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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
295/928

295 ファーストキス

浜辺では、逗子で朱雀がとった行動と、それに合わせて起こりかねない惨劇の事を友嗣が話していた。

社会と家族から、阻害されて育って来た【朱雀】

親に疎まれ、ある意味捨てられた【恋歌】

今、二人が大変な岐路に立っている。


そして、逗子のホテルに、朱雀を馬鹿にした少年が訪ねて来ていた事、

目的が、実家の民宿に二人を連れて行って、一緒に食事をしようとしていた事を話した。

「そっちは上手くいきそうね? 私からも、言っておきたい事があるの」

沙羅が発言する。

「私と昭人さんの事ですね」

「なんだ、気付いていたの?」

「そりゃ、解りますよ。妹ですから。大丈夫です。あの子に寂しい思いはさせません。

今夜、葉山の事も含めて話しておきます。

いつまでも、私の大事な妹ですから。

それで、又、智美ちゃんと覗いていたんですか? 沙羅さん?」

「いやまぁ、店舗内を監視している【式】がな・・・・・」

「【式】は居ませんでしたよ。【魔道具】を使いましたね?」

「すまん! その【指輪】が、気になって仕掛けさせた!」


瞬時に、真奈美の指先に目がいく一同。

慌てて後ろに隠す真奈美。

「ほんと、進展が早いわね。どっちにする?

日本式で、ダイアモンドの指輪?

アーバイン式で【嫁取り石】のペンダント?」


(ほんと、話を逸らすのが上手いんだから!)


「出来れば両方」

「はぁ〜欲張りさんね。まだ、彼には伝えていないけど、ちゃんと整理したら彼の所有資産は億単位よ」

「へッ?」

「土地や不動産についても、不法占拠や詐欺まがいで、お父様が騙されていたようだし、何より、まぁ【隠し埋蔵金】が有ったから。

これが国税庁に出せない内容でね。ぶっちゃけ今、アーバインに保管しているわ。

前に朱雀が身につけている【青魔石の勾玉】あったでしょう。

あれに類する物が飾られた、金の宝飾品よ。

出せる訳が無いわ。

巴様も知らない事で、信長様達も、知らなかった。

だから、聖地で保管中。

わがまま言って良いわよ。準備してあげるから」


「いいえ良いんです。私は、あの人が、やってくれる事を受け入れます」

「はぁ、余裕が出たわね。と言うか考えるの放棄した?まぁ、良いわ。

あの子達、姫路城を何周か周回して、こっちに方向転換したわよ。

さっきの事、みんな宜しくね」

「さて、火の始末は【遮蔽】で窒息消火しておくか。

残った材料は【転送】で部屋に送った。

脩、大輝、酒は飲むなよ。昴、監視を宜しく!」

「友嗣さんは?」

大輝が、ニンマリ笑いながら問いかける。

「馬鹿!野暮な事聞くんじゃ無い」

脩も笑いながら、突っ込んでみせる。

「まぁ、そう言う訳だ。明日の朝、又来るから報告な!真奈美!頼んだぞ」

「えぇ、任せてください」

帰って来た、興奮気味の四人を誘って、風呂を済ませて男女別の部屋に向かう。

朱雀にとって初めての雑魚寝だ。

「朱雀!どうだ、眠れそうか?」

「まだ、眠くなれません」

「そうか、なら少し話をするか?」

それから、みんなで顔を突き合わせて話をした。


脩と大輝の出逢い。

驚いた事に、殴り合いの喧嘩をしたそうだ。

卑怯な事はしたくないと、術なしの生身の勝負。

身体能力なら圧倒的に大輝なのだが、捌きと関節技で長々と戦い、結局二人で倒れ込んだそうだ。

それ以来の仲間。

「仲間なんだよ。

朱雀も俺も、その気になったら、この世界で負けることはない。

一瞬で心を潰せるし、炎で焼く事ができる。

互いの婚約者もそうだろう?」

「そんな事・・・・・」

「まぁ、聞け、そこで仲間だ。

大輝は、俺が間違った方向に走ったら命懸けで止めに来る。

コイツだけじゃない、卓也も亮太もそうだし、尚美や桜だって命懸けでそうするだろう。

でも、俺が憎いからじゃない。

俺が間違った事をして人を傷つけたら、それ以上に俺が傷つき苦しむから、それを止めてくれる」


「朱雀はやっと、籠から出して貰った【龍】だ。

小さいなりだけど、【龍】なんだ。それは、知っているよな?」

「えぇ、」

「龍が暴れたら、俺でも止められない。

だから、龍は守る立場にいなきゃいけない。

恋歌が、支えてくれる。

俺たちもいる。

そして、今から作っていく友達を仲間にして、この世界を守る龍になれ。

それが、お前の役目だ」

「はい!」

「辛くなったら、助けを呼べ!

