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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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721 結婚式そして結婚式  93 ゲリラ14

「梓さん!」

「あぁ、済まん。少しうたた寝をしたな。何かあったか?萩原君」

仮眠を取ることもせずに立ったままで、ホワイトボードを見て全国の状況を確認していた。

梓も流石に疲れが出て立ったまま眠ったようだ。

「大丈夫ですか?」

「あぁ、寄る歳波には勝てんな」

「そんな事はないですよ。掛けてください」

椅子に座らずに居たのは、机に伏して寝てしまいそうだったからだった。

杖を使う梓が、そうまでして守りたい。

国、国民、そして未来。

この人が、首相であれば・・・・・

萩原は、この長野のJAXAを任された際に訪れた、首相官邸に詰めた村田や泉の言葉を思い出す。

「もう若手でも、交代で寝ているんですから。

でも、もう睡魔がすっ飛びますよ。

これを見てください!」

今までは、萩月が設置した魔石板しか映像を映し出していなかったが、モニタが再稼働していた。

映し出されているのは、朝日が降り注ぐ東京都心部。

首相官邸、新宿駅前、スカイツリーからの映像・・・・・

次々にカメラが切り替わる。

他のモニタにも、次々に国内の原子力発電所が映し出されていた。


「通信も復活したのか?」

「えぇ、これば所内のバッテリーで動く様になりました。

間も無く発電機を起動します。

通信も徐々に復活してきています。

大気中の呪素量も、もう計測限界以下になった場所も出てきました。

電話で確認できる範囲で調べていますが、長野県内で不調を訴えているのは、気分がすぐれない程度で、健康を害している者は居ません。

しかし、医師団と相談して交通関係と公共施設には、制限をかけておく事が提言されました。

体調不良を訴えているのは、元々、鬱状態の人に多く。

残念ながら、自死者が報告されています」

「梓さん!北海道、東北管内の水力発電所。

所員が出て各設備の点検を開始しました!」

「同じく停止中だった原子力発電所も順次、安全確認を開始しました。

緊急用の落水式冷却水路は継続して使用します」

「火力発電所及び変電所にも、所員が点検に入りました!」

「動ける様になった電源車!緊急医療病院へ配置!」

「交通制御システム復旧開始しました!」

「電力会社の広報車が出て、通電再開時の対応広報開始します」

「政府非常事態対応室と繋がりました!室長の泉さんです!」

「はい。梓です」

「梓さん。どうもお手数お掛けしました。

本来ならば政府がやるべき事なのでしょうが、内容が内容だけに申し訳ない」

「良いんですよ。泉さん。私たちはやれる者がやる。

それで良いでしょう。間違いなく対応をして国民を守る。

それに、コレからの事は私には出来ない。よろしくお願いします」

「萩月さんにも、宜しくお伝えください。

『今は、お休みになられている』

と北村さんが伝えてくれました。

北からの、侵攻作戦を止めていただいた様です」

「そうですか。キッシンさんが憂慮していた事が起こったようですね?

現地からの報告がありましたら、いつもの通りご報告します」

「餅は餅屋です。私には陰陽師の事は解りません。

通常でしたら、大陸から何かあるかも知れませんが、

恐らく、それどころでは無いでしょう。

今復旧した日本海側の放射線観測ポストのデータが、気になる数値を叩き出しています」

「それならば、そちらにご注力ください」

「ありがとうございます。それでは、よろしくお願いします。

総理に、どう説明するかが頭が痛い話です」

「お互いに、苦労しますね」

そう話をして、通話を切った。


「泉さんが、官房長官で助かりますね!」

「あぁ、元々あの家も陰陽道に関わりがあるからな」

「現在、どの辺りまで通信は回復している?」

「現在、静岡と富山を結ぶライン以北ですね。

この分だと日本全体が回復するまで、12時間じゃないでしょうか?

沖縄は、通信、及び各地の観測機器再稼働しました。

離島の方が回復早いですね。

米国も、アラスカは影響無かったと言ってきました」

「JAXA筑波、相模原!正常稼働に移行しました!

衛星とのリンク!問題ありません!

所員に健康被害を訴える者はいません!

