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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
324/928

324 崩壊 5

「今、他の人達については回復途中なんで、別の部屋で休んで貰っている。

詳細は教えられないけど、君達の元の仲間達は【サトリ】が記憶を調べて程度に分けて治療している。

治療が効かない者。

心が完全に破壊されていたスーラという女と、戦闘狂だった連中は君たちが居た、あの聖地に押し込めたままだ。

ただし、1人ずつ檻に入って貰っている。

【収納持ち】が居たんで、そいつは【収納】の口に抜けない様に魔道具で蓋をした。

抜く為には、かなり高位の術師が魔道具から【魔素】を決められた手順で抜くしか無い。

(死んだらどうなるか、試して見たい気持ちもある)

換気の魔道具だけは治して、最低の日常生活が送れる魔道具は渡して有る。

水は規定量出るし、毛布を使えば暖も取れる様になっている。

飯は【転送】で送り込んでやっている。

紙の皿だけどね。

【人形】が軽度だった者は、もう一つの聖地に入って貰っている。

ここは、もう少し時間がかかるが、心理師が入って心の傷を治している。

女達は、ここウルマの専用施設にいる。

以前、ウルマにも、あぁいった女性達がいたんだ。

それを、ミーフォーさんが一人で解放した。

ミーフォーは、僕の四人の母のうちの一人だ。

母さん達はサトリ。

僕もサトリだ。

他の術も使える。

君らも、術師の素質があったから生き残れた。

【人形】にされている君らの仲間だけど、アニの術の後に【ユージ】の【人形】を受けて壊されていた」


「あぁ、最初は攻撃して来る時でも、手を出してこなかったけど、後ではスーラの後ろについて、交互に【遮蔽】を殴って来たからな」

「悪いが、彼等を元に戻す事は難しい。殺しはしないがしばらくの間、幽閉するしかない」

「殺して、やってくれないか?」

「それは?」

「あの連中からの【遺言】だ。

【遮蔽の魔道具】が、再起動に時間がかかる様になった時に、ワザと出て行って俺たちを守ったんだ。

今の姿は、彼等が望んだ姿じゃない」

「・・・・・そうか、だが少しだけ時間をくれないか?」

「どうするんだ?」

「ユージを【洗脳】して、術を解かせる」

「そんな!あんなに強い【人形】が解けるわけがない!」

「あぁ、ユージを【人形】にしたのは恐らく、ファルバンの裏切り者じゃ無いかと思っている。

すべては、これから調べる事なんだ。

良く解っていない事が多すぎる」


それからシュウは、白い魔石板を四枚広げて大きな板にした。

もう、こういった作業はお手のもの。

源蔵が、作成したルースの聖地と地球との出会いを説明した『アーカイブ』を流す前に、

シュウにとっては、嫌な記憶を見せる事にした。

横に桜が座り、机の下でシュウの片手を握る。

そして、シュウが話し出す。

地球と繋がる事になった、ファルバンの後継者を狙った暗殺者の事を、そして、落ちていく父イバと暗殺者の姿。

その暗殺者が【人形】の術をかけられていて、時が来たら暗殺者として目覚める様に仕掛けられていた事を伝えた。


今でも時折、夢で見て叫ぶ。

『お父さん!』

感情が漏れ出るんだろう。

寄宿舎の様に離れていても、その時には必ず桜が【念話】で優しく歌ってくれる。


子守唄を・・・・・

母サランが、実子のシュウとサクヤだけでは無く、自分も抱きしめて歌ってくれた子守唄。

実の母の様に、実の子の様に育ててくれた。

優しい母サラン。

実母ジャリムが、サクの容姿と【サトリ】の能力に気付いてサランに頼んだ。

『私の手元で育てるより、アンタの弟子として預けたい。

良く似ているし、良ければ娘として育てて欲しい』


侵略者の危険を察知した【予知】の能力者の片鱗も有る【ジャリム】

聖地に逃げる際に、危険に晒したくはない。

『良いわ。シュウの許嫁にして良いのなら、私の娘として育てるけど良い?』

『そりゃ、願ったり叶ったりだ。サク! 良かったね。

この子が、お前の旦那様だ。良い男になるよ』


