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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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062 時は過ぎて

2026/01/02 エピソード タイトル修正しました。

       一部文章修正しました。

月日は過ぎ僅か数年で、人々は過去の災いを忘れて繁栄を取り戻す。


【アレ】も街道を挟んで廃墟と向かい合った土地で、小麦の一大生産産地として再復興していた。

サイスに流れ込む川からの農業用水の運河が、その恵みを支えて船着場から河口へそして、沖の船から蔵の街へと流通が充実していた。

蔵の街【シーグス】も、こうして小麦と塩を他の大陸や国内との物流を手にして巨大化していく。

巨大化して行く【シーグス】と安定して収益をあげる塩の村【サイス】。

そして小麦の産地【アレ】。


ここを領地に持つ現領主は苦悩していた。

領主会でのいざこざである。


【呪われた街】と【廃墟の街アレ】を引き受ける為に【シーグス】の領主となったが、復興と黒鳥、銀の鳥の姿が見られなくなった昨今、【ファルバン家】による陰謀説が実しやかに囁かれる。

ファルバン家のいや、【メトル・ファルバン】【メルル・ファルバン】を始めとするあの悲劇以来、あの黒鳥と銀の鳥は現れない。

『彼らが仕込んだ、魔道具の暴走だ・・・・』

そう言い張る領主、商人が居た。


更に彼らは言う。

『領主を降りろ!』と・・・・。


【アレ】領主は【メトル】【メルル】を知っている。

良き友人であった二人の事を。


そして、生き残っているルイスと名を変えた現当主の言葉を信じている。

『奴等はきっと又、やって来る。堕ちなかった【シーグス】、

抵抗した人間が出て来た【アレ】。

この、二つの街は特に危険だ」


だから、その二つの街に有った地下遺跡を使って整備した【避難所】の再整備を、肉屋、聖地、そして浜の村長、彼らと共に進めている。

だが、その行為も疎ましく思われている。

肉屋は、【シーグス】と【アレ】を巡っての領主と己れに対する危うさを感じて、聖地と丘の村との取引に専念する事にし事業拡大をやめた。


聖地は前に広がる農園も、その収穫量を増やし、余剰分は肉屋に安値で回して避難所に備蓄させていたが、これも止めた。

備蓄しても横流しされてしまう。

肉屋は大陸との取り引きは、『丘の村の羊肉』と『魔石の交換』と『繭ガラの回収』に絞り込んだ。

さらにその後、絹関連の取引は店で働く者に、権利を今までの働き分として船と共に安値で売った。

周囲は、肉屋が撤退した今、この機を逃してはと大陸とに取り引きを拡大して行く。


領主は【シーグス】の避難所の再整備を【アレ】の避難所と合わせて行なっていたが、周囲から『平穏なこの時に浪費だ!』と突かれてしまい、備蓄した物資は放出されてしまう。

それを巡る周囲の領主達、商人の横暴。

更に、【アレ】の商人は、温度管理がされた避難所を、小麦の貯蔵庫に貸し出して欲しいと【領主会】に申し出をして、それが許可される。


盗難防止の為に埋められる扉。

下水処理の設備は、魔道具から幾つもの魔石が抜かれて埋められた。

氷室も一部を除いて閉鎖された。

魔素の泉だけは残されて、小麦の倉庫に変えられた避難所の温度調節と【アレ】の街の為に使われる。

【シーグス】の避難所も同じ道を歩む。


これを受けて聖地は、己の備蓄庫に余剰食糧を回す。


浜の村でも変化が起きていた。

新村で幼魚にまで育てた魚を、浜の村に持ち込むという分業が確立していた。

絹を作る際の繭ガラから取った物を主にして作った餌を、氷室と魔石を使って保管している。


【魔絹布】に展開した【遮蔽】と【偽装】の魔道具は、予備も含めて聖地に保管させた。

避難所にも持ち込む予定であったが、避難所の事実上の閉鎖を受けて中止した。


高級な絹布に、特殊な加工をしているのである。

目を惹き【ルイス】の存在、ひいては彼の正体が明らかになりかねない。

そう思い、【魔絹布】を使った魔道具の配布は止め置いた。


ルイス自身の変化も大きかった。

10代で村長に就任し、その妻ライラは男子と女子を続けて産んだ。

更に三人目を孕った。

長男【ミクマ】は、ライラの長兄に似ている。

だが、金の髪をしていた。

続けて生まれた女児は、やはり金の髪をした母メルルに似た茶色の眼をした娘で、サトリである事は間違い無かった。

産まれて数日後、ライラに【念話】して来た。

『お腹が空いた。オムツが気持ち悪い・・』

【シューラ】後の【サラン】の誕生であった。


ミアラにも女児【ミリア】が産まれる。


それよりも周囲を驚かせたのは、茶色の目だったミアラが次第に赤い目になり、サトリの能力を高めていった事だった。

ライラは元々、赤みを帯びた茶の目の色をしていた。

今、その目を見てみれば赤い目になっている。

【ミリア】は青い目をしていた。


サトリが、名変えをすると能力が増すの?

それとも、名変えをしたサトリは眼が赤くなるの?

相手がルイスだから?

悪い兄達は、ルイスにサトリの能力のない女を充てがって試そうとして、ルイスの二人の妻に説教を喰らっていた。

「やれやれ、アンタも大変だね。ミリアはどうなんだろうね? 

シューラお姉ちゃんみたいにサトリかな?」

ミアラの子ミリアを抱いて、義母ソリアはご満悦だった。


肉屋が出産祝いと、領主からの祝いの品に忍ばせた【伝言の石】を持って来た。

蔵の街の代官だった【シーグス】の領主は新参者として見下される。

彼を後押しした領主の中にも、アレの街が復興するに従い【シーグス】と【サイス】を取り上げて【アレ】に押し込もうという連中が出始めた。

それほど【シーグス】と【塩の村 サイス】は魅力的だった。

再び、権力闘争で暗躍する連中が出始めた。

領主は【アレの領主】になる事にし、シーグスとサイスは領主会に預ける事にする。

そうでもしないと、彼の家族の周辺まで危険が及んでいる。

肉屋も権利を売って【アレ】に引き移る。

コムの息子達も【アレ】に移るそうだ。


領主からの伝言石はこうだった。

『サキアに次男が産まれた。名前は聞いていない。

マウアの体調の事もあって、しばらくは聖地には入らない。

未だ、不審者は見受けられる。

私を外そうとしているのも旧ファルバンの者だ』

伝言石は砕け散った。


「そうか、何か祝いを渡したいがな」

「サイスは私の母の里だから、母と私なら怪しまれないわ。

子供達を見せに来たとでも言えば大丈夫よ」

ルイスは、馬車でサイスに向かう義母とライラ、シューラを見送った。

護衛には、猫獣人達が密かにつく。

長男【ミクマ】は熱を出して、今回はお留守番だ。


ミアラの子ミリアは、ミクマの風邪を感染してはいけないとミキジとして住んでいた家に移った。

ミオラはミクマの治療の為、ルイスの家にいる。

ルイスは肉屋の港に泊まった。

浜の大工と共に、肉屋から頼まれた、この宿を改修する為に。

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