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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
382/928

381 家族 咲耶

ニューヨーク州のウェデイングホールを貸し切って、武田 豪と咲耶の結婚式が行われた。

貸し切られたのは三日間。

最初の日は、施設の責任者を入れて不審物の発見や撤去にあたり、翌日は完全に封鎖された。

いくつかのレンズとマイクが見つかり、安全上問題となる手抜き工事も発見された。

青くなる責任者。

『こっちで、仮対策をしておくから、後で関係部署と業者との交渉をやってくれ』と伝える。

(これ、良い商売にもなるし、上手くいけば情報収集手段になるな。兼親様にご提案しよう)


中を巡回するのは、室の術者と【式】

それだけでは無い。

ポアーザの二人も、デュランと一緒に見て回っている。

ポアーザは、単に興味があったのと運動がわり。

デュランがいるという事は、明日の結婚式にエリファーナが出るという事を意味している。

そうなると、キッシンやエルベ、カシムにアルゴまで出る。

羽田崇、朱雀と京優学園の一同までいた。


ウェデイングホールを使った理由。

巴を囲んで、狐巫女達が奉納舞を踊る。

そう、岩屋神社の御神体『月夜石』を祀っての挙式になっていた。

使われているのは、崇が所有する【大勾玉】の一つ。

菊の紋様はないが、それでも青く光っている。

初めて見せる岩屋神社の神事。

そして、衣冠束帯で現れたのは咲耶の兄 脩。

キッシンに、無理矢理ついてきた娘達がうっとりした眼差しで脩を見ている。

呼吸を忘れそうだ。

姉は、アーバインで一緒に踊ったダンスを思い出し、婚約指輪を抜いていた。

妹は、手を取られて背後から抱きしめられて見た花火と彼の体温を思い出していた。


新しく家族になった二人に向ける笑顔。

全ての神事を終え差し出された三方に載る月夜石と青魔石のネックレスとブレスレット。

ブレスレットは、もちろん魔道具で、まだ【サトリ】になって間も無い豪の助けと、盾の強度をあげてある。

ペンダントは、魔素を抜くための魔道具を用意してある。

子供を欲する際にも、これでペンダントを外さずに済む。

無論、外して、その意志を伝えるのも女の武器なのだが・・・・・

互いにペンダントとブレスレットを、相手に装着し指輪の交換とキスまで行った。

随分と沙羅とルナが、脚色を入れた結婚式になった。

ルナを筆頭に歌姫達が二人を祝福して歌い出す。

招待客に向かって、顔をあげる二人。

「「「「「「「「おぉ〜!」」」」」」」

そこには【女帝沙羅】そのままの赤い眼をした新妻がいた。


続いて行われたパーティーでは、スーツに着替えた脩に多くの女性客が集まる。

にこやかに相手の国の言葉で会話を続け、通訳を念話で伝える。

もちろん周辺にいる女性達へのサービスでもあるが、桜への対応だ。

「奴も大変だなぁ〜」

室が派遣した係員の女性からシャンパンを受け取り、ロミオと会話を交わす亮太。

ロミオもウルマとルースの聖地での仕事と塾での教育の合間に帰ってきたのだ。

グレーのスーツに身を構えた姿は、誰が見ても実業家にしか見えない。

「なぁ、亮太」

「なんだい?」

「あそこにいるのは、エルベじゃないか?」

「そうだよ。その横はキッシンさ!

壁際の席に座っているのはエリファーナ様だよ。

挨拶に行こうか?」

「いやいや、お前!何そんなに軽々しく言えるの!」

「アディ! ロミオを連れて来て」

亮太が、アディに声をかけてロミオとアデレードを三人に紹介した。

隠し事も無くロミオの素性を話して、これからの事を話しておく。

最初は固かったロミオも、立場を離れた三人が屈託なく話すのに慣れて、いろんな話をし出した。

中には裏社会の符牒の話もあり、エルベとキッシンには大変に参考になった。

エリファーナにとっては、いつも出て楽しんでいる市井の奥に、その様な世界の存在を知る事になった。

いつまでも、話していたいほどだった。

デュランでも、ここまでの話は知らない。

エリファーナは、息子達にも伝えておくべき事だと胸に刻んだ


三人の前を辞して、飲み物を受け取る。

「しかし、ロミオも強心臓だな!」

「そんな事ないさ。

今思い出したら、とんでもない事を話しちまったと反省しているよ」

「そうでもないさ。あの三人の目には届いていなかった世界だ。

俺も、勉強になった」

「どうした? アディ?」

「ロミオも、良い男になったと思っただけだよ。私は、後どれくらい待てば良い?」

「それは・・・・・ 亮太、何か知っているか?』

「お前、聞いていなかった?

エルベさんが、言っていただろうが!

『半年後にフランスの国営企業に入って、世界各地で商談に付き合わせる』って言っていただろうが! 」

「えっ!アレ本当なの? 社交辞令の冗談だと思っていた!」

「アディ!そんなわけで、しばらくはフランスで生活するがどうする?」

「和也と尚美がいるから、パリで待っても良いわよ?」

「尚美は兎も角、その頃、和也はベルギーにいるはずだ」

「良いのよ。尚美だったら面白いから。

ロミオ。私が部屋を探しておくわ、しっかり勉強して実力をつけてね。

パリで、お腹に赤ちゃんを抱えて待っているわよ」

アディが、ロミオの頬に唇を押しつけた。

「亮太。この後、ティファニーに行きたいんだが、金貸してくれないか?」

「良いよ。出世払いで払っておいてやるよ。貴子にも、何か買って帰りたいしな」

貴子は、二人目を身籠もっていた。




この『家族』の章はこれで終了です。


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