052 養魚場
2026/01/01 エピソード タイトル修正しました。
一部文章修正しました。
アレの避難所での、ルイスの行動は伏せられた。
と言うよりも、人目につかずに事を成し遂げたのだから、彼の事を知っているのは領主とゲーリンらだけである。
領主にしても【シーグズ】の避難所の魔素の泉が急に枯れたので、アレの避難所の調査に向かった警備隊と軍が、出て来た立て篭もり一味を捕縛して人質を解放した事になっていた。
聖地では、魔素が止まる事はなかった。
ルイスは再びファルバン家の泉で【イスペネ・ア・グラン】と、再度、この魔素の流れに繋がる泉の弁を開けた。
他にも繋がっているのかもしれないが、人が使っていない管は詰まっているので問題はない事にした。
流石に、今あの避難所には入りたくない。
避難所に魔素が篭れば【換気】も【汚水の処理】も予備動作に入る。
それを待つ事にした。
それでもダメな時は、魔道具を作って突入する。
そう決めた。
だが、もう長い事帰ってきていない事に、ライラが焦れていると浜の村から使いが来た。
結果的には【清浄】の魔道具を作って、一人で入っていく事になり、様々な魔道具の整備を行なって避難所の扉を閉じた。
避難所から助け出された者達は、見知った人間が居る再興中の【アレ】の街や【サイス】には行きづらい様で、【シーグズ】の領主が提供した金を持って出て行く者もいた。
丘の村でも受け入れたし、もちろん聖地に行った子もいた。
浜の村にも多くの人が来る事になった。
ミキジが託児所や学校も作るし、孤児も預かると言ったので子供も増えた。
義母も見舞いがてら説明に行き、迫害を受けた女性を中心に受け入れた。
『辛い記憶を消す事が出来る術師が居る』
と言って連れてきたのだ。
彼女達は、一人一人岩屋に入り、ルースの顔を見て驚き、話を聞いて辛い記憶とアレの街でのルースの記憶を消して外に出てきた。
誰もが避難所を出て、この村に来た事だけを覚えている。
ついて来た子供も辛い記憶を消した。
村の人間も騒動の事については知らされていない。
そのうち噂が漏れて来たらルイスが考える事にした。
今は、明日に向けて生きる事だ。
魚の加工場を広げて、アレの街から移住して来た女性に働いてもらう事にした。
男達は船大工としての技術を磨き、家作りもやる。
もう、造船所を他の男達が回せる。
こうして長兄が、手隙になった
考えていた事を、1番上の義兄に手伝ってもらう事にする。
魚を自分達で育てる。
それも、卵の状態から育てる方法までも【黒石板】に残っている。
魔道具も作れそうだ。
だが、繁殖の方法や餌も書いては有るが、正しいか検証しなければならない。
村長の家の2階に、アレの街から来た男たちも交えて、大きな板に書いて説明をしていく。
もちろん、反論が出る。
漁や船大工をせずに、浜で魚を見ているだけで飯が食えるのなら俺と代わってくれ。
そんなの女に、やらせれば良いじゃないか!
海に出れば魚が獲れる。
なんで、そんな事やる必要があるのか!
魚の中には、小魚を餌にする奴も多い。
小魚を餌にするよりは、海に戻したほうがいい。
などなど・・・・
ルイスが、ひとつひとつ説明する。
海に何時でも出れる訳ではない。
特に、この辺りは冬には海が荒れて漁に出れない事が多くなる。
入り江の中の小魚を捕まえすぎたら、次の魚が居なくなる。
漁をしている人の中に、街で生きてきた人間を入れるのは、教える手間や危険が増える。
彼らは、君らほどは泳げない。
アレの街は泳ぐ場所が無かったから泳げ無い者も多い。
・・・やはり泳げないそうだ。
やれる事をやる。
そして、やれない事はやれる様になる。
それが仕事だ。
女達には、手伝いをしてもらう。
もちろん、興味が出てきたり上手に出来る様だったらやってもらう。
それに、これは決まった量の魚を毎日獲る事が出来る。
収入が安定する。
漁がダメでも、浜で生簀の世話をしてやれば魚を食える、売れる。
こう、説得して南側岬の内側の深い岩場の部分を網で仕切る事にした。
当面は中に藻場を作って、外で獲って来た魚のうちまだ成長する小魚を入れてみることにした。
「兄貴どうだい?」
「面白いな〜ミキジに連れられて、今日も子供達が見に来ているぜ。
子供だけじゃ無いな、今日も、お袋と親父が来ていた。
まぁ、あんな物作ったら誰でも見に来るな」
今回の【アレ】の街の騒動をおさめた謝礼として、新領主から金を貰った。
実際に魚を育てる養殖をやろうと思ったのは、その事もある。
被害にあった人に金を渡そうとしたら
『この金で、村の為になる事をやってくれ』
と言われて金を突き返されて、やってみる事にした。
それが【養殖】
浜の岸壁の前に、海面に引き上げた小さな岩場で囲んだ箱の様な網を発注した。
一枚では無く、目の細かさを変えて3枚購入した。
底は義父が素潜りで潜って、【土の術】で網を固定できる様にしてくれた。
板にその様子を書いて見せたら、理解してやってくれた。
岩場を木材で繋ぎ歩ける様にして、魚に餌をやる為の足場にした。
更に、人を寄せ付ける設備をこさえた。
岸壁に取り付けて、海中に降りていけれるハシゴ付きの部屋。
これは【見えずの砦】を解体した物を、ひと組み貸してもらい調べた結果だ。
魔道具の板に【遮蔽】、【偽装】をかけて周囲の風景を取り込んでいる。
しかし、一部に見たこともない魔道具が張り付いていた。
【透明】の魔道具
慌てて岩屋に籠り、黒石板を調べている。
前は【透明】の意味が解らなかったので、放置していた文章だった。
二つの魔道具を板の両面に貼り付けて魔石を起動させると、挟み込んだ白魔石の板が透明になる。
『ガラスじゃ無いか!』
調べてみると、白石板の両面に互いの映像を映し出している。
板は白い大人の丈二つ分の正方形で、砦では八角形にして一部をズラして使っていた。
もしかしたら、何かの陣が挟んであるのかも知れないが、とても固くノコでは切れないし『身体強化』をかけても弾かれてしまった。
何かに使えないかと考える。




