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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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025 屋敷

ファルバン家へ降嫁したメルル。

母が亡くなり、当主が病床にいるのに婚儀を進めるなどあり得ないのだが強引に行われた。

周囲も訳を知っており、誰も異議を申立てしなかった。

実は二人は旧知の仲であり、彼女が夏を過ごす屋敷はファルバン家の屋敷の隣であった。

二人はお互いにサトリでもあり、それぞれの屋敷に居ても会話を楽しんでいた。

そうした中での『お家騒動』であった。

メルルは領民が心配ではあったが、このままでは自分だけではなく家臣や領民まで巻き込む内乱になりかねないとメトルの求婚を受けて降嫁を受け入れた。

当主で病床にある父には会う事も許されず、降嫁した直後に行われた葬儀にも参列出来なかった。

葬儀に参列した家臣からは、顔を見る事も許されなかったというので、とうの昔に亡くなっていたのだろう。

病に臥せったと聞いた時には父の意識は読み取れなかった事を思い返せば、その時から亡くなっていたのかも知れない。

メトルは領主となった長兄に参列を拒絶されたので、香典として金銀と魔素を溜めた魔石を贈っておいた。

もう出来れば関わりたくなかった。

ゲーリンもメイルもファルバン家の警護団に転属し、離れに住むメルルの警護をしていた。

本宅には【魔素】が湧き出す【泉】があり、子ができない事を恐れて女達は離れで住む。

そこにメトルは通うのだった。

【黒石板】に映し出されるメトルとメルル。

中庭で記録したのであろう。

彼らは黒石板の働きを知っており、しっかりと黒石板の方を見て服の裾を直していた。

(私たちも知っていれば、あんな顔をしないのに・・・・・)

美しい薔薇のアーチがかかるポーチで笑い合う二人。

そして、日々が流れふっくらとした服を着る様になったメルル。

初めての男児を抱いたメルルと顔を寄せるメトル。

更に月日は流れメルルのそばに立ち長子を抱いた女性。

「我が妻ルナです。」

ゲーリンの声が響く。

メルルの腹部が大きい。


立ち上がったメルルの胸に抱かれた女の赤ん坊。

金の巻き毛が母親譲りなのだろう。

髪を短くしたメルルによく似ていた。

更に時が流れ長男は4歳くらいだろうか、女児は2歳くらいでメルルの腹部が大きい。

次兄が産まれ、金の長い髪の少女が女児のそばに立つ。

マウアであった。

ルナはメルルのそばに立っている。

更に時が流れる。

長男が6歳、長女が4歳、次兄が2歳の時にルースが産まれた。


その後も多くの成長の映像が映し出される。

メルルを囲む二人の付き人。

歌を歌い舞い踊る映像も有った。

『音も出ると、よかったのにな』

子供達は成長していく。

そして、ルース9歳。

それはやって来た。


「あなた!」

「あぁ、何か近づいて来るな」

「悪い事でなければ、良いのですが・・・・・」

横を見るとルースが、空の一角を見て頭を捻っていた。

他の子は何も気づかずに、鞠で遊んでいる。

「やはり、この子が一番優れているな。私らと同じ時にこの感覚に気付くとは」

「良い師につければ、成長が楽しみですね」

「サキアをつけようかと思っている。上の二人はゲーリンとメイルがついているからな、あの子達は術師というより剣士が向いている」

「娘のスーシャは『サトリ』の能力が少し伸びるのが遅いですが、【治癒】が使えますからね」

「しかし、何も無ければ良いのだが・・・・・」


こうして、一年は何も起こらなかった。

各地で【黒い鳥】の様な物が、飛び回るのが報告される。

そして遂にメルルが、その光景を目にした。

今日はメトルは、領主に呼ばれて街にいなかった。

不安を感じたメルルは、青魔石を手にして空を見上げていた。

【遠見の術】を重ねがけして起動させる。

「ウッ! アレは!」

銀色の筒の上に白い傘の様な物がついた物が、ユラユラと揺れながら空から落ちて来る。

更に見続けていると銀の筒が真ん中から縦に二つに割れて、

多くの黒い4つの腕の先に回る羽根を着けた物が、飛び出して来て方々に飛んで行った。

銀の筒は、海の方に落ちていく。



遂に『ルベル船団』の探査船が『アーバイン』の衛星軌道に到着し、ドローンでの調査を開始したのだった。

帰宅したメトルに記憶を渡して話をする二人。

「あの黒い鳥と空の上には『心』を感じませんが、動き回る物が載った船の様な物が見える事があります。」

(遠見の陣の重ねがけか・・・・・無茶な事をする)

「白魔石を使って眼と心を休ませなさい。そうでないと話も出来ないよ」

マウアにメルルを預けて【治癒】と【安眠の術】をかけて休ませる様に告げる。


メトルは、警備隊長となったゲーリンを部屋に呼ぶ。

「お呼びですか(あるじ)

「済まない。少し話をしよう。【遮音】を使うが良いか?」

「かまいません」

「ふぅ。相変わらず、前の当主の息子や領主の手の者が暗躍しているな」

「申し訳有りません。警護兵にも何人か間者が潜り込んでいる様です。

何人かは重要な部署から外していますが、目を盗んで入り込むようです。

副官の一人に【探知の術師】が居て毎日全ての部屋を回らせていますが、

その後に取り付けられているかも知れません」

「まぁ、仕方ない。下手に締め上げると街の住民が苦しめられる様な税を課して来るから困ってしまう。そこでだ今日呼んだのは他でもない【黒い鳥】の事は聞いているか?」

「はい。隣の大陸に現れてすばしっこく飛び回り、牛や馬その他の家畜の血を吸ったり時には肉を齧る事もあると聞いています。部下達にも目を光らせていますが、もしやこの街でも現れましたか?」

「いや、未だだが今夜にでも現れるかも知れない。メルルが【遠見の陣】の重ねがけで海の上に落ちて来て四方に散って行ったのを見ている」


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