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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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044 ひとり

ワゴンに戻りベッドの上に円形の魔道具を置くメトル。

ルースを抱きしめてサトリの術を使った。

二人の兄、姉、母と繋がるルース。

『いよう!ルース!褒めてやるぜ!間違いなくお前がファルバン家の当主だ!だからアイツらに負けんなよ!』

『俺もだルース!お前の兄で良かったぜ! 羊の肉、美味かったな! 『ルミに愛していた』って伝えてくれ!』

『ルース。ごめんなさい。一緒に居てやれなくて。でも、私、楽しかった。【アレ】の街を救ってね。』

『ルース。相手は【ルベルのブラド】あの船の指揮官よ。でも、そんな事はどうでも良いわ。生き延びて幸せになって。愛しているわ。アナタお願いね。もう時間が無いわ』

『済まない!皆んな!・・・・・ルース! アーバインを救え!我が息子!』

メトルは、展開した青い光の陣の中にルースをに投げ入れた。

その光から出れなくなるルース。

周囲から更に光が立ち上がる。

「何言っているの? 嫌だよ! 僕一人にしないでよ!一緒に行こうよ! 父さん!」

『愛して居るぞ。生き延びろ!』


三方から押し寄せたミサイルは一つづつワゴンに襲いかかっていた。

押し返そうとする【遮蔽】の術。

だが、一つ、又一つと【遮蔽】を貫き、そして最後の一台も粉々に吹き飛び炎を撒き散らした。


「はい。お仕事終了!映像と記録は取ってあるな。何? 黒鳥がやられてしまって最後の映像はこの船からだけしか無い?」

「そうですよ。何せあの連中、ミサイルの到達前にドローン24機全部切り捨てていましたよ。でも、まぁ他にあんなのが居るか調べるためにも近くの街はちょっと突いておきますか?」

「そいつは、良い考えだ」

「でも準備があるんで数日下さいね。何せ、起きて居るのは三人だけだし、アンドロイドが動き回るとボーズが心配になりますから、自分でやるしか無いのでね」

「しょうがね〜なぁ〜」

「でも、どうしたんです?」

「何が?」

「急に『俺様はブラド!ルベルのブラドだ!』なんて、叫んで?」

「あん? そんな事言ったっけ?」

「言いましたよ。お陰でこっちは耳がキンキンしています」

「そう言えば、『名を名乗れ!』って言われた気がしたな?」

「ルベルの司令部にいた時代どんな番組見ていたんですか? 古いですよそんなセリフ」

「そうか? でも、かっこよく無いか?」

「はいはい、二人とも今ので放出ユニットに異常が無いか見に行きますからサポートして下さい」

「おうよ! 次はどんな奴が居るかな?」

「ゲーム感覚ですね。じゃあ移動しますよ!」



地上では、聖地から程近い草原にルースが倒れ込んでいた。

遥か彼方に炎をあげて燃え盛るワゴンの残骸が見えている。

「どうして、此処に・・・・・母さん、兄さん、サーシャ、父さん・・・・・みんな!」

手を伸ばして呼びかける先を、あの船が去っていく。

「ルベルのブラド! いつかこの手でお前達を八つ裂きにして見せる」

ルースの握りしめた拳には様々な色をした魔素が立ち昇っていた。

怒りと慟哭で疲れ果てて眠っていたルースを見つけたのは、聖地から出て様子を見に来た獣人達であった。

こうして、ルースはルイスと名を変え聖地で暮らし始める事になった。


聖地では、この大事件について大騒ぎとなった。

ルースから聞く戦闘状況。

ゲーリンは再び奴等は街を襲う。

そう判断して足の速い獣人に避難を呼びかけに行かせた。

アレの街では避難所に、サイスの街の住人は【アレ】の避難所か完成したばかりの【蔵の街の】避難所のいずれかに

浜の村と丘の村には聖地に籠る様にさせた。

しかし、やはり呼びかけを軽んじて逃げない者もいる。

【アレ】の街でも残した財産が心配で残る者、その財産を狙う者が現れて街には灯りが煌々と灯っていた。

【サイス】ではサキアとマウアが【蔵の街】の避難所に向かっていた。

【アレ】では破門になった事も有るが【蔵の街】では魔素を扱える術師が少ない事を、様子を見に来た肉屋から聞き覚えていたからだ。

肉屋は彼らが避難所に姿を見せ時に、代官と共に喜んで向かい入れてくれた。

現場を調べて来た、猫の獣人から状況を確認する。

ファルバン家は、ルースを除いて全員行方不明。

同行していた護衛や術師、獣人達も一人残らず行方不明。

領主の街と同じ様に業火に焼かれて、骨も残らなかったのだろうという報告だった。

ルースは、かすり傷程度で聖地に収容された。

保護した場所と被災現場が余りにも離れているので【転送陣】で助けられたのだろう。

本人はまだ茫然自失の状態なので、長とサトリの術者がついているとの事だった。

泣き崩れるマウア。

唇を噛み締めるサキア。

そのサキアにゲーリンからの手紙が渡される。

『今は、頼みだけを書く。

【遠見の陣】で戦闘状況を見ていた者からの説明から、戦闘手法から相手は軍人だ。しかも、冷静にこちらの力を測ってくる。残虐でも有る。逆らわなかった一行を、焚き付けて反撃を誘って居る。避難所に入ったら【遮蔽】に【偽装】の術を上書きしろ。

街には人ひとり残すな。逃げる時に後を追われる。逆らう奴がいたら殺せ!そう代官に伝えておけ。死に絶えたくなかったらそうしろ。老人は頑固で避難所入りを拒否するが、人が居ればその家は壊されその周囲の家も焼かれる。そう脅してもダメなら殺してしまえ。一箇所に集めて燃やして奴等のせいにする。そこまで脅せ! 頼むぞ!ルース様の事は心配するな。ゲーリン』

代官と共に街に残っている住民を探しに警備兵が散っていった。

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