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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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480 開拓団3-05 お馬鹿さん

一台、一台と、停止したトラクターの荷台が爆発して周囲に散乱する。

そして、最後の一台に無人攻撃機本体が突っ込んでいく。

無人攻撃機は、バラバラになるだろうがボーズは残る。

トラクターの、荷台程の大きさなら充分にある。

押し込んでいけば、周囲を頑丈なCSCで囲っている以上、逃げ出す事はできまい。

そんな中、ドローンが映し出す映像にチラリと何かが動いた。

赤外線の、センサーに反応も出た。

17開拓団の宿舎の屋上。

「あの野郎!やはり隠れていやがった!」

アレンの、両脇には原住民の子供が二人。

並んで立っていた。

アレンは両足だけで立ち、ドローンに向かって馬鹿にした様に、頭の横で両手を閉じたり開いたりした。

「あの野郎!」

「ドンゴさん! アイツらの首輪の爆破スイッチ入れたんですが、反応しません!」

「やっぱり、そうなんだろうな。軍の上の方。それも下手すりゃあ、皇帝までグルだ!」

「えっ!それは!」

「狙っているのは、俺たちのクビだよ。

でなきゃ、チョーカーを医者が易々と外したり、アレン達のガキがチョーカー外せる訳がないだろうが!

あんな訳の、わかんない術なんて元から無いんだよ。

俺たちを追い詰める為に、CSCの素材を使った防弾壁を作り上げて渡してやがったのさ!」

その声に応じる様に、最後のトラクターが無人攻撃機の圧力に負けて押し潰された。

トラクターの荷台は燃え上がった。

「だったら、今から皇帝のところに行って命乞いを!」

緑の旅団のカーチスが、泣き言を言い始めた。

「そんな事を、許すと思ってんのか?待っているのは拷問よ!

今までに隠した物の場所迄案内されて、口封じか、奴隷落ちだな。

腹括れ!

俺が、こんな事予測しないわけがないだろうが!

下水処理施設の中に、高速艇を隠して置いてある。

伊達らに穴掘りしていた訳じゃねぇ、

いくつか落とした、カプセルの位置も解っているんだよ!

そいつの中に、万が一を考えたハウスユニットを入れて置いた。

南に逃げるぞ!

丁度、南進している軍の中にも手下がいる。

南進している連中は、ここで起こった事を知るには上空に、いずれかの艦艇が帰って来てからしか通信が出来ない。

真っ直ぐにジャングルに入ってくるさ。

そいつらと合流して、現地の女を手に入れて孕ませる。

俺たちとの間でも子供が出来るってよ。

それに、お前らが連れている女もそろそろ、子宮が重力に慣れて子供を孕めるさ。

さぁ、その前にアイツを血祭りに上げてやる。

アレン。忘れているのか?

ミサイルは無いが本体があるし、そんな屋根の上ならドローンの射撃でも殺せるぜ!

あの三人を、ドローンで囲んで一斉射撃!

上空から無人攻撃機を突っ込ませろ!」

「大型トラクターが、出て来ました」

「放っておけ!橋が落ちたのを知らないんだ! 表側の道路に合わせてトラクターと乗り換える為に戻ってくる。

それまでに、こっちも追いかけるぞ!

カーチス!お前達は表からトラクターに回り込め!俺も、ジープですぐに出る!その後、情報収集車!付いてこい!

後から俺らの後を追ってくる軍の連中は、橋を塞ぐ為に情報収集車を横向けに停車させて置け!

全車両、情報収集車の前に出ろ!

アイツらを仕留めて、高速艇に乗り換えろ!


運河を渡る橋の中央で足止めだ!」


カーチス達は、バイクを駆って16開拓団の宿舎へと向かった。

こちらから回れば17開拓団の宿舎に出る。

無人攻撃機の自爆攻撃に巻き込まれるので、大外を回り込んでトラクターを囲んでしまうつもりだ。

大地に広げる『電撃ネット』なら足止めできる。

カーチスは急いだ。

大型トラクターが農業用の道路へ出る橋を目指す。

「馬鹿め!見えていないのか?」


宿舎の屋根の上では、やはりアレン達がドローンの攻撃を見えない何かで凌ぎ切った。

二人の子供が、両手をドローンに向けている。

ドローンが上空に逃げ、代わるように無人攻撃機がアレン達に突っ込んで行った。

助手席のドンゴの視線はアレンの姿に釘つけだ。

アレンは、突っ込んでくる無人攻撃機に向かって背を向けた。

二人の少年もだ。

「はぁ?諦めやがったか?」

だが、無人攻撃機が宿舎に突っ込む瞬間に、その姿が消え失せた。

「やった!」

大喜びする運転手。

カーチスにも、アレン達が炎に包まれるのが見えた。

だが、ドンゴにはアレンがこう言った様に見えた。

『お馬鹿さん!』

轟々と燃え盛る炎。

何か可燃物か爆発物でも有ったのか、大きな土砂を巻き上げた。

爆発は続く。

「アイツら!何か可燃物や爆発物を溜め込んでいたんですかね?」

だが、ドンゴは上の空だった。

奴らの足元に光が光っていた。

なんだ、あの光は?


「ドンゴさん! アイツら橋を渡って行きますよ!」

言われて初めて我に帰った。

確かに、2台の荷車を引いた大型トラクターが橋を渡って左に折れていく。

前の荷車には、大勢の子供とバッフィム達の姿が見える。

「アイツら、アレンと子供を二人犠牲にして逃げ出しやがった!」

そして、検問所へ続く道路に出て右折した。

「馬鹿め!そっちは橋と検問所が有る。

検問所を抜けてもその先は工事中の下水処理場しかないぞ!

・・・・・・・まさかアイツら、高速艇の存在を知っていやがるのか?

ええい、撃って撃って撃ちまくれ!

橋を渡らせるな!

検問所からは、どうして撃ってこない!」

「検問所の連中は、途中で合流して後方の情報収集車の護衛に当たってます!」

「奴らも前に出せ!機関銃を持っているだろうが!」

「それでは、護衛が!」

「この先は、狭くなるんだ早く前に出せ!」

慌てて無線で、全車両を情報収集車の前に出す。

そして交代で、荷台に向かって銃撃を継続する。

トラクターの荷台からは、水を入れて防弾効果を持たせていたタンクが次々次に落ちてくる。

それを避け、あるいは跳ね飛ばして進み遂には荷台に取り憑きそうまでになった時には橋の最上部に到達した。

そこで、トラクターが止まる。

「手間をかけさせやがって、ここから例え向こう側に駆け降りていくとしても両側にフェンスがある長い直線の橋桁だ。

外には逃げられない。

逃げたところで掘っただけの運河がlあるだけだ。

落ちれば助かる高さでは無い。

後方に停止した情報収集車が車体を横に向けて進路を塞ぐ。

この車両は置き去りにして、軍の車両の足止めに使う。

アレンは死んだ筈だ。

・・・・・本当にそうか?


その答えを出す様に前の荷台に、四人の姿が現れた。

やっぱり生きていやがった!

「アレン!」

「やぁ、ドンゴ!元気かな?」



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