やっちゃいけないのは、普通に生きている人を、見下す事と手をあげる事。

まぁ、上手く言えなくって済まない」

「いいえ。葉山で思わず【火炎】を浮かべたのを知っているんですか?」

「あぁ、見守っているからな」

「済みません」

「謝る事は無いさ。恋歌を馬鹿にされたから怒ったのは、みんなが知っている。

それにな、

今朝、休講が決まって本当だったら、お前たち部屋に籠るしか無かったろう?」

「えぇ、そうです」

「お腹空いていなかったか? お昼はどうするつもりだった?」

「コンドミニアムのレストランで食べるか、ケータリングを頼んだと思います」

「昨日、お前達を揶揄ったアイツらのリーダーがな、コンドミニアムに、お前達を昼飯に誘いに来たそうだ」

「えっ」

「アイツ、コンドミニアムの近くの民宿の息子で、一緒に居たのが、近くの学校の同級生なんだ。

で、自宅からスクールに通って民宿で晩飯を食って帰る。他の親達が忙しくってな。丁度帰り道に有るから寄って食事を済ませているそうだ。

その時に、話が出た。

お前達二人は、明日、ご飯どうするんだろうってな。

そこで、母親に相談して、お前達を迎えに行った。

残念がっていたそうだぞ、評判の民宿で魚料理が旨いそうだ。

再開前日にコンドミニアムに、帰って行ってみな」

「・・・・・ そこ、空いてませんかね?」

「うん?」

「僕と恋歌で残りのスクールに、そこから通ってみたいんですが。迷惑じゃなかったら泊まってみたいです」

「あぁ、良いだろう。俺たちが考えていた以上の回答を出したな。

早速、部屋を押さえよう。

俺たちは流石に受験生だし、折角お前らがアイツらとやっていく気になったんだ。

邪魔はしない。恋歌と二人と言うのは無理だし、そうだな、碧と亜美を行かせるか」

「ちょっと、外に行きます」

「恋歌も、出てくるみたいだな。あぁ、海に入るなよ」


外に出ると、恋歌が待っていた。

恋歌は真奈美から、大事な妹なんだからと抱きしめられて、

『これから、もしこうなったら、こうして』と、色々と恋歌と一緒にいられるプランを、考えている事を教えて貰った。

後は、真奈美の指輪を見て、ミレイが大学合格したら結婚する事を宣言して大騒ぎになって、他の女の子も指輪をねだる事になったと笑顔で話してくれた。

朱雀はコンドミニアムに食事を誘いに来た少年の話をして、民宿に泊まりたいと恋歌に告げた。

「そうだね、民宿には私と同じくらいの女の子も泊まっているみたいだから、声かけてみようと思う。

亜美さんも碧さんも、ヨットやった事ないから参加するって言っている」

「そうか、みんなで【念話】で根回ししてくれているんだ。ごめんね恋歌。

僕が、人との接し方を知らなくって、心配かけてしまったね」

恋歌が、朱雀の胸に飛び込む。

「ううん、私も同じだから、朱雀に頼りっきりになってごめんね」

「大好きだよ。恋歌」

朱雀が、恋歌に軽くキスをした。


「えへへ、嬉しい。ずっと待って居たんだ」

「でも、気をつけよう。【遮蔽】と【幻影、遮音】を先に学ぶが【転移】を身につけないと、【デバガメ】だらけだ。今のも【魔石板】に記録されたみたい」

「エッ! 本当?」

「【遠見の陣】で囲まれているよ。はぁ〜過保護すぎるよ。脩さん、真奈美さん、巴様に、沙羅さんまで・・・・・」

「エッ、お姉ちゃん! いつの間に【遠見の術】をマスターしたの?」

『えへへ、サトリの【オマケ能力】だからね〜』

「私はお姉ちゃんのデートは、邪魔しないと決めて居たのに! お姉ちゃんの馬鹿!」

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