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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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212 アーバインへ

警視庁と各県警が、怪奇な『人体発火現象』の対応と釈明に追われ、連日テレビが彼方此方の現場に中継に立つ。

風俗界は客足が遠のき、歓楽街は22時を過ぎると灯が消えた。

新たな感染は減るかもしれないが、その間も感染者の【呪核】は成長を続ける。


美耶はミアラとライラの応援を要請してくれと、友嗣に頼む。

被害者が余りにも多すぎる。

出来ればルナにもお願いしたいが、そうなると聖地の防衛が疎かになる。

今回は彼女の唄声を録った録音テープで対応する。


頃合いなのかもしれない。

友嗣は思い切って、常義と木場そして九鬼に聖地へ行ってくれないかと頼んでみた。

特に今回、行って欲しいのは木場。

【天測】の術だった。

これを【遠見の陣】と重ねる。

工事中の岩屋神社と東京の羽田邸、そして釧路の駐屯地は接続してみて上手くいって居る。

天体方向にも、アトリエに置いた【遠見の陣】と重ねてちょっとした天体望遠鏡に、引けを取らない程度の性能は出せていた。

これを聖地で有効活用できる様にしてもらいたい。

具体的には周期軌道に入っている衛星軌道上の宇宙船を監視する事で、外で作業をする者たちの安全を図りたい。

そして、接近して来て居る彼らの本隊と、それを取り巻く艦隊の発見をしたい。

自分やルクアが同行できないのは不安だが、ルースとサランに任せれば大丈夫だろう。

ルナやタルムが意見を、木場と九鬼とでぶつけ合ってくれれば良い。。


すぐ様、会議が開かれる。

常義が行く事には、反対意見が多かった。

無理も無い。

萩月家の当主自ら危険を負って行く事など許せないという意見だった。

『皆も知っての通り、萩月の術や奥義は館林が管理しているから継承に関しては問題ない。それどころか新たな館林源蔵を迎えているのだ。新たな術式が加わり、次代の萩月家はさらな進化が約束されている。それに、こうしてファルバンの次代当主もこちらに来ている。ならば、わしが行くのが当然だろう。それに、新たな友に会わせてくれないか?』

こう言われると、羽田達には返す言葉が無かった。

木場は兎も角、九鬼修造の人選は・・・・・ 了承された。

喜ぶ九鬼修造。

誰かを護衛に付ける必要も有ったし、聖地の構造等を知っておく必要が有ったのだが、羽田が外交関係や政界への調整で、両角は海外との不正な金融取引が見え隠れしているのでそれの監視、長谷山は羽田のバックアップと門人の引き締めで身体が空かないのが実情だった。


