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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
703/926

703 結婚式そして結婚式 79 重ね舞

熊野の、お社の舞台。

日の出前の、早朝にも関わらず多くの人々が居た。

巫女服姿の若菜が、不在の友嗣に代わって舞台を貸してくれた事への礼を熊野大社の神主に伝えていた。

「いや何の。

岩屋神社の巫女の舞を、お手伝いできるとは思いもしませんでした。

伊勢神宮からも、こんなに多くの巫女や禰宜が駆けつけていますよ。

それで、お手伝いはいらないのですか?

鳴り物が必要では?」

「いえ、大丈夫です。

以前、岩屋で巫女を務めていた者が来ていますから、その者が鈴を使います」

「はぁ、鈴を?」

「ゆっくりと、ご覧くだされば理由は、お分かりになりますよ」

そういうと席を勧めた。

こうして、熊野神社の禰宜と巫女達も、伊勢神宮から駆けつけた禰宜と巫女達と並んだ。

伊勢には、宮内庁から是非に見学しなさいとの指示が来ていた。

ただし、映像を撮るな!心に刻み込め!

そう言われている。


最初に、桜が舞台に上がった。

鈴を鳴らすのは幸子。

シャンシャン、シャンシャンシャンと静かに音が響く。

舞台中央で頭を下げて動かない桜。

先程まで聞こえていた車の音や、雑音が聞こえなくなっていく。

静かに、桜が舞い始めた。

どれほど経ったろうか、桜の周囲に桜の花びらが舞う様に見える。

不思議に思うのだが、声を出す気になれない。

目を離せない。

鈴の音が、それを許さない。

軽やかに、そして荘厳に舞う桜。

ロイアに抱かれた霞の両手が舞に合わせて動く。

膝から下ろしたら間違いなく、この場で踊り出すだろう。

オーロラの膝の上でも、同じ様に高嶺が舞う。

やがて、桜の花びらが消えていき、いつの間にか桜が舞台から消えていた。

見ていた禰宜と巫女は声も出せない。


噂には聞いていた。

岩屋神社の巫女の中に、桜と舞う巫女がいると・・・・・

噂は本当だった。

「若菜様。

これほどの事が、できるのですか?

心が洗われた様です」

「そうですか、それでは神に近づきましょう」

若菜が頷くと、又鈴の音が始まる。

鈴を奏でる巫女の隣りには誰もいない。

だが、白い巫女服の女が現れてから、太鼓と笛の音がかすかに聞こえてくる。

他の和楽器の音も。

舞台を、ただ回る巫女。

だが、その巫女の背後には1人、また1人と微かに色を違えた巫女服が増えていき八人で舞を踊り始めた。

(相変わらず鮮やかね。麗子、阿国)

もう、観客は目を見張るしか無い。

八人の巫女は風の様に舞い、流れる水の様に舞を繋いでいく。

その度に天上から光が差し、見ている者の身体を撫でていく。

舞台を踏む足音は一つなのに、間違いなく八人の同じ女が舞を舞う。

そして、1人また1人と、その姿を重ねて1人の巫女が舞台に残った。


「ありがとうございました」

先程舞を見せた巫女も、もう一度舞台にあがり頭を下げた。

ロイアは、これが麗子が言っていた奉納舞と知った。

涙が出て来て止まらない。

「若菜様。本当にありがとうございます」

舞台にも巫女達が礼を述べに集る。

「若菜。どうせなら、一緒に舞いますか?」

紗羅が、準備を終えていた。

「それでは、幸子も一緒に、娘達に見せてあげて」


岩屋紗羅。

神職とは言えど、誰もが沙羅の事を覚えていた。

テレビ番組の中でも、桜と咲耶と一緒に舞って見せていた。

舞台には麗子を中心に紗羅、若菜、桜、幸子があがる。

「もう姉さんたら・・・・・」

ルナまで引っ張りあげられていた。

美耶・・・・・逃げていた。

恥ずかしい。

もう、長い事、舞を舞っていない。

失敗したらルイに怒られる。

「上空で警護!」

と逃げていた。

「あはは、迫力あるわね。このメンツ」

透歌は、もちろん下で見る側に回った。

「先程の調子で、鈴をお願いします」

紗羅に、そう言われて鈴を任された。

(く、くそ!責任重大じゃ無いか!)

「あぁ、あの、私達もお手伝いを」

そう言って熊野の巫女が、手伝ってくれる事になってホッとした。


麗子(阿国)が、一歩右に動き出し舞台を舞い始める。

次々に、その舞に合わせて続く沙羅達。

阿国と踊ると、体が自然に動くのだ。

膝から飛び降りた、真の娘達も舞を始めた。

やはり、伝わるのだろう。

将来を見据えて、ダンスやバレエの基礎を始めているが、ここまで上手く踊れない。

周りで見ていた巫女や禰宜達まで手足を動かし始めた。


『流石、出雲阿国。サトリ。

どんなに神職といえども、トランス状態に入れてくるわね』

念話を、使って阿国を讃える。

『紗羅!バカを言うな。

場所の影響もある。

この、舞台の下!

透歌!

この下に、地脈が伸びて来ている。

【法力】が立っているのが解らんか!』

『それじゃ、さっきの舞で地脈が動いたの?』

『そうじゃ!

後で、舞を舞わせてくれた礼とでも言って普請を願いでろ!

先の台風で傷んでいるとでも言ってな!』

『あはは、しかし、法力に包まれて踊るのは楽しい』

阿国が、饗に入って長らく舞を舞ってしまい。

皆、疲労困憊して舞を舞い終えた。


まさか、奉納舞で地脈を引き寄せるとは思ってもいなかった。

そうか!

だから、ここに熊野の社が建てられた訳か!

舞台袖にいた美沙緒も、危うく顕現しそうになるほどの法力を受けていた。



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