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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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001 ファルトン終焉

旗艦『レリア』の艦橋は喧騒に包まれていた。

「記録班! データは継続保存! 船団間での共有途絶えさせるな!」

「保存処理は複数同時でやれ! ミスるなよ!」

「母なるファルトンの最後の姿だ! データだけでは無く各人の魂に刻み込め!」

「旅立つ我ら、そして全てを我らに託して見送る者達への感謝とその魂が安らかであらん事を祈れ!そして、生き延びよ! そして新たなファルトンの繁栄を目指せ!」

「移乗用ユニット艦接舷します。これが最後です!」

「衛星軌道からの離脱準備! 他の船団との距離間違えるなよ!

引力干渉でファルトンに突っ込むぞ!」

「ユニット接舷!」

「移乗用コンテナ収容開始します」

「こちら観測班! ヨーカを掠めて隕石弾こちらに接近します!クラス8!急いでください! 更に隕石弾の影が観測されています!」

「移乗用コンテナ収容完了」

「移乗用ユニット艦の乗員は、『レリア』への移動を急げ!」

「ドーン団長! ユニット艦から入電! 

『ドーン! 航海の無事を祈る! ハーベイ!』」

「ユニット艦! 強制パージで拘束外して離艦しました。もう、収容出来ません!」

「全艦!全速力で衛星軌道離脱! クソ!ハーベイの奴最後まで逆らいやがって!」

「ルベル船団を隕石群が掠めました! 衝撃波!来ます!」

「ワービル船団は衛星軌道からの離脱成功!他の3船団は外惑星に到達します」

「こちらルベル! 先程の衝撃波で衛星軌道からの離脱に失敗した艦が出ました。他の艦を巻き込んでファルトンに落下中です。詳細は追って連絡します」

「ルベル船団はポイント87へ! ワービル船団もポイント87へ急げ!」

「こちら観測班。小惑星帯を超えたら惑星ビールズの影に入って下さい!ヨーカからの恒星風で小惑星帯が砲弾に変わります!ご武運を!」

「ルベルの3艦、ファルトンの大気圏に突入します!」

「くっ! 全船団に告ぐ!急げ! ヨーカが震え我等を逃すまいとしている。

だが、我々は滅びる訳にはいかない! 新たなファルトンを探せ!

そして繁栄せよ! 各船団の幸運を祈る! さらばだ!」


ファルトン歴4000年頃

宇宙空間へ進出しヨーカの惑星や小惑星帯で資源を調達し加工まで行う地下コロニーを建造するまでになったファルトンは、地下遺跡から見つかった夢のようなエネルギーユニット『ボーズ』を手にして更なる発展を遂げていった。

しかし、同じ頃恒星『ヨーカ』に異常が起こり始める。

黒点の数が増大し太陽型恒星の終末。『赤色巨星』へ進む兆候が見られ始めた。

ファルトンでは国家の柵を越えて対応策を検討するが、他のファルトンと同じ環境を持った惑星への移住しか手段が無い事に結論した。


しかし、国家間、民族間、宗教間での諍いが計画を阻む。

そんな中、神の裁きか4400年代に入り急速にファルトンの気温が上昇。

ヨーカからの恒星風の強さが増したのだ。

公転軸も変動して異常気象が多発。

人々は住居を失い地下へ居住するようになった。

地上の植物は枯れ、海は干上がる。

発生した水蒸気は大型の台風となって耕作地を流し去る。

食糧不足、動乱、国家破綻。


ここに至ってやっと国家連合が設立された。

外惑星で急がれる移民用船団の建造。

当然、大国や資本家、巨大な宗教集団は我先に検討されてきた他の惑星へ向かって旅立ちを急ぐ。

数千人から一万を超える移住者を収容したコールドスリープシステム(CSS)と、コールドスリープ(CS)を拒否してコロニー内で生活を継続して生きていく事を選択した人達を乗せて旅立っていく。

その数28船団。

1000万人を越える人々がファルトンを後にした。

残された40億の人々はファルトンと運命を共にする。


そして、今回がその最後の移民団。

5つの国家を基準とした船団と少数民族や連合の職員の家族を主とした『レリア』であった。

『レリア』『ルベル』『ワービル』この3船団はほぼ同じ方向へ進むこともあり、一般人を中心とした乗員と食糧、機材、ボーズを収容したコロニー艦を待たせているスペースドッグは同じ方向にあった。

ポイント87で集合し最後の会議を開いた後に各々のスペースドッグに向かって、船団を形成し目的地を目指す。


「ドーン団長。小惑星帯を抜けました。これから、ビールズの影で『ルベル』『ワービル』の船団を待ちます」

「彼らの被害報告は来ているか?」

「ルベルの輸送艦が3隻、墜ちてしまいましたが、どうもその艦に移住者達が乗艦していたようです」

「輸送艦への移住者の乗艦は禁じられていたはずだが・・・・仕方あるまい」

「ファービルは旗艦『ワービル』に、損傷が出ています。小型輸送艦1隻も行方が解っていません」

「ポイント87で、レリアにて船団長会議を行う。各船団長と副船団長、そして運行管理の責任者を集めろ。武官の同行及び武器の携帯は認めない」

「はっ! 両船団に通達します」

下士官が出ていった。

「しかし、何の因果かな? 選りに選ってあの両国がここに居るとは・・・・・」

ドーンはビールズの影に入ろうとしているファルトンの姿を眺めていた。


予めご了承ください。

作中に登場する食品や動植物あるいは物品の名称は日本や地球上での呼称にしています。

中には他書籍の呼称ににかよった呼称もあるかも知れません。

例 他惑星でも台風の呼称を使っています。

他にも他惑星ですので麦や米なども違う進化をしているはずですが、改良前の麦、米と認識お願いします。

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