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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
407/928

407 竜の血脈13 メアリーとの契約

イギリスのホテルに転移で、イリスと美佳も連れて戻る。

電話連絡を受けて先に、霊界を抜けて巴様も駆け付けた。

この方法なら地球上なら何処でも行ける。

欠点は霊体から、顕現するまでの時間が必要で未だ【光の珠】だ。

しかも、魔素を大量に消費する。


「これ? この娘? 竜の娘ね」

「良く、解るな?」

「コメカミよ。小さいけどコブが有るわ。

いつもは隠している筈なのに、・・・・・ワザと見せているのかな?」

「会った事があるのか?」

「一度だけ。

私がエーゲ海で『仲間がいる』と言う噂を信じて探しに行った時に、幼い赤ん坊の竜を抱いた竜の女に会ったわ。

その時の、赤ん坊なのかもしれないわね」


「あぁ、この石碑の事を知りたいの?」

「この石碑がマナの泉を、制御していると思っている。

娘の身体の下に、僅かだがマナが漏れ出てくる金の穴があるそうだ。

だが、16世紀からマナが止まって、英国の妖精が眠りについている」

「知っているわ」

「何があった?

デュラン・ファルセットが、その秘密を探している」

「デュラン・ファルセット・・・・・あぁ、鼻垂れ小僧か?

他の妖精は?」

「デュランの話だと『竜の血脈』沿いに地中深く眠っているらしい」

「で、この泉のマナを開きたいの?」

「うん? ・・・・・何か有るのか?」

「勘がいいわね、こうも見えない?

この、竜の娘は【結界】の中で泉から漏れ出る【マナ】を自分の身で受けて、石碑を隠して泉を開かせない様にしていると?

そもそも、なんでこの【マナの止め石】を開けたいの?」


脩は、気が付いた。

カミラは今、【マナの止め石】と言った。

この、事を知っている。


『【マナ】を欲しているのは誰だ?

どうして、同じ妖精でも、【海の妖精】で有るアディやカミラは『人の心を癒す法力』を受け入れるのに、何故、デュランは受け入れない?』

「気付いた?

なら本当の事を話すわ。

私を信じてもらえないと困るから隠していたわ。

この竜の娘【アン】は、メアリーとの約定により、この【マナの止め石の守護者】になっているの。

何故か?

鼻垂れデュランの父達から、このイギリス。

ひいては世界を守る為。

この石碑は、お前が言う様にマナの泉を開け閉めする言わば蛇口。

どうせ、あの獅子と竜の旗を見せて『竜を正統なイギリスの守護者』と言ったのだろう。

なら、今の、旗のユニコーンに何故首輪が付いている。

それはユニコーンは妖精だからだ、それに首輪を付けて支配する。

何故か?

ユニコーン、いや言い換えよう。

妖精が邪悪だからだよ」

「じゃあ、この碑文は?」

「フェイク! 竜が妖精を欺くためさ。

竜は、【アトランティス】の守護者だった。

その頃は、海の妖精もアトランティスを中心に住んでいたのさ。

だが、そこに陸の妖精が押し寄せた。

何故か?

目的は簡単さ。

竜と海の妖精を追い出して、【マナ】が豊かなアトランティスを支配する。

【竜は最強種】だって言うのだろう?

最強種でも、数を減らし子供を守る為なら棲家を捨てるさ。

それに、竜と海の妖精は知っていた。

『アトランティスが海に沈む』とね。

だから、闘うふりをしながらアトランティスを脱出した。

その時、妖精に力を貸してしまった一族。

イギリス王国の一族だ。

だが、そこから、お定まりの王位を巡っての争いが起きる。

それで、今の王室は元いたイギリスに帰る事になった。

負け組だな。

時が過ぎ【竜の血脈】から【マナ】が出なくなった。

私達と同じ様に、こうなっては眠るしか無かった僅かに漏れ出る泉の跡に集まって眠っているのだろうな。



ところが、同じ負け組の竜と置いて行かれた妖精が出会ってしまった。

デュラン達の祖先。

今のデュランが鼻垂れだったんだ、親もどんな者か解るだろう?

そして、竜と妖精はマナを巡って争った。

妖精の悪辣さは調べるがいいさ。

うん? 純一は何か知っているな?」

「あぁ、妖精がやった事はデュランが見せなかった、海外の資料には残っている。

だけど、イギリス王室はそれを否定している。

策謀だと言っている」

「メアリーは、フランスから来た王女だ。だから、すぐに竜と契約した。

【マナの止め石】を塞いでくれ。

信じれないかもしれないが、私とメアリーがやった事だ」

「それで、ロンドンに直接やって来て私に会った!」

「あぁ、道々イタリアでの事や、君らとエリファーナの事、そしてデュランの事を【海の泡】に聞いたからな。

「でも、デュランはアディには何もしていないし、アディもイギリスの妖精の事は何も言わなかった」

「アディは、引き篭もりの【海の妖精】なんだ。

私の祖先は、アトランティスからの一族なんだよ。

だから、常に外に出たがる。

多分、ララも今頃、知っているんじゃ無いか?

デュランは危険だと。

ララも、元は大西洋に居た【海の泡】から産まれている。

沖縄だっけ?

遠く離れていても、海は繋がっている。

成長すれば、【海の泡】の声が聞こえる様になる」

「では、デュランいや、この地の妖精の狙いは?」

「そんなの、『妖精の復活と、この国の支配』に決まっているでしょう!

竜種が【アン】だけになったのなら、【マナ】さえ手に入れば滅ぼせるかもしれない。

数の暴力ってやつさ」

「では、このままでいる方が良い?」

「それは、どうかな?

奴は、あの石碑をアンが押さえている事に気付いているのだろう?

そして、他の方法か場所で、【マナ】を集めているんじゃ無いか?

それか、仲間の復活に手を貸しているかだな」

「しまった! 亮太が危ない!

今、北の炭鉱の鉱山跡に、デュランと一緒に潜っている。

【竜の血脈】が、一番浅い部分なんだ!」

「純一!それはどこだ!」

壁にかけて置いた地図で北を見る。

【竜の血脈】が、書き込まれている。

「この鉱山!」

「ちょっと【転移】には距離があるし、地中は難しい!

そうだ!イリス!」

「解った!」

イリスは、【攻撃型傀儡】を収納から引っ張り出した。

【転移】では遠くても【転送】なら行ける。

それに、デュランの【霊波】なら掴んでいる!

「良いのか、私を信じるのか?」

「あぁ、早く気づくべきだった!

【法力】を嫌う存在!

【悪魔】の事を!

咲耶の、バチカンとのレポート通り!

頼む!間に合え!」


イリスが出した傀儡の足元に、光る陣が現れて消えて行った。

傀儡には覚え込ませた霊波の持ち主を攻撃し、亮太を守る様に命じてあった。




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