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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
315/928

315 全国行脚?

「そんな事が、あったんですか?」

萩月家の『家宰』として様々な事柄を、関係者に通達し調整する【木場直倫】

上羽 崇は、彼から聖地で起きたシータの【竜化】の報告を聞いた。

「驚きはしましたが、この事が幸いにもペータさんとシータさんについての【竜化】の仕組みが解り【転移】の見通しが開けたそうです。

崇様と朱雀様についても、国内で【転移】を繰り返した際に吸収される【真力】の量を計測していて、一般人、陰陽師達のデータと突き合わせています。

これを、岩屋神社と聖地の間の転移した際の【真力】の減少データと付き合わせれば、凡そのデータが出るでしょう。

しかし、今後の事を考えれば【真力】では、こころ元ないのです。

朱雀様が、身にお着けになられている【青魔石の勾玉】にも【魔素】を注入して有りますが、その【魔素】は中に刻まれています【御紋】が発動する【防御】を、展開する為にしか使われておりません。

又、【大勾玉】ですが、質の良い月夜石なら【魔素】も吸収・放出いたします。

しかし、あの【大勾玉】は、制限がされている様で【魔素】を受け付けません。

【始まりの書】に何か事情が書かれているとは思うのですが、肝心の【書】が未だ見つかってはおりません。

朱雀様、崇様も体質のせいか、【魔素】を取り込みなさいません。

あくまで、【真力】を使って【サトリ】の能力を、お使いになられています。

そこで、朱雀様に【転移】によって【真力】を消費して頂いて【白魔石】で【魔素】を与えてみようと思います。

今も、【治癒】が使える様になった恋歌さんには、朱雀様の治療用として月夜石に【真力】を込めた物を【収納】にいくつか持って頂いています。

これを、【青魔石】に変えて置きたいのです。

聖地へ転移した場合には周囲には【魔素]しか有りません。

それが、御二方にどの様な影響を与えるかを調べておきたい。

これが、常義様の真意です。

崇様は、ご自分の身でと思われていると思いますが、シータさんが心の内から聞こえて来た声を【強く拒絶】された事で【竜化】せずに済んだ事を考えますと申し訳ありませんが、朱雀様の方が、人である事に執着なされると思っての次第です」

「そうですか。シータさんの時、変化を誘いかける【声】がしたと言っていましたね?」

「はい。恐らくシータさんご自身の記憶、意識下に存在する何かが、問いかけてきたとの考えです」

「そうですね。朱雀が【龍】に変わってしまったら恋歌が悲しみますね。

解りました。朱雀と相談してください。

私では【積年の恨み】を突かれたら、【龍】になる事を受け入れてしまうかもしれません」

「・・・・・何かあった場合に備えて、朱雀様の周囲に【遮蔽】を展開して備えます。

過剰な魔素の取り込みを制限する為に【白魔石】を使いますが、友嗣さんが、朱雀様に同行して万が一に対応いたします」



朱雀に【転移陣】を使った、強制的な【真力】の消費で【魔素】の取り込みをはかる事を説明する。

「そうですか。ならば、恋歌を一緒に付き添わせてください」

「・・・・・成程。その方が、安心ですね」

「きっと彼女も、この事を知ったら『付き添う』と言い出すに違いないですから」

「それでは、スケジュールを作成させて頂きます。

余談ですが、今、国内の【転移陣】も岩屋神社以外は【青魔石】に変更、設置にかかっております」

「あの、魔石板を使った【簡易式の転移陣】とは違うのですか?」

「えぇ、常設型になります。

監視の為に【式】は付けますが、自動的に起動する【防御】、【隠蔽】に【青魔石】を使おうと計画されています」

「具体的には?」

「興味が、湧いてきましたか?