サンクチュアリーのお陰ですね!」

「美沙緒さんには、感謝するしか無いな」


「ケイランドの状況は、まだ掴め無いか?」

「まだ、赤道を中心とした一帯は、呪素と思われる紫の霧が残存しています。

JAXAの監視衛星も、距離を取って監視を続けるのが精一杯です」

「そうか・・・・・・

大陸の情報は入って来ないか?」

「東シナ海に面した、原子力発電所の異常発熱と、大気中へ放出されている放射性物質の濃度あがっています」

「対応はできそうなのか?」

「電源が復活すれば、長くはかかるでしょうが止められるでしょう。

最も、この発電所は閉鎖する事になるでしょうね」

「位置が悪いな」

「えぇ、石垣島が近いですね」

「仕方無い。ファルトンの浄化システムを敷設してくれ!」

「解りました。

丁度、光ファイバーの敷設用艦船とその支援艦が出ています。

米艦隊に護衛を頼みます」

「こんな時に、使用する事になるとは・・・・・」

「あの震災後の対応に対して、クレームを入れ続けている大陸の尻拭いをするなんて・・・・・。

ドーン団長が持ち込んだ、放射性物質処理技術。

核種減衰装置。

ファルトンの技術が役立つとは思ってはいたが、日本より先に大陸の為に使うだなんて皮肉なもんだなぁ」

「右田君!そんな事を言っている場合じゃ無いんだ!

許されるなら、直接その発電所に設置したいくらいなんだ!」

「済みません 梓さん」

「そうでした!」

「いずれ、萩月とアーバインの事は、全世界の人間が知る事になる。

その力を疑う者も、その力を独り占めしようとする者も出て来る。

そうならない様にするには、今こうして秘密を抱え込んでいる人間が、正しく見て、使う事が必要なんだ」

「・・・・・」

「済まん!疲れている様だ。産総研の方はどうしている!」

「蒼さんが、レーザー加工機の再調整に入りました。

こうなる事を推測して、沈降させる深度に合わせて形状を変えていたそうです!

あっ、通信です!」

「梓さん!ご苦労様! 聞こえたわよ!

相変わらず熱いね!」

「あぁ、蒼さん。済まないね」

「良いのよ!

それよりも、紀伊半島で見つけた法力の陣はどうなの?」

「心配要らない。

大方の予想通り熊野神社の舞台下に地脈が入ってきていて、陣が見つかった。

だが、損傷が有るらしく有田で見つけた陣との交換を行った。

若菜さんを、中心としたメンバーで交換作業は終わり、

もう 法力の吸収を行わせている」

「コレで、海中に沈めても使える見込みが付いたわね。

そう!悪いけどアトリエに送って!

私も、ここで必要な魔石板の加工を終わらせたら持ち込むわ!

それじゃ、敷設工事は渚達に任せるのね?」

「大陸棚が150メートルだが、沖縄トラフに沈降する放射線物質が心配なんだが?」

「大丈夫!深度に合わせて数種類設計してある。

それに、形はアレだけどクラゲを模した物を浮遊させるわ。

海面で、放射性物質を吸収させるわ。

どうせ、汚染海域へは大陸も漁船を入れないでしょうけど、海流は日本やその他の海域へ来るから、そこで止めるしかないわね。

側から見たら漁船が、網に入ったダミークラゲに手を焼くニュースが放映されるでしょうけどね。

そのクラゲの触手が放射性物質を吸い込んで、沈降し処理ユニットに潜り込むなんて思わないでしょうけど」

「割り込むわよ!蒼さん!あなた海洋生物まで参考にしていたの?

だから、金沢に入り浸っていたんだ!

位置が決まったら【破防石】と抱き合わせて設置するわ!

沖縄トラフ用の3,000メートル用の物は自動潜航艇で敷設させて!」

「美沙緒! アンタ大丈夫? 寝てないんじゃ無い?」

「巴と同じセリフ! もう何人私の事子供扱いするの〜先に、大陸棚の分を運ばせて!」

「解った!」

「済まないな」

「何言っているの?

新しい技術を見せてくれて感謝しているわ」

「私も、南極大陸に行かないとね」

「そうだな、私もまだなんだ。

身体が動くうちに行こうかな?」

「修学旅行見たいね。先生、引率お願いね?」

「あぁ、任せとけ!」



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