042 交替
2025/12/31 エピソード タイトル修正しました。
一部文章修正しました。
ある日、ファルバン一家は朝食を取っていたが一斉に立ち上がった。
「動きが変わった!」
「どこに居る?」
「屋上に行きましょう!」
「君!副官のカイルを屋上に連れて来い!」
「先に行くよ!」
「待て、お兄ちゃん!」
ファルバン家の全員が屋上に上がり『遠見の陣』に手をつく。
青魔石が輝き、陣の上空に『映像』を映し出す。
今まで真っ直ぐ進む様に進んで来た船が、船底を見せる様にして空間に浮かんでいる。
数日前に、この星のはるか先を通り過ぎて行って、関係無いのかと安堵したのに・・・・・
領主の街を焼いた銀の鳥を送って来た楕円の物体は、あれ以来決められた日数と時間を刻み、サイスの沖の空を駆け抜けていた。
「あれが、人形の主人が載る船みたいだな」
ファルバン当主 メトルの言葉に皆が頷く。
その証拠に、領主の街を焼いた物体が、その船底に張り付いていた。
「船に張り付いたのね」
メルルが告げる。
その後、動きが無く子供達が焦れ始めたその時、楕円の物体が船から離れた。
そして、そのまま落ちて来る。
サイスの海の向こう。
「聖地より更に、北だな・・・・」
メトルは、聖地に被害が出ないかと心配したが、恐らく北の海に落ちるだろう・・・
そう判断し、人を出す事を諦めた。
『遠見の陣』で追いかけると、物体は赤く染まり炎に包まれた。
一瞬、白く色が変わったと思ったら、バラバラになって流れ星の様に落ちて来る。
あまりの事に、カイルさえ声を失っていた。
「人形が乗っていたみたいだけど、そのまま切り離したわ。用済みとみなしたようね」
その後船は姿を消し、母の限界が、やって来たので屋上から階下に降りる事にする。
母は、そのまま付き人に支えられて寝室に連れて行ってもらう。
子供達も途中だった食事を急いで済ませて。
サロンで休む事にした。
青魔石を使ったとは言え、魔素を使うとやはり疲労が出る。
「でも、あの船大きかったね」
「でも不思議だよ。帆が見えたか?」
「なかったんじゃ、無いかな?」
「人も見えなかった。お母さんは、人が居るって言っているから、中に居るんだろうな」
「でも、どこから来たんだろうね。大きいけど船の中だよ?外に出れるのかな?」
「でもお母さんが、寝ている人が多いって言ったよね?」
「交代で見張り番をしているのだろう。兵はそうする」
「遠いいところからだったら、お水はどうするの? サイスの沖を行く帆船は、樽に溜めた水だけじゃ無く、帆を広げて集めて置いた雨水を使うって聞いたけど、お空の上でも雨が降るのかな?」
「わかんない。でも、眠くなって来ちゃった。僕寝るよ」
「そうだね。僕たちも寝ようか兄さん」
「あぁ、そうしよう。スーシャも少し寝ときな」
「もう兄さん達!私が話しかけているのに・・・・眠くなって来た」
こうして眠りに落ちる子供達。
メトルは、白魔石を両手にして回復を図っていた。
『まだまだ何か、やって来る』
確固たる確信が彼には有った。
その夕刻、夕食後に階段を登っていた一家に、その感覚が再び襲う。
駆け上がる少年達。
彼らは肉眼で捉えていた。
地平線の夕闇の中を、こちらに向かって来る船を。
輪郭が感じられる。いくつもの光が船を形取っている。
目の良い獣人だったら、見ることができるだろう。
動き出したか!
船はファルバン家が見上げる中、地平線の彼方に消えて行った。
「やっと目的の惑星【ルベル】の衛星軌道か」
「処分した管理アンドロイドが残した、記録データを中継衛星に送信終了しました。結構、ガタが来てましたね。有る程度の強度持っていましたから、大気圏突入でも燃え尽きないと思っていたんですが、あっさり分解しましたね』
「あぁ、だからもう少し高度を上げてこの星の引力圏から離れておこうぜ。
でないと、万が一ボーズの出力が低下したら俺たちも、この星の大気に焼き尽くされるぞ』
『さっさと、俺たちは次の連中に交代してお休みなさいですよね。
まだまだ、コロニー艦の到着には何年もかかり蔵ですからね』
「今度CSCから出る時は、コロニー艦で表彰を受けて男爵様だな」
「ワービルとの決戦は、お役御免になっているし助かるぜ。
流れ弾が当たる可能性があるからな。コロニー艦なら安全だ」
「鉄壁の守りだからな」
「静止衛星軌道コースに入ります」
「さて、寝坊助どもを迎えに行って来ましょうか。覚醒ユニットが終了コマンド出しました」
「おぉ悪い。しかし、人が居るんだな。結構あっちこっちに灯りが見える。
暗いし、エァーカーも飛んで居ないな。殺風景な星だな」
「だから侵略出来るんじゃないですか。ファルトンと同じ様な科学力を持った星だったら、こんなシールドじゃ、ミサイルが近距離で爆発しただけで大気圏突入ですよ。航行用シールドは、この速度じゃ発動しませんし、電力ボーズの発電量も厳しいですよ。先に太陽光パネル広げておきましょうよ。次の連中って、問題児ばっかりじゃ無いですか? 命の危険を感じますよ!」
「あぁ、そうだな。CSSの中で死んでましたじゃ、お話にならないしな」
「太陽光パネル展開開始、ボーズと並列回路組んでおきます。これで、CSSへの電力確保できますよ」
そこへ、噂の問題児のグループがら割れた。
「おぉ、おつかれ〜」
「よう、おはようさん」
「なんか、CS明けは普通の起床とは違うよな」
「おう、そうだなぁ〜、おはよう」
「へぇ〜これがルベルか?」
「何処に、領地を開かれます? 男爵様」
「そりゃ、いい場所よ!早いもん勝ちだろう? データ見せてくれ!」
「時間は有るから、後にしたら?」
「うん? 無人攻撃機出したのか? 何々、ドローンが捕獲された?
しかも、捕獲された際に収納されたのが、綿の袋なのにブレードで切れずに、
ヒーターブレードでも焼き切れなかった?
このポイントは・・・・あ〜行き過ぎちまったか! 後でもう、一度ドローン落として俺の目で確かめてみるか」
「仕事、熱心ですね。そこまでやらなくても圧勝ですよ。はい、コーヒー」
ストローが差し込まれた、パックが差し出される。
火傷しない程度にしか温度をあげれない。
「うん。ありがとよ。あぁ〜やっぱり味覚がおかしい。コーヒーには思えない」
「ですよね〜僕らも、10日かかりました。少し味濃いめが良いですよ。前のチームの伝言に残っていました」
「ちゃ〜んと本隊来てくれるのだろうな? 食い物無くなりそうだったら、どうしよう? お前ら規定量より食っていないだろうな?」
「それ!考えていなかったわ。
怖いな、宇宙生活って有るもの食い尽くしたら、そこで餓死確定だからな」
「食い物が有るかも知れない、地上を見ながら餓死なんて怖いよ」
「付け加えたらドローンで、先住民が肉食っているのを見ながらだったら・・・・・」
「お前ら怖いよ! 良くそんな事考えるな」
「最後のチームだ。食糧少し切り詰めておいた方が、良いかも知れないな。時間だ。幸運を祈る」
「最後のチームは、この恐怖が有るのか〜」
「頑張れよ。俺たちは後は運任せ、寝て待つしかないや!」