【白魔石】の実験を段階的に進めて異常がなければ、【陣】を使って日本全国の旅をなされば宜しいでしょう。

建設中の札幌のマンション。

こちらには、大輝様と涼子様のアトリエと、羽田家の事務所。

金沢市の青山家。

こちらは、純一様、亜美様そしてシータ様がお使いになるでしょう。

東京の羽田の屋敷と横須賀のホテルと葉山のコンドミニアムも、これで一日に使える人数が増えます。

朱雀様と恋歌様だけでは無く脩様達も、470へのランクアップをお考えの様です。

特に羽田家の【陣】は、釧路の駐屯地と併せて大型化を考えています。

【天上書庫】で見つかった、【各地の神宮】を使った防御の為の【結界陣】を張るために『伊勢神宮』と『熱田神宮』、『出雲大社』この三箇所を繋ぎます。

それぞれの宮司や関係各所との調整が必要ですが、将来的には防御用の結界陣を張る時のために、近隣の土地か社務所に【転移陣】を置いておきたいと常義様が申されております。

四国や中国地方は、候補地を探しております。

このうち高知県と徳島県は、候補地を選定し終わっています。

九州は、長谷山の持つ城山のホテルと将来、亮太様と貴子様がお住まいになるマンション。

そして新たに石垣島に、間も無く竣工する長谷山と九鬼の共同経営のホテルに置く事が決まっております。

伊豆の旅亭柳葉は既に、青魔石で設置させていただいているのはご存知の通りですね」


「確かにそれだけあったら、日本全国を回れますね」

岩屋の陣も、今は巨大な【月夜石の舞台】を使っていて【真力】だけでも【陣】が稼働できていますが、真力の源泉とでも言うべき【源】の位置が解っていないのです。

岩屋神社から、アーバインのウルマの遺跡の様に【真力】の地脈が各地に通じている訳ではない様です。

唯一、白山だけが、いくつかの場所に広がって居るのは解っています。

【源泉】に、あたる場所がよく分かっていない。

ウルマの遺跡の様に[魔素の源泉]の様な場所が有れば、そこの守りは固くしなければいけません」

「そう言えば、不思議ですね」

「地中深くから、湧き出してきているのは間違い無いのですが・・・・・」


「話を変えましょう。術の鍛錬の方は如何ですか?」

「まだ適正が、解りません。

ヨット教室で、【先読み】みたいな予知も出来る事がわかったのですが、これも経験からくる物なのか良く解りません」

「藤田姉妹に美佳様の練習も有りますから、アトリエでいろんな術者と手合わせを、なさって下さいください。

【天上書庫】で見つけた記録では、朱雀様の祖先には【念動力(サイコキネシス)】とでも言うのか、若菜さんが使う手を触れずに物を動かす事が出来た方もいらっしゃった様です。

純一さんに、お聞きになってください。

将来彼は、朱雀様の記録を残す為の【記憶師】でもあられますから」

「そうでしたね。いずれは、身内になる事も有りそうですしね」

「そうかも知れません。ですが、良い事ではないですか?

家族が増えるのです。

苦しみも孤独も、家族で分け合えば小さくなっていきますよ」

「・・・・・ありがとうございます」

「いえいえ、私はお勤めの為です。ですが、楽しいですね。

若い人と働くと言うのは、前の職場では部屋に篭るか、役人に頭を下げるかでしたから。

楽しいのは、お客さまが満足されてフロントマンに感謝をされる時でしたね。

お小言も、聞けば成程と思う点もありました。

ですが、今は常義様や茜様に、その日のスケジュールをご説明して、その後は純一さんと【天上書庫】で書を読む。

そして、互いに共有して隠された文言を探し出す。

古の書は、表書きの通りではありません。

暗号の様に、他の事が言葉の影に隠されています」

「謎解きですか?」

「そうですね。

純一様も【天上書庫】が開いて、館林家の重要性が増したと申されております。

純一様が、館林家をお継ぎになるつもりの様です」

「そうですか、それならば、ますます純一さん達とは交流を深めないといけませんね」

「そうです。

それと、古の文字を読める様になりませんと、少しづつやっていきましょう。

なぁに、謎解きと思えば苦になりません。

【書】もおやりになると良いでしょう。早速、京美堂を呼ぶ様にしましょう」

「やる事が、増えましたね」

「朱雀様は、この国の隠れた王の一族です。精一杯、学び楽しみなされませ」

「ふふ、470に載って恋歌と逃げたくなりますね」

「逃げるならアーバインになさいませ。あそこなら、追手も参りません」

「良いですね。なんだか、やる気が出て来ましたよ。アーバインに行く為にも【魔素】を使える様になりましょう!」



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