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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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049 やきもち

「解りました。ルイスさん。ありがとうございます」


近づく足跡が聞こえた。

義母に義姉、そしてライラだった。

「落ち着いたかい? 私はこの浜の村長の妻ソリア、そして娘のマシス、で、そこのルイスの妻ライラだ。よろしくね」

義母は訝しげな目で女を見つめた。


「アレの街で果物屋をやっていたマッフの娘ミキジです。この娘は訳合って私が預かっているミオラです」

「やっぱり!ミキジだね。生きていたのかい。私の顔に見覚えは無いかい?」

「はい!直ぐに解りました。良くお店に来て頂いていました」

義母はミキジを抱きしめて背中をさすりながら声を詰まらせる。

「・・・・それはありがとうね。・・・・随分と苦労したようだね・・・・アンレはどうした?」

「・・・・母は私達を逃す為に亡くなりました」

「・・・・そうかい。お父さんもかい?」

「はい」

「辛い事ばかりだったみたいだね。今日はもうお休み。ウチに来るかい?」

「済みません。多くの人がいると、この娘が良く眠れなくって。避難所が辛かったのでしょう。逃げている間の野宿の時の方が良く眠れたくらいです」

「それなら、岩屋で大丈夫かい?」

「それが良いと思います。さっきも岩屋で寝床を指してここで寝るの?って聞いてきましたから」

「それじゃ〜、中で治療をしよう。女の子なんだからルイスは来ちゃダメだよ。ミキジ! 中へ入りなさい。

アンタも脚を挫いているし背中も随分と叩かれたんだね。ルイス!掛け布団を出したらライラと家に帰りな!」


こう言われて、一言も喋らないライラと帰る。


「どうした?」

「・・・・知っている娘?」

「いや知らない。・・・・聖地の子じゃ無いし」

「・・・・そう・・・・」

その夜は、互いに背中を向け合って眠れずに朝を迎えた。


朝日が上る。

今日は浜は休みになっている。

やるのは干し魚を網に広げる事だけだ。

窓の桟に座って海を見ていた。


「・・・・おはよう」

「あぁ、おはよう。ライラ(いつもは甘えて来るのに・・・・)」


「・・・・ルイス。 あなたに秘密がある事は知っている。

でも、それが他に知られると危ない事も知っている。

だから、・・・・あの娘は大丈夫なの?」

「解らない。でも、まさか殺してしまおうなんて思ってもいない。方法は有るがやりたくない」

「方法って?」 

「聴きたいか?」

「もしもの時には私にもするの?」 

「お前の命を守る為に」

「・・・・聴くわ」

「・・・・俺がサトリなのは知っているよな?サトリは人の記憶を書き換えられる」 

「・・・・解ったわ。あなたを信じている」

「時が来たら私の全てを話そう 待っていてくれライラ。 愛している」

「ズルい人ね」

ライラがルイスの胸に飛び込んだ。 

(あの二人は・・・・義母に任そう。 今日は休みだ)


昼になり岩屋に向かう。 

義母から念話で、良ければ来てほしいと言われた。

ライラは・・・・まだ寝ている。

「ようやく来たね。ライラは寝ているのかい?まあ仕方ないね初めての【やきもち】だからね。ミキジから話は聞いた。避難所はとんでもない事になっているね。どうする?」

「避難所から追い出す」

「どうやって?」

「魔道具を使う」

「それって、地下にいる人を埋めてしまうのかい?」

「そんな事はしない。出てこらせる。罪を背負って貰う」

「どうやって?」

「楽しみはその時だよ。頼み事も有るし、ゲーリンと領主の手も借りたい」

「どうする?・・・・へぇ〜面白いね。男達に集めるように言っておくよ。アレは薬でも有るし、聖地にも入れていたから知っていたのかい? 聖地と領主に旦那に手紙書かせるよ」


「それから、あの二人は浜に置くよ。ミキジは学も有るし子供の世話も出来るここでゆっくりすれば、気量良しが戻ってくる。あの子は14歳だからね。嫁に欲しがる奴も直ぐに押し寄せて来るさ。家はウチの近くに小さな空家が有るから、そこを旦那に修理させる。おや? 出て来たね」

「こんにちはルイスさん 昨日はお世話になりました」

「こんにちは!」

「はい、こんにちは。良く眠れたみたいだね」

「えぇ しかも美味しい朝ごはんも頂きました」

「お魚、美味しかった!」

「それは良かった。ミキジさん。

義母から聞いていると思いますが、この村で暮らし、働いてください。小さい子も増えて来ていますし、浜辺で子供を見てもらえる人が居てくれると助かります。託児所や学校も考えていますから一緒にやりましょう。必要なものがあったら言ってください」

頷き返すミキジ。


義母には【サトリ】の術を使う事を伝えている。

浜に付けられた舟や岩場いろんな物に指をさして聞いてくる、

ミオラの手を引いて義母が集落に向かう。


「それと、ファルバンの掟を守る為に私も動く事にしました。避難所から街の人々を助け出します。だから避難所の事を教えてください」

「助け出して・・・・くれるのですか!」

「もちろんです。悪さをした連中は罰を受けさせます。新しい領主にお願いしますし、ゲーリンさんにも話しましょう。それから、お母さんを探しましょう。手厚く葬ってあげないといけませんから」


「ミキジさん。避難所の事を知る為にあなたの記憶を貰います。その方が確実だし色んな事を知ることが出来ます、少し岩屋へ入りましょう」

そう言ってミキジの手を引いて岩屋に入った。

そして、彼女の両手を取って額を重ねた。

顔を赤くするミキジ。

ルイスの言葉が頭に響いて来る。

『私の声が頭に入って来るよね。これがサトリだ。じゃあ、落ち着いて避難所を頭に浮かべて最初は自分で歩いて廻るような気持ちで、そして、どの場所に誰が居るかも思い出して。焦らなくても良い』


こうして、時折り質問を加えながら記憶をもらう。

ミキジも慣れて来て、言葉に出さずに答えていく。

ファルバンに居た三人の術師の顔も教えてくれた。

誰もが高位には程遠い。

出来るのは魔石に魔素を注ぎ込むのと、頼りない『遮蔽』を張る事ぐらいだ。

しかも、太っていて目も曇っている。

修練をやっていない証拠だ。

ミキジ、ミオラを殴り、他にも悪さをしていた。

一門なら父がその首を落とす決まりになっている。


彼女はアレの街にも入っていた。

その中にルイスが心配していた物が、平然として残っているのが見えた。

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