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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
452/928

452 開拓団2-09 前線基地

上空に脅威となる艦船が居なくなっているのをサランとルナで確認し更に青木 忍が確認した。

イバと脩、そして卓也が対岸の港町に【転移】で飛ぶ。

長い月日のせいで建物は崩壊し、壊れた煉瓦を『馬鹿蔦』が覆っている。

探知で上空から見えずに、出来れば地下の部分に空洞がないかを探してみると、いくつかの地下室を持った場所があった。

途中、オオカミが現れたが軽い【電撃】を卓也が飛ばして追い払う。

多くの骨のカケラも見たが、上空から見えない位置に纏めて【転送】しておく。

埋葬してやりたいが、そうも出来ない。


地下に入り、壊れかけそうな部分に強化をかけていくイバ。

脩が、全体の強化を進める。

お誂え向きに、広い部屋が残っていて、ここに【陣】を置くことにした。

【念話】で、源 三郎とメルカを連れて来る事を真にやらせてみた。

『陰陽師』の血を引く彼ならば、父、友嗣の【霊波】を辿って、この部屋に入って来るはずだ。

すると、間違いなく部屋の片隅に出た。

一旦、中央に出ようとしたが端に移動。

転移を抜ける時が、一番危険だと言い聞かせてある。

「合格だな」

父の声に、嬉しそうに真が笑う。

残りの大輝と亮太、そしてルイも問題なく転移して来た。

ルイがメルカと考えた【陣】が、あるから試させてくれと言うのでやらせてみる。

(ロック)付きの陣】

魔絹布に行き先を示す部分と、転移の紋章の一部が欠けた陣を描き、それを床に定着させて、それに合う魔絹布を持つ。

鍵となる【割符】の魔絹布は、何枚か【収納】に入れて来ていた。

断面に加工がされていて暗号化されているし、一定の時間動かさないか他の鍵を使おうとすれば燃えて消える。

イギリスで見つけた【陣】の使い方の応用らしい。


【割符】は、それぞれのチームが持つ事にした。

繋がっているのは『ウルマの収容所』

そこから、【転移】して浜に入る。

保安上の仕組みだ。

ハンの、出迎えで驚くかもしれないが仕方が無い。

しばらく打ち合わせをして、それぞれの目的地に向かう。

安全な場所を目視で定めながら【ショート転移】でドローンに警戒をする。

まだ、人を送り込む程の余裕はルベルには無い。


火山島には、大輝、卓也、脩、真が姿を消しながら転移する。

火山島を選んだのは島の反対側に、魔素の泉が『アーバイン儀』に残っていたから。

本当に何か【遺跡】が有るのかも知れない。

転移先は、見える位置に絞っている。

大輝は、以前やらかしているから慎重だ。

お陰で、あまり泳ぎが上手く無い事がバレてしまっていた。

「さて、ココからは【飛行】で飛ぶか?」

雲がかかって雨が降っているが、大したことはない。

沖の火山島までは、結構距離がある。

少し休憩して【遮蔽】と【隠蔽】それに温度感知を防ぐ為に作られた、黒い魔絹布をスッポリと被って飛行にかかる。「久しぶりだな。このマント」

地球で仕入れた知識を活かして、ワザと鳥が飛ぶ速さで寄り添って飛ぶ。

レーダーには、海鳥が飛んでいる程度にしか見えないはずだ。

レーダー波は、飛んで来ていない。

『念には、念だからな』

ゆっくりと上空から島を眺めると、確かに富士山の様に中央に窪みがあって海から真っ直ぐ起立している。

『火山島に間違いないな』

『イタリアみたいだな』

『あぁ、ヴェスヴィオ山みたいだな』

ゆっくりと降りていくと、なるほど海からは岩に隠れて見えない位置に洞窟の入り口がある。

脩が、記録を【黒石板】に撮りながら進んでいく。



入り口に、石ころにしか見えない【遠見の魔道具】を置いておく。

中に入って、入り口を【遮蔽】で塞ぐ。

探査で探してみたが、【魔道具】は見つからなかった。

脩は、用意して来た【遮蔽の魔道具】の設置位置を決めて、押し込み【保護】と【隠蔽】をかけて起動させた。

これで、中にいる間は二重の障壁で守られる。

外の魔道具を使って、ドローンの接近を監視する。

「ココは、何かの宗教施設だったのかな?」

「そうみたいだ。壁に何かの『レリーフ』があった形跡があるな」

「日本の調査隊が入ったら大騒ぎだね」

「今は、余裕がないからな」

奥に進む。

遺骨の様な物もなく綺麗な物だった。

