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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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596 レリア艦隊 18 合同捜査本部

御室 航と、その部下が交代で操縦するプライベートジェット機で一路、鹿児島空港を目指す。

今回は、普通に入国審査を受けてオーストラリアからの帰国になる。

「やっぱり、何度来てもあの桜島は凄いわね。

噴煙をあげてないのを見た事ないわ!」

日本の地を、久しぶりに踏んだロイアは、はしゃいでいる。

今日、雅樹が恵梨と静香そして両親を連れて岩屋神社に来ている。

早く逢いたい。

(なんで、PJから私を連れて岩屋神社に転移してくれなかったのか!)

そう思う程だ。

逢いたくて、逢いたくて仕方無い。

三人とも来期には、オーストラリアに移る事が決まっていて、あのマンションで一緒に住む事にしている。

雅樹も、自分(ロイア)を受け入れる事を了承してくれたと聞いている。

キャミとリアには、内緒にしている。

彼女達の母親で有るアンも、未だ早すぎると想いを告げさせない様に術をかけて有る。

(何よそれ!怖い!)


出国ゲートを出ると、恵梨と雪が出迎えた。

「アレ?静香は?」

恵梨が、ため息をつきながらロイアに抱きついた。

「聞いてよ!ロイア! 『出迎えはどちらか一人がいればいい。

勝った方が雅樹の手伝いで残る事にしましょう!』

って、ジャンケンで負けたの〜」

「はぁ〜? なにそれ!友情より男って露骨すぎない!」

「『今から、三人で取り合いになるから、今日は勝った方が独占!』って言った!」

「中々、強かな娘だね?」

カミラは、静香に感心した。

「貴女が、勝てば良いのに!」

「だって、急にジャンケンって言われたら『最初はグウ!ジャンケンポン!』で、私、チョキが出せないのよ!

グウかパーなの!だから、静香! パーを出してくる!」

相手の癖を、読み切った静香の勝ち。

チョキを出せば勝てるのに、それが出来ない。

「セ、セコイ!」

「でしょう〜。これから私の味方になって〜、ロイア〜」

(やはり、静香は一枚上。気をつけなければ・・・・・)


車を回して貰って荷物を乗せる。

【収納】に入れてくれば良いのだけど、それでは怪しまれてしまうので普通に着替えやお土産の類は入れて有る。

恵梨からは、コアラのビスケットをリクエストされていた。

同じ様な物が日本には有るだろうに?

「この空き缶が良いのよ!

