表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
22/926

020 乗馬

「よう、イバ。おめでとう」

長の護衛は、やはりメイルさんだった。

古くからの付き合いらしく長と一緒に聖地に入ったが、元々聖地出身で街で警備兵として働いていたと聞いた事があった。

(ゲーリンが長の名でファルバン家の警備隊長だったから、メイルさんもファルバン家の警備兵だったのだろう)

「うん? どうした?」

「あっ、いや、ありがとうございます。話が急に決まってしまって驚いているんです。まさか、浜に来たその日に名変え相手が決まるなんて思っても見ませんでした」

「だろうな。厨房や工房で働いている娘達が心配していたが、聖地に帰ったら大変だな」

「私も一緒に聖地に行って、挨拶しましょうか?」

シューラが、履き物を変えて外に出てきた。

「シューラ! おめでとう。やっと、逢えたな。想い人に! 聞いたぞ、お前たち子供の頃に会っていたんだってな!しかも、イバの兄と姉の名前を覚えていただなんて、ありがとうな!

ゲーリン様と彼らをサイスの村まで送って行って、それっきりになっていた事を後悔していたんだ。でも、これで仮の墓に名前を一緒に刻んでやれる。ありがとう」

「メイルさん。頭を上げて下さい。そんなにされたら、聖地の娘に意地悪出来なくなります」

「そこまでイバの事を思ってくれるか・・・・・・その事なんだが、シューラ!

今度、イバが帰る時に一緒に来てはくれないか?

実は、ルース、いやルイスさんが言われるには、周辺の村人を収容すると2千人は超えるとの話だ。

もし、逆らって残る奴がいたら逃げてくる時に黒鳥に後をつけられたら聖地が危ない。

だから、無理にでも連れてくる事になるからそんな人数になる。

ライラに来てもらいたいが、彼女は加工場の事があるから外せない。

そこで、シューラに来てもらって色々と意見が聞きたい。

魔道具を使って生活を豊かにしておかなくては不満が出る。

そうなると非常に危険だ。

イバは今は誰も住んでいない住居跡の整備や拡張にあたらせる。

イバも忙しくなるから誰か術師を鍛えてくれ」

「大丈夫か?シューラ?」

「良いわよ。聖地での新居も決めないとね。もう、お父様に頼んで一緒に住んで良いって認めてもらおうかしら?

イバも私の新しい名前考えて置いてね。それで、メイル様。こちらからのお願いがあるの」

「なんだい?」

「イバと弟のルクアに乗馬を教えて下さい。そうすれば何かあったら浜と聖地が一日で行けるわ。時間は大切よ」

「シューラ・・・・・・」

シューラの考えている事を知っているイバは、彼女の交渉力の高さに舌を巻いた。

「そりゃそうだな。丘の村から来月届ける予定だった新村の馬を今日連れてきているし、聖地の追加の馬も2頭入ってきている。他に誰か居るなら後二人位なら教えるぞ」

「イバ、ルクア、ワッグそしてタルムね。」

「そうだな。ワッグは新村に馬が入る事だしな。

新入りだから何か出来る事があった方が溶け込みやすい。

ルクアはイバと一緒の仕事をするから当然だし、タルムは浜の若手のリーダーだからな。

良いだろう。早速だが世話をする事から始めよう。厩の方に集まらせてくれ」

メイルが話を進めていく。

「ルクアはもう厩に行っているはずだから、後はワッグとタルムか?」

「ワッグは長のところに新村に行く話をしに行っているはずだから、私が連れてこよう」

そう言ってメイルが長の元に向かう。

「タルムは二階かな?ちょっと見てくる」

二階に上がってみるとタルムが12歳くらいの男の子に【遠見の陣】の展開を訓練させていた。

「どうした、イバ?」

「いや、聖地と浜の間の行き来が増えるから乗馬を覚える事になってな。

俺とお前とワッグとルクアが先ず覚える事になった。

今から厩舎に集まってメイルさんの指導を受ける。行こうか?」

「おっカッコいいな!タルム兄ちゃん!馬に乗るのか!いいなぁ〜乗れるようになったら乗っけてくれよな!」

「あぁ〜ッ」

(エラく元気がなくなったなぁ〜 まさか馬もダメだとか言わないだろうな・・・・・・)


彼の名誉の為に言っておくが、彼は馬に乗れなかった訳ではない。

何故だか馬にとことん嫌われて、乗せてもらえなかった。

世話をしようとしても追いかけ回されるし、どの馬に乗ろうとしても嫌がられて他の馬まで加勢に来て追い払おうとする。

メイルさんも、時々こう言う人もいると言ってくれたので皆、納得した。

(する事にした)

他の三人は順調に乗れて、シューラも乗りこなせた。

タルムを応援しに来てくれた、あの子が飛び入りで参加して非常に上手く乗れて、

しかも【身体強化】をマスターしてしまう。

こうしてメイルの下で聖地に入って訓練する事になった。

挫折を繰り返すタルム。


後に高所恐怖症を克服したタルムが【浮遊】【飛行】を習得し更に

上級の術【飛翔】が出来る様になったのには、この経験が有ったからだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