『兄貴・・・・・ 実験台じゃないの? こっちからはまだ誰も行っていないから一番乗りって言ったって・・・・・』

『蒼。本人が嬉しんだから、一番乗りさせてあげなさい』

『そうね。他の人が先に行ったら愚痴がうるさそう』

身内から、そう心配される事もなく、聖地一番乗りは本人の望み通り九鬼修造になった。

九鬼家からは、何の意見も出なかった。


先に、ライラとミアラがやって来た。

続いて、カイラも弟子の女性を伴ってやって来た。

常義らと挨拶を交わし、それぞれの役割を説明する。

被害者一人一人に合わせて、記憶の消去の度合いを変える。

その後のケアを心理師であるカエラと、その弟子の心理士エミが担当する。

最終診断は未だだが、木場の見立では女性達は卵巣を失っているとの話だった。

こればっかりはどうしようも無い。

現在、報道陣が多く輸送も出来ないので、しばらくは地下施設に分散して貰っているが、記憶の欠如や意識障害もある。

木場達では、手に負えないのが実情だった。

都内、四ヶ所の施設に四人の意見を聞きながら収容して行く。


額に手を当てて心を交わす。

余りにも心の闇が深い女性は、身体の修復を先にと眠り続けさせる事にした。

白魔石に【治癒の陣】を掘った物を、カプセルに入れる。

治癒が発動すると同時に、【呪糸蟲】が検知され、すぐ様、瓶を見てみると本当に小さな赤い点が蠢いてすぐに消えた。

身体の中に卵の様な状態で残っているらしい。

こうして、カプセル内での白魔石の陣を周期的に起動させて、卵を孵化させて【陣】で吸い出す治療が継続された。

木場は、長男の木場圭一に後を託す。


転移陣の中央で仁王立ちしている九鬼修造。

『サラン 変なオジサンが転移1号だ。驚くなよ!』

『何よ。面白い人って聴いているわ。写真でも見ているから問題ないんじゃ無い?』

『ミーフォーの次は、自分だと思っていたのだろうな。全てが片付いて、あちらこちらに行ける様になって来れば良い』

『解っているわよ! 前の妻として暮らしてあげるけど、ハワイでの挙式は私が1番よ!』

『ルクア?』

『イヤ! だって、『日本で、一番羨ましがられる結婚式を調べろ』って姉さんから言われたから、蒼の為にもと思ってね!』

『コリャ、全員、あちらこちらに行く羽目になりそうだ』

『あの〜皆さん。一条とジャイの件片付けましょうね?』


アトリエの『転移陣』が消えてスグに、サランから念話が届く! 

なんか、九鬼修造が感動して大声で泣いているそうだ。

『次を寄越して、早く!』

常義と木場が陣に載る。

「お父様、お気をつけて」

「あぁ、ルース様に合うのが楽しみだ」

「木場さん。【天測】の件。よろしくお願いします」

こうして、萩月の重鎮が三名もアーバインに渡る事になった。

言葉はルース様が、常義さんとサトリの術で記憶を交換しあえば、後はサラン達が調整して広げてくれる。

日本語の伝搬も常義が源となるのなら、正しい日本語がアーバインで広がる。

間違っても、九鬼修造ではダメだ。


サランから

『若菜のお父様、木場さん! 無事に到着されたわ』

『良かった。サランさん!父をよろしくお願いします』

『任せておいて。こちらの言葉を使って挨拶されたわ。会話も問題ないくらい。サトリの力だけじゃないわね。

皆、感心しているわ。

木場さんは・・・・・大丈夫? 獣人の足なんかを気にしているわ』

『それは、獣人の方は人族と違って重心移動が違うので、履き物が合っていないのではないかと心配されているんです。脚型を取るための材料を送ります。それとお医者様なので、どなたか一緒に立ち会って貰えませんか。

健康診断と言って、身体の事を調べて記録を続ける事を考えてらっしゃいます』


送られて来ていた、子供達のリストに目を通しながら若菜が続ける。


『選抜予定の子供の中で医師候補のタクト、コウはもちろん。

タカ、ミク、アミ、リョウは必ず交代で手伝わせてください。

きっと勉強になります。

他の子も、参加させてください。

選考から外れている獣人、と子供達にも手伝わせてください。

お願いします』

『成程。解ったわ。

でも、それは明日からかな?

みんな、敵を見せてくれってお父様と一緒に、【遠見の部屋】に行ったわ。

若菜、母たちの事! 宜しくね。

こちらの女性達の状況より酷いみたいだけど、無理はさせないで。

応援なら送るわ』

『ありがとうございます。こちらの医療関係の女性たちでも、あまりの状況に皆、心を痛めています』

『【ベスダミオ】でも放り込んでやりたいくらいね!』

『あ、それで羽田さんから依頼なんですが、乾燥させていない【ベスダミオ】を送って欲しいそうです』

『解ったわ!この前送って貰った白い箱、発泡スチロールに入れて送るわ。

そのままなら平気だけど、乾燥させて火をつけたらダメよ』

『解っています!』

『次は、ジュンとアミの準備ね』

『いよいよですね。子供達!』

『サラン! 悪いが、しばらくしたら何人か預かって貰う事になる。そっちで、鍛えて永住出来る様になるか見てやってくれないか!』

『はぁ?』


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