お土産でクラスに持っていって、最後に空き缶を誰が貰うかのゲームで盛り上がる」

オーストラリアならクラスのみんなは家族で行くが、無駄にデカいこの缶に入ったビスケットは買って帰るにはスペースを取る。

美味しいのだが、買って帰るのが憚れるお土産。

部屋に飾れば、ネタになる一品。


コンナと阿佐美は、アーバインで世話になるハンへのお土産を買いに売店に入っていている。

いも焼酎が好きで『鰹の腹がわ』『酒盗』を好む。

『つけ揚げ』も此処と決めている店舗がある。


今から連れて来る子供達は、養子として受け入れてくれる家庭があれば出しても良い。

そう話が進んでいる。

出産が早い傾向にあるアーバインでは、子供が出ていった夫婦でも30代という夫婦は珍しくない。

特に獣人の家庭は子供好きで、自分でも何人も子供を育てている。

ハンが、そう言った家族に声をかけてくれている。



こうして、岩屋神社に向かう。

明後日には、アーバインに向かって子供達が旅立つ事になる。

今回は、時差を考えて、こちらを夜間に出発すればアーバインでは9時過ぎで子供の面倒がしやすくなる。

ここまで付き添ってくれていた看護師や看護助手も、一緒に行ってもらい一週間ほど引き継ぎをする。

だから、コンナと阿佐美も、今夜先に出発する事にした。


二人で社務所に入るとすぐさま着替えさせられた。

紋付袴に白無垢だ。

沙羅が計画を進めていた。

突然の事に戸惑う阿佐美。

両親の写真が神殿に飾られていた。

和かに笑う二人。

『写真を残すなんてもってのほか!』

と渋る父を宥めて室 兼親が撮らせていた。

まさか、その写真がこんな形で役に立つとは・・・・・

今、阿佐美の近親者の席には兼親と妻、そして立浪翼、晶とその息子健(まさる) 北澤家の面々が座っていた。

コンナの側には

バッフィム、アンジェス、アレンにジェシカ、そしてジャガー、

残りは、ルースでウェディングドレスを着てホールでお披露目をする際に集まるそうだ。

バッフィム達は、ルースでのパーティだけだったので、日本で神式で結婚式を挙げるファルトン人はコンナが初になった。

スインとマインが、それぞれのパートナーのファビオとダンテの手を握って見入っている。

もちろん、恵梨も静香もロイアもポーとした目で見ていた。

アリサは、写真を撮る方に全力だ。

(ネンドロイドで作ってプレゼントするんだ!)

呼ばれていた神羽章子が絵筆を進めていた。

ぎこちなく聖旨を読み上げる二人。

神主を務める脩が悪戯ぽく笑いかける。

「驚いたかい?コンナ」

「当たり前だ!やるなら事前に打ち合わせる時間は有ったじゃないか!」

「それじゃ、サプライスにならないだろう?」


「阿佐美さん。おめでとう!」

「どうも、ありがとうございます。

だから、南極に行く前に防寒着の為だと言って、身体の寸法を測ったのね!」

カミラとアンが、肩をすくめてみせた。

「だって、大女帝様の言いつけよ。

女帝の桜よりも上位者よ。逆らえないわ」

式を脩と、取り仕切った桜が巫女頭の装束で帰ってきた。

後は、アルバイトの雪緒達に任せれば良い。

「未だ女帝の座は、受け継いでないわよ。

お母様の域は、まだまだ先よ」

「そんなことは無いわよ。それに、追いつくまでなんて言っていたら追いつけないわよ。

今の自分でも充分に女帝よ」

「アン〜」

ここも仲がいい。

私達も、こうなれるかな?

ロイアは、心配になった。

「大丈夫。

ロイアならきっと恵梨と静香と、一緒に僕を支えてくれるよ」

後ろから手を回されて、お腹の前で手を組む様にして抱きしめられてしまった。

雅樹の匂い。

腕の中でクルリと体を回して、胸に頭をつけて自分も雅樹の背に手を回した。

「ありがとう。きっと幸せな家庭にする!」

たった半年居ない間に、雅樹は背が伸び胸も厚くなっていた。

身体の奥が熱い。

顔が熱くなる。

すぐに、カミラがそれに気づく。

「卵巣の生育が始まった様ね。後、二年もすれば安全に子供が産めるわ。おめでとうロイア。

雅樹くんも、そのつもりでいてね」

「オイオイ、カミラ! もう、ロイアを彼に預ける気か?」

「策士の静香ちゃんに、大胆行動の恵梨さん。出し抜かないといけないわ!私とあなたの関係になると思うけど!

彼の初めては、ロイアが貰いたいわね?二つ歳上だしね?」

激しく頷くロイア。

もう絶対離さないと雅樹にしがみつく。

知り合っておよそ一年。

やっと巡ってきたチャンスだ。

大学はもう卒業が確定したから、渚達が卒業する一年後までショップに時折顔を出すだけでいい。

だから、自分は雅樹と恵梨と静香で同じ部屋で暮らす。


「そこまで、熱い抱擁を見せつけられてカミラとの事を思い出したよ。

もう、なにを言っても無駄だな」

脩が、用意していたペンダントを渡した。

「これを掛けてやってくれ」

それは、母カミラと同じデザインの青魔石を中心にしたネックレスだった。

「お父さん」

「今かけているネックレスは、彼にかけなさい。

これでいいんだなカミラ」

「そうね、出来れば海のそばが良いわ。それも夕方」

「ならば、洋樹君が香織さんを射止めた海岸に行くか?