奥に【魔素】が滲み出ている岩が起立している。

「今は、開けないでおこう」

記録だけを取って置いた。

上に行く階段があり、登ってみるとさらに続いている。

もしかしたら・・・・・・

身体を浮かせて進んでいくと、想像した通り頂上まで螺旋を描く様に、つながっていて最後だけが埋まっていた。

続く階段のレリーフから、何かの『儀式』をする為の場所。

「まぁ、こんな高所で両方が崖。やったとしたら想像がつく儀式だがね」

「言うなよ」

「ともあれ、ここなら港とあの製塩プラントに下水処理場予定地まで丸見えだな」

脩が、器用に土を固めながら窓を開けて【遮蔽】を張って、【隠蔽の魔道具】を埋め込んだ。

「簡易陣を使おう」

上から眺めると確かに丸見えで、河口には資材を下ろした時のパラシュートの布をかけて保管してある。

「鉄鋼材の様だな」

「あぁ、動いてはいないが重機らしきものも見えるぜ!」

「船は?」

「奴らが使っている往復できる艦船を、転用するかも知れないな」

「そいつは面倒だな」

「あぁ、こっちには海軍兵力は無いからな」

「【ドルフィン】を持ち込めばなんとかなりそうだが、危険は犯したく無い。

ウルマやルースから引き離して置いて『魚雷攻撃一択』だろうな。

九鬼さんなら【魚雷艇】を作りそうだな」

「違いない!」

「もう日が暮れる。下で休むとしよう。

真!監視用の陣と魔道具を設置してくれ。

脩!補強と隠蔽を頼む。

腹が減った」

大輝は、卓也を連れて下に【転移】した。

「流石、オヤジとリーダーを争っただけはあるな」

「あぁ、指示が的確だ」

作業をしながら大輝の事を褒める。


その夜は、雨があがったにもかかわらず、動く灯りがほとんど見えないルベルの入植地を魔石板で見ながら酒を酌み交わした。


一方、イバと亮太、そしてルイは雨と馬鹿蔦に悩みながらも『アシの洞窟跡』に辿り着いた。

成程、大きな崩壊した岩壁の跡が有る。

だが、一行は見逃さなかった。

【魔素】の流れ出る場所が岩壁の上に有る。

魔絹布のマントを羽織って、遮蔽と隠蔽をかけながら、ゆっくりとその場所を目指す。

直線的には行かずに、水平方向に獣が進む様にした。

たまに見られている感覚がある。

周囲を監視している目がある様だ。

有った!

すぐには入らずに、ダミーの熱源をゆっくりと進む様にして素早く洞窟内に入って【遮蔽】を張った。

亮太とルイも後に続く。

今頃、ダミーは熱量を失いながら降りていくだろう。

その昔、ゲイリンとメイルが採った方法だ。


大人5、6人が眠れそうな洞窟。

「ココは目立ちすぎるから、奥に進んで広げておこう」

人一人が通れる様に道を亮太が作っていく。

イバはルイを指導して内側から出口を塞いで行き『換気用の魔道具』を出すだけにして置いた。

外に噴き出す際には、洞窟内から出る空気の温度を外気に合わせて、雪が溶けたりしない様に調整する事を教えた。

ルイの母親が敵の位置を掴むのに、換気口周辺の雪が溶けるのを目安にした話をして置いた。

初めて知る母ミーフォーの強かな一面。

「ただの『飛行狂い』じゃないって事さ。

術師には、繊細さも求められる。

ミーフォーは、それが出来る優れた術師で私も随分と教えられたよ」

「そして、お父さんを愛した」

「あぁ、歳の差を気にしていたがね。

でも可愛いもんさ。

そうだな、今でも一番可愛い仕草をするのは【ミーフォー】かな?」


聞いているルイの方が赤くなりそうなセリフだった。

『良かったこの人が父親で』


その夜は何故か、ブラックカーが遅くまでいたので訪問はやめて置いた。

スインには、速い時間で中止をルナが伝えてあった。


翌日はアシが使っていた泉を目指して掘り進める事も考えたが、探査を入れても崩れた岩ばかりなので、今は危険だし崩落でも起きたらルベルに気付かれる。

そう考え直して、持って来ている【魔石】に溜め込む事にした。

ドローンは全く飛んで来ないが、やはり周期的な探査をかけられている。

恐らく望遠鏡による監視と熱探知だろうと判断した。

今までの衛星軌道からの観測で、アーバインでは『船舶』が確認されていないので、陸上側だけの監視をしているのだろう。

距離は、この場所が近いが侵入の為の基地には使い辛い。

侵入、救出は火山島を使う事になる。

此処は監視用の陣を置く事にして、撤退は転移を使う事にした。



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