041 交替
ある日、ファルバン一家は朝食を取っていたが一斉に立ち上がった。
「動きが変わった」
「どこに居る」
「屋上に行きましょう」
「君!副官のカイルを屋上に連れて来い!」
「先に行くよ!」
「待て、お兄ちゃん!」
全員が屋上に上がり『遠見の陣』に手をつく。
青魔石が『映像』を映し出す。
今まで真っ直ぐ進む様に進んで来た船が、船底を見せる様にして空間に浮かんでいる。
この大陸では無いが領主の街を滅ぼした星が、あれ以来、浮かんでいる辺りだ。
その証拠に、その星が近づく。
「船に張り付いたわ」
メルルが告げる。
その後、動きが無く子供達が焦れ始めたその時、星が船から離れた。
そして、そのまま落ちて来る。
『遠見の陣』で追いかけると星の色が赤く染まり、白く色が変わったと思ったら
バラバラになって流れ星の様に落ちて来る。
あまりの事にカイルさえ声を失っていた。
「人形が乗っていたみたいだけど、そのまま切り離したわ」
その後は変化も無く母の限界が、やって来たので船を見るのは止めにした。
母はそのまま付き人に支えられて寝室に連れて行ってもらう。
子供達も途中だった食事を急いで済ませて。
サロンで休む事にした。
「でも、あの船大きかったね」
「でも不思議だよ。帆が見えたか?」
「なかったんじゃ、無いかな?」
「人も見えなかった。お母さんは人が居るって言っているから中に居るんだろうな」
「でも、どこから来たんだろうね。大きいけど船の中だよ?外に出れるのかな?」
「でもお母さんが、寝ている人が多いって言ったよね?」
「交代で見張り番をしているのだろう。兵はそうする」
「遠いいところからだったら、お水はどうするの? 船の中には樽の中の水か雨水を帆を広げて集めて置いて使うって聞いたけど、お空の上でも雨が降るのかな?」
「わかんない。でも、眠くなって来ちゃった。僕寝るよ」
「そうだね。僕たちも寝ようか兄さん」
「あぁ、そうしよう。スーシャも少し寝ときな」
「もう兄さん達私が話しかけているのに・・・・眠くなって来た」
こうして眠りに落ちる子供達。
メトルは白魔石を両手にして回復を図っていた。
『何か、やって来る』
確固たる確信が彼には有った。
その夕刻、夕食後に階段を登っていた一家にその感覚が再び襲う。
駆け上がる少年達。
彼らは肉眼で捉えていた。
地平線の夕闇の中をこちらに向かって来る船を。
輪郭が感じられる。いくつもの光が船を形取っている。
目の良い獣人だったら、見ることができるだろう。
動き出したか!
船はファルバン家が見上げる中、地平線の彼方に消えて行った。
「やっと目的の惑星【ルベル】の衛星軌道か」
「そこで、先発した探査船の管理アンドロイドから記録データを抜き取って、ボーズの回収をやったら探査船はアンドロイドと一緒にお役御免で、ルベルの大気圏で焼却処分だと」
「その後、衛星軌道の周回コースに入れたら俺たちは次の連中に交代してお休みなさいですよね。でないと寿命が尽きちゃうかも知れないから」
「今度はコロニー艦に収容されて起きたら、男爵様だな」
「最後の決戦は、お役御免になっているし助かるぜ。流れ弾が当たる可能性があるからな。コロニー艦なら安全だ」
「鉄壁の守りだからな。」
「再起動しました。衛星軌道周回コースに入ります。さて、寝坊助どもを迎えに行って来ましょうか。覚醒ユニットが終了コマンド出しました」
「おぉ悪い。しかし、人が居るんだな。結構あっちこっちに灯りが見える。暗いし、エァーカーも飛んで居ないな。殺風景な星だな」
「だから侵略出来るんじゃないですか。ファルトンと同じ様な星だったら、こんなシールドじゃミサイルが近距離で爆発しただけで大気圏突入ですよ。航行用シールドはこの速度じゃ発動しませんしボーズの残量も厳しいですよ」
「オイオイ、大丈夫だろうな。CSSの中で死んでましたじゃお話にならないぞ」
「大丈夫ですよ。太陽光パネル展開開始していますから、電力でCSS動かせる様になりますよ」
「おぉ、おつかれ〜」
「よう、おはようさん」
「なんか、CS明けは普通の起床とは違うよな」
「おう、そうだなぁ〜、おはよう」
「へぇ〜これがルベルか?」
「何処に領地を開かれます?男爵様」
「そりゃ、いい場所よ!データ見せてくれ!」
「時間は有るから、後にしたら?」
「うん?無人攻撃機出したのか? 何々、ドローンが捕獲された?
しかも、捕獲された際に収納されたのが綿の袋なのにブレードで切れずにヒーターブレードでも焼き切れなかった?
このポイントは・・・・あ〜行き過ぎちまったか! 後でもう、一度ドローン落として俺の目で確かめてみるか」
「仕事、熱心ですね。そこまでやらなくても圧勝ですよ。はい、コーヒー」
「うん。ありがとよ。あぁ〜やっぱり味覚がおかしい。コーヒーには思えない」
「ですよね〜僕らも、10日かかりました。少し味濃いめが良いですよ。前のチームの伝言に残っていました」
「ちゃ〜んと本隊来てくれるのだろうな? 食い物無くなりそうだったらどうしよう? お前ら規定量より食っていないだろうな?」
「それ!考えていなかったわ。怖いな、宇宙生活って有るもの食い尽くしたらそこで餓死確定だからな」
「食い物が有るかも知れない、地上を見ながら餓死なんて怖いよ」
「付け加えたらドローンで、先住民が肉食っているのを見ながらだったら・・・・・」
「お前ら怖いよ! 良くそんな事考えるな」
「最後のチームだ。食糧少し切り詰めておいた方が良いかも知れないな。時間だ。幸運を祈る」
「最後のチームは、この恐怖が有るのか〜」
「頑張れよ。後は運任せ、寝て待つしかないや!」




