004 ルベル船団
「あいつら、どうしている?」
「昨日、探査船を160機程打ち出しましたが、100機ほど動きがおかしいですね。ダミーでしょう。こちらの船団後方と側方に全部で10機程、監視用に改造した探査船が居ますね。中々、上手く作れていますよ。ステルス性能も際立っています。鹵獲して調べてみたいくらいですよ」
「まぁ、我慢しろ」
「船団長の読み通りですね。こちらが探査船のデータを受け取る為に停止した後に、追いかけてくるつもりでしょうね」
「気づいていないふりを続けろよ。その為の罠はしっかり考えて有るんだからな」
「解っていますよ。奴らの驚く顔が見てみたいですね」
「まぁ、100年以上先の話だがな。航路設定は問題ないか?」
「予定通りです。予定では探査船からのデータは80年後プラス5年で揃いますから、その頃にこの星域に到達予定です。データが揃いましたらアンドロイドが覚醒作業にかかります。申し訳ありませんが会議の為に覚醒させていただきます」
「我らの楽園を決める大事な会議だ。楽しみにしているよ」
「目的地決定後、先発隊を出します。衛星軌道に到達しましたらCSから覚醒させて調査を行い再びCSに戻します。先着させた無人探査船でも調査の為にドローンと無人攻撃機を出せますが人員も送ります。惑星間に入った時の為に航路確保の為の艦も準備します。後は本隊が到着するだけですね」
「先発隊の連中には特別な褒美が必要だな」
「船団長。どうですか? いっそ、国を立ち上げられてはいかがですか?国王、帝王なんでも良いですが、建国されて初代皇帝を名乗られてはいかがですか?そうすれば、功績が有った者には爵位を与える事で彼等に喜んでもらえるでしょう」
「良い考えだな。皇帝。新生ルベル帝国か! 良いだろう。ならば、お前は宰相だな。侯爵でどうだ?」
「ありがたき幸せ。新生ルベル帝国の為に尽くさせていただきます」
「CSSに入る前にいい事を決めることができた。だが、CS中が危険だ。今の話は内密にな」
「はい。解っております。皇帝閣下」
『ルベル』船団
先にも述べたがこの船団の特徴は何と言ってもその巨大なコロニー艦に有る。
CSSは3万に及ぶ数が備えられていた。
予備も有り一般人は2万6千人余りの人員がCSの処置を受けようとしていた。
このコロニー艦でも、やはりCSへの忌避感を持つ一般人や科学者がいて、数千人がコロニーでの自給自足の生活をする。
動物性タンパク質は家畜では効率が悪いので、バイオ加工か甲虫類の幼虫を使っての合成肉を使っていた。
精神的な観点から一部のペットが許されたが、これらは後に死滅してしまう。
アンドロイド技術を使った養育型ペットがその代わりをした。
船団が次元航法に移行しようとしていた。
コロニー艦を先頭にして高速で目的地方向に邁進する。
途中の星間に漂う隕石は、高速で回転するコロニー艦の傘が吹き飛ばす。
そしてコロニー艦に引きずられる様にして次元航法に移行する。
危険なのは次元航法から星間航法へ戻る時だ。
ここでの制御はアンドロイドに任せるしかない。
今まで多くの移民船団がこの時に壊滅してきている。
だが、誰もその結末については知ることがなかった。
お互いに遠く離れた星域にいるのだ。
もう、半数以上の船団が壊滅した事を誰も知っていなかった。
又、どの船団も新たな【ファルトン】に辿り着いていなかった。
『ルベル』が次元航法に移行していた時に、遠く離れた『ワービル』船団もその準備に入って居た。
「奴ら80年プラス5年に航路を設定したようです。
奴らの輸送艦船内に隠して設置したユニットから『シャドウ』経由で来た情報で裏付けが取れました。
放出された探査船からの信号の解読コードも入手できました。これでもやはりデータ送信は80年後に30日刻みですね。潜入してくれた連中はいい仕事してくれましたよ」
「そうだろう? さて、コロニー艦のCSは順調の様だな。『ワービル』のCSSも新型に替えて有るから快適だろう」
「明日にはこちらも、奴らの後を追います。どうせ、次元航法に入ったらこちらの動きは読めませんから、それにあの無茶苦茶な航法のお陰でこちらは安全に航行できますからね。浮遊している隕石は掃除してくれています。
次元航法中に7年の距離開けますよ。そうすれば、連中が最終目的地まで誘導してくれますから本日はゆっくりお過ごしください」
「まるで、王様にでもなった気分だな。後、2回目が覚めたらアイツらを殲滅してその星の王になる。良いな。『ワービル王国』『ワービル帝国』CSから覚めたら決めるとしよう」
カブはスクリーン上で消えていく『ルベル』のコロニー艦に薄笑いを飛ばした。
20230626
やっと、次章に移る文章まで準備できました。
これを機に行の調整や文脈の調整行います。