こうして、サクは幼くして実母から離されていた。

サトリの片鱗をみせていたサクは、実母の考えが幼いながらも解っていた。

今は、何が起こっても不思議ではない。

母の気持ちを汲んで、ここは泣かないでおこう。

コックリと頷いて、サランに抱き上げられた。

ルースに抱かれたシュウの寝顔。

サクは緊張が解けて自分も眠たくなってアクビが出てしまう。

『良いのよ。きっと守ってあげる。シュウを支えてあげてね。サク』


一瞬、そんな思い出が桜の脳裏を走る。


「そういう訳で、偶然、日本の【陰陽師】と繋がりが持てた事が、

今、こうして暮らしている事に繋がっている。

さて、後は作って有る映像を見てくれ。

オリジナルは日本語だが、コイツは俺らも手伝ってアーバインの言葉に直してある。

文字がところどころ出るが、それが日本という場所で使われている言葉だ。

質問があれば、途中止めて説明もする。

お茶も出しているが、騒ぐなよ」


こうして、【アレ】の街で住んでいたファルバンの一族の紹介から始まり、領主の街の壊滅。

ファルバン家への襲撃。

アレとその周辺の街の壊滅。

聖地と浜の村の設立。

そして、ウルマに渡った【シャンタ】の占領と解放の話。

ミーフォーの姿に頷く少年少女。

そして、転移陣によって深く繋がるルースの聖地とウルマ。

結局、少年少女が止める事を要求せずに最後まで、侵略者の接近の映像まで見せて終わった。


「どうして、ミーフォーさんが空を飛べるのか、自分達でも飛べるか!」

「あぁ、飛べる。俺や大輝も飛べるし【桜】も高速ではないが飛べる。

急ぐ時には、こうして『お姫様抱っこ』で飛んで行く。

前面と下に【遮蔽】を張っておけば楽に飛べる」

実際に桜を、横抱きにして飛んでみせた。

「そんな【術師】になれるのか?」

「訓練と魔素の使い方次第だ。

長年、魔素の泉の近くで生活して、緊張感の中暮らしていたんだ。

この冬なんかは、寝る暇もなく戦っていたんだろう。

それなら、ウチの鬼達に鍛えて貰えば【術師】になれるさ。

だが、言っておく。

俺たちが戦うのは

今まで、君たちを苦しめて来た連中じゃ無い。

あんなのは、罪を償わせてやれば良い。

ウルマには、ミーフォー母さんが可愛がっているバイが率いる狼の群れが居る。

アニが従わせていた狼の群れも、バイが抑え込むか追い出す。

それくらいの力の差がある」


桜が、冷たい水を差し出してくれた。

「見ただろう?

【黒鳥】と【銀の鳥】を操って、多くの人を殺し街を焼いた【侵略者】

だけど、あいつらの本隊が来るのは、20年後。

俺たちは、もう大人になって子供もいるだろう。

もちろん一線で戦うが子供も居て、その子達が生き延びれる様にしなくてはいけない。

長い戦いだ。

知っての通り、奴らが周回してくる事は無くなったけど、

本隊からも、このアーバインを直接監視が、できる様になるだろう。

その時に見つかれば、後でその一帯は焼け野原になってしまう。

頭の上から【銀の鳥】が、やってきた攻撃が来るんだ。

逃げられないし、こちらからの攻撃は届かない。

奴らの乗り物が後で出てくるが、その巨大さを知って欲しい。

今、奴らを見る方法も、日本の技術と陰陽師の力だ。

サリアの、命を救ったのも、その力だ。

地球の知識力は素晴らしい。

もう一つ、君らに伝えておかなければ行けない知識が有る。

これも、私たちが知らない事だ。

女子は桜から聞けば良い、男は俺の部屋で良いものを見せてやる」


『又〜日本から持って来たの?』

『ヤバいのは持って来てないさ。グラビア程度だよ。

桜も持って来ているだろう?

水着のカタログとか男性についての解説とか、デートの際の避妊具の紹介が記載されているやつ』

『あ〜、亜美ね!それか涼子!二人ともシュウに甘いんだから!』


「何やってんだ?」

「サトリ同士の痴話喧嘩は、見ていて面白くないですね〜」


最後には真っ赤な顔で、男子は女子を、女子は男子をチラ見して、その日はお開きになり、

又、風呂場で、大騒ぎが起こったのは言うまでもなかった。

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