話をしておきます」

「何かね? これ以上驚かせる事とは?」

「今、タンカーに溜め込んでいる高濃度の放射能物質を含んだ汚染水ですが、これを処理します」

「何だって!

それは処理しなければならないのは当然だが、そんな高レベル核廃棄物を積んだタンカーには誰も近づけはしないぞ!」

「そうです。

でも、地球上には存在しない技術で、タンカー内の汚染水は除去できます。

更に言えばタイミングを見計らって、皆さんの体内の被曝影響を取り除けるか試させてください」

「ふふ、もう驚くのに疲れてしまいましたよ」

「そうだな」

「それでですね・・・・・」

「他言無用という訳だろう?」

「えぇ、お願いします。でも萩月にかかれば記憶の書き換えが出来る別嬪さんが居ますから心配しないでください」

「仭先輩も、被曝して様だが・・・・・」

「えぇ、勿論、強引に実験台になってもらています」

「あはは、又、『オレ達を実験台にしやがって!』って喚きそうだな!」

オウは、自分達が泣いている事に初めて気がついた。


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