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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
306/928

306 影護衛

「朱雀、恋歌 ありがとうな!

こんな楽しいスクールの客は、今まで居なかった。又、来てくれ!」

「客だなんて言わないでよ。友達だろう? 春休みには、次のステップに進む為に来るよ。

守人君は、次に進んでいると思うけど、きっと追いついてみせる。

470が目標だ!」

「そうだな! 俺も相棒が出来ると良いんだが、それまでは教官にしごいて貰う」

「他の兄さんや姉さんを連れて泊まりに来るよ。横須賀観光も鎌倉にも行ってみたい。

一番仲が良い脩兄さんは、電車が好きで【江ノ電】が好きなんだよ。

将来は【アーバイン】でも、電車を走らせるって言っている」

「アーバイン? それどこだ?」

口を滑らせてしまった事に気づいた朱雀。

「脩さんのお母様は海外の方で、そのお母様の故郷です」

ちゃんと、恋歌がフォローをする。

『ありがとう。恋歌!』

「そうか!そいつは楽しみだ! 雅弓も喜ぶ!」


電車に乗り込む二人、横須賀に出てホテルの陣から館林の屋敷に帰る。

「じゃあな!朱雀、恋歌!」

「守人さんもお元気で! お手紙出しますね。雅弓ちゃん!お大事になさってください」

「じゃあ! 又来るよ!」

雅弓は、熱を出して寝込んでいた。

恋歌が、コッソリと【白魔石】を使って治癒をかけたから、重篤にはならないだろう。

夕方には、熱も下がり元気になる筈だ。

「あぁ! 待っている!」

電車のドアが閉まり、すぐにホームを離れた。


「あぁ、楽しかったね?」

「でも、良かったんですか?」

「古城光学の事?」

「えぇ、それに【航空公園】の事」

「そんな場所に、脩兄ちゃんを誘わなかったら怒られるよ」

「それも、そうですね!」

「恋歌こそ、いいの? 新幹線じゃなくって?」

「えぇ、今も、私達を護衛してくださっている【影護衛】の方々も休ませてあげないと、長い事、衛ていただいてますから」

『恋歌様 そんな、お気遣いされなくても・・・・・』

『私についていてくださる貴女にも、お子さんが、いらっしゃるのでしょう?

ゆっくり、一緒にいてやってください。

この、一週間ありがとうございました」

『お優しい方ですね。ありがとうございます。

次回、こちらにお見えの際には、又私がお付きします』

『宜しくお願いします』

耳元にいた、小さな蝶の[式]が消えた。

この車両には[人払いの結界]を張って、余人の侵入を防いでいる。

こちらに向いて軽く会釈をする灰色のスーツの女性。

あの人が、室の影護衛。

室兼親さんに頼んで、最終日に顔を見て安心したかったし、お礼を言っておきたかった。

その横で、漫画本を読んで立っているのが、朱雀に付いていた影護衛だろう。

ページを捲るフリをして指を振ってきた。

「大事にされているんだね。僕達」

「誰かに何かがあったら、沙羅さんが暴走しますからね」

「まぁ、否定はしないわ」

「「沙羅さん?」」

「後ろ後ろ、」

シートに座った黒髪の女性がいた。

「染めたんですか?」

「違うわよ。そう見える様にしているの。蒼が頑張ってくれてね」

「今日は、わざわざ僕らの為にですか?」

「違うわよ〜ロケハン! 事前の取材。

伊豆に泊まって、鎌倉やあっちこっちで、お店探しよ。

いつもの姿じゃ目立ってしまうからね」

「いい店は有りました?」

「勿論よ。

東海道に面した古い街だから、茶菓子の店と地魚を使った蒲鉾も、いい店見つけてあるわ。

中に、両角の門人がやっている和菓子屋さんがあってそこに、夫婦者のアーバインからの転移者を受け入れる話をして来たの。

快く受け入れてくれたわ」

「これで、アーバインに帰っても和菓子が食べれる様になりますね?」

「行ってみたいな。アーバイン」

「それについても、調べているわ。朱雀! 又悪いけど血液取るわよ!」

「又、ですか?」

「恋歌も、一緒にね?」

「どうして?」

「キスしたでしょ? 赤ちゃん。できているかもよ!」

「えぇ!っ どうしよう!朱雀、赤ちゃんできるんだって!」

「やっぱり・・・・・【性教育】受けてないわね?

ルナと真奈美から相談受けたし、

朱雀も崇さんがどうしようって悩んでいたからね」

「「性教育?」」

「帰ったら、美佳と一緒に受けなさい。朱雀もイリスと一緒にね」

そばで、聴いていた室の影護衛達が赤い顔をしていた。

「あなたたちも、割と純情ね?」

「関兄弟もそうだけど、陰陽師って遊ばないの? でも無いか、一条篤が居たな?」


沙羅が、室の影護衛まで揶揄いながら電車は横須賀に到着した。

沙羅がいる事で、影護衛達の任を解き軽く挨拶を交わす。

たちまち、人並みに消えて行く影護衛。

「優秀ね。朱雀についていた彼は、聖地でも一目置かれていたわよ」

「そうなんですか?」

「室の直系。

彼は次男で、今後修行を続けて、あなた専属の護衛を目指すわ。

その時になったら、名前を教えてもらいなさい。

恋歌にも朱雀の妻になったら、すぐに専属の護衛が付く」

「えぇ、私にもですか?」

「そりゃそうよ、一緒にお風呂やトイレは女性同士で無いと。

一緒に同行できない場所には誰かがつくわ。

朱雀はね。

この日本の王子様なのよ。表に出ないけどね」

「王子様だなんて大袈裟ですよ!」

「そんな事ないわ。【天上書庫】でとんでも無いものが、見つかっているの」

フロント手を振ってエレベーターに乗り込み、最上階へのボタンを押す。

「館林についてから、話しましょう。お祖父様にも来ていただいているわ」


駅の前からホテルの最上階に視線を送る男女の姿。

先程別れた室の影護衛だった。

「姉さん」

「えぇ、バレていたみたいね」

「これだけ、変装していても見抜けるのかサトリは?」

「それもあるけど、指と耳を見ていたわ。

家ではメガネをかけて目元を隠していたけど、流石に一週間も合っていると気配も分かるというものよ」

「雅弓の具合は?」

「【白魔石】で治して頂いたわ。

それに気付いた私が軽く挨拶したら『白魔石使いましたから、夕方には熱は下がります』って念話を送ってこられたわ」

「朱雀もそうだよ。

470で沖に出したら、【念話】使って風の向きを指示してきやがった!

どっちが、護衛だかわかんないよ。

姉さん。萩月は、とんでも無い二人を取り込んじゃったんだな」

「そうね。雅弓が恋歌さんの、護衛につける様にしないとね」

「守人は、どうなんだ?」

「朱雀様が『友人としてなら一緒にいたい』と室の当主に進言されたそうよ」

「流石、日の本の国の王子だな」



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