西郷家なら順に送れば問題ない」

脩が、娘可愛さにどんどん話を進めて、コンナと阿佐美の式の列席者を次々に西郷家に送り出した。

受入準備が済むと、鈴が送ってくる。

恵梨と静香は、もう諦めるしかない。

和也と尚美も、呆気に取られていた。

「あはは、どうやら今夜は、雅樹が大人の階段を登る日の様だな?」

「みたいね」

「アーバイン人なら子供がいてもおかしくないからな。

この一年で随分と逞しくなった。

日常と違う出来事は男を成長させる」


桜島を、正面にした海岸。

西郷家からも家族が出てきた。

律子も、おなかが大きい。

香織が呼んで桃が開けてくれた【転移陣】を使って真弓と桃に求までやってきていた。

衆人注目の中、ロイアが雅樹の首に父から貰った首飾りを外して雅樹の首にかける。

雅樹は脩から貰った首飾りを、ロイアにかけてやる。

そして、キスをした。

これが、海の妖精ロイアの契りの儀式。

これを経てロイアの身体は卵巣が形成され始める。

身体が火照って仕方がない。

「じゃあ、城山のホテルの新婚用の部屋に行きななさい」

こう言って、脩が簡易陣を展開して二人を城山のホテルの陣に飛ばした。

「じゃあ、私達も同じ城山ホテルのパーティ会場に跳ぼう。

本来の結婚式を挙げた二人のパーティだ、何かと忙しい二人だ。

食事が済んだら、すぐにアーバインに飛ぶ事になっている。

コンナ。阿佐美さん。

ひと段落したら【柳葉】に招待する。

子供ができる前に行くと良い。

子宝の湯でもあるからな。

赤くなった阿佐美。

コンナの為に子供は欲しい。

だが、今は避妊をしている。

アハイラの子供が順調に育ってくれたら・・・・・そう考えている。


「恵梨どうしよう?」

「良いんじゃない。子供が作れる様になるには後二年はかかるんでしょ?

それからで良いよ」

「えっ!聞いてないの?」

「なにを?」

「ロイアが、明日からホテルで四人一緒に寝ようって言ってきてるのよ!」

「マウント取る気?

彼とやっているところを見せつけて燃える性癖?」

「馬鹿ね ロイアは男性経験無しよ。

キスだって、今のがファーストキスよ。

見られて喜ぶ性癖なんて、まだ自分でも自覚していないわよ」

そこに、アリサが声をかける。

「それはね、海の妖精は寂しがり屋。

今でも、私達は一緒に眠るわ。

でも、今夜からは雅樹が家族。

彼に抱かれて眠るのは幸せだけど、彼の妻となるあなた達を思うと寂しいわ。

だから良ければ、たまには一緒に寝てあげて。

大丈夫。あの子は眠ったが最後。

横でなにが起きても寝ているわ。

だから、雅樹君とそんな事、あんな事していても邪魔しないし寝ている。

今日、すぐに二人っきりにしたのは、家族が彼だけになった事が心に刻まれたから。

私達からも少し遠く感じているわ」


そこで、恵梨、静香そして香織と真弓を集めて魔石板を見せた。

全員のうなじがパチパチ言い出した。

聞いては居るが、流石にコレは怖い。

アリサは、緩く繭をかけて説明を続けた。

この、兄弟は相変わらず女のトラブルに巻き込まれる。

四人の姉妹は、呆れるしか無かった。


朝から続いて報じられるニュース。

那覇で起こった連続盗難事件。

一件は、巡回に来た警備員が殴られて気を失わされていた。

幸い大事は無かった様だが、赤い目をした外国人と証言して居る。

赤い目?

誰もが、そこを気にしていた。

赤い目なんて見たことが無い。

盗まれた物は、水中銃の銛と発射用のガスカートリッジ。

一隻のクルーザーまで盗まれていた。

海上保安庁と沖縄県警が、合同捜査本部を立ち上げて捜査に着手した。



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