表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
196/926

194 裏高野山 2/3

「よっ!お疲れ!」

にこやかに声を掛けてきたのは『一条 篤』

幽閉されるかと冷や冷やしたそうだが、一光が自由にさせている。

逃げ出そうとすれば問題なく出れるだろうが、行く宛もなくこうして裏高野山の道場で、少し体を鍛えては本を読んで過ごしていた。

今日は額真から、友嗣が来ると聞いていたので関慎一と友嗣の到着を待っていた。

「どうだい? 元気にしているようだがずいぶん自由にやらせてもらっているようだな?」

「そうかな? そうでもないぜ。だいぶ引き締まってきたろう?」

「そうだな! 関が付き合っているのか?」

「ここじゃ、俺が一番下っ端だからな。でも、真面目だぜ? 一条に、こういう奴が居るとは思わなかった」

「豊と一緒にするな! 育てられ方の違いだろうな。アイツは、譲ジィにベタベタに甘やかされて育ったからな」

「篤は甘えさせて貰えなかったんだ?」

「あぁ、絶対アイツが悪くても我慢させられるのは、いつも俺らだった。アイツの取り巻きの七人だって元は十二人だったんだぜ!うち三人の女は豊が手を付けた。子供もいる。残り二人は死んだよ。表向きは事故死だが、本当なんだか。俺は間違いなく豊が殺したと思っている。

今思えば、アレが『呪核』の影響なんだろうな。凶暴性が増すんだよ、眼が赤くなって筋肉が膨れ上がる。まるでヒグマにでも変わったみたいに吼えやがる。

俺は、すぐさま連れ出されたけど、一条の道場で見た時には流石に怖かった。

でも門人達は逃げないんだ。黙ってなすがままさ。

見ていなくてもわかるさ。翌日になったら門人の数が減っているし奴の顔は綺麗なままだからな」

そこへ、一光と額真がやって来る。

挨拶を交わし、岩屋神社の守り人として関の弟慎二が鍛えて欲しいと行ってきていると一光に伝える。

一光は了承し、表から入って来るように伝えた。

さて、御堂で待つ信長様の所へ行こうとすると

「この二人もお呼びじゃ」

そう言われて、五人一緒に御堂に向かう。

「今日は入れるが、明日からどうかは解らぬぞ」

と一条篤と関慎一に、一光は言い聞かせて中に入る。


今日は先に信長以下、全員が二つの円卓にかけて待っていた。

「織田信長・・・・・!坂本龍馬、上杉謙信・・・・・松永弾正! 明智光秀?」

「お濃の方? 確か、出雲阿国に・・・・・静御前!」

「よく、皆、言えたな!」


絨毯の上に一条篤と関が頭を擦り付ける。

「これ!よさんか! 今はただの霊魂じゃ!一光!椅子にかけさせよ。ミツ!席を教えてやれ!と、その前に・・・・・」

信長が、一条篤の前に膝をついた。

「顔を見せてみよ」

顔をあげた一条篤の右の目を覗き込み、その頬を撫でる。

「良かったなぁ。【呪核】を抜いてもらって。どうだ? いつも、嫌な気分になっていた夜が無くなって眠れるようになったろう?」

「どうして、それを?」

「後で聞いた話じゃが、サルめが【呪糸蟲(じゅし)】を入れられて狂ったからのう。ワシも、ミツが居らなんだらいれられていたうやもしれん。ミツから言われたのじゃ、『殿中に上って女を勧められても誘いに乗ってはいけません』とな。女の中に【呪糸蟲】を飼っている者が居るのじゃよ。友嗣、一光に額真。一条の眼を見よそして、関の眼を見てみよ。関の右眼の白眼の部分じゃ、赤い糸が動いていないか?一条の方は小さい点が有るが薄い跡になっているはずじゃ」


それを聞いて、一光が懐からカメラを出して一条篤と関の右眼を撮っている。

友嗣も【黒石板】を取り出して記録を取り出した。

これから、やらされる事は重要だとすぐに気がついた。

「友嗣、関とやらの身体から抜いてやれ。良かったのう。生きて出て来るぞ。瓶に移すが良い」

「関、道着を脱げ。そして後ろを向け。右か・・・・・ちょいとばかし痛いかもしれんが、命を無くすことはない。悪い誘いに乗った罰だ」

道着をはだけ上半身裸になった関が、不安な表情で友嗣に背を向ける。

「行くぞ!」

「グッツ!」


友嗣が手にした【遮蔽】と【保護】がかかった小瓶には、頭の部分が丸い石のようになった赤いミミズの様なものが蠢いていた。

「え〜! そんな事出来るのかよ! 俺からも、こうやって抜いたんだ!」

「なんなんだ?コイツは?」

「ほほう、これが【呪核】になりかけの【呪糸蟲(じゅし)】か!」

一光はフィルムを交換して撮りまくる。

「誰と寝ちまったんだよ?どんな女だった?」

聞いてみると一条 豊が手を付けた女だった。

子供も10歳くらいの息子がいるらしい。

性病よりタチが悪い。

青ざめた関。

「コイツが、このまま俺の身体に巣食っていたらどうなったんだ?」

「お前の様な筋肉バカは簡単な事よ。化け物になって人を殺しまくって、突然、人混みで自爆する。秀吉の様な策謀家は疑心暗鬼になって、人々を策謀にかけて殺しまくる。最後には狂って死ぬがな」

明智光秀が懇切丁寧に説明した。

「光秀様? これは憑るのですか?」

「高位の道士の男なら自分の精巣に【呪糸蟲】を飼い増やし、今回の様に女を介してうつせるが、関では女からの感染で宿主となって、呪核を育てるのが関の山だ。一条豊も道士では無いからな。女にうつしたのは譲だろう」

衝撃の話だ。


織田信長も何度か参内しているが、光秀の忠告を守りその身を守った。

流石の光秀でもサルが関白になるなどと思っても見ていなかったので、その事を教えずにいた。

彼の女好きは有名だ。

しかも相手が貴族の娘、女房で有れば尚更だろう。


「関を責めるな」

「こうして、【呪核】になりかけの【呪糸蟲】を自分の身体で育ててくれたのだ」

すっかり肩を落とした関の肩を叩いて、大笑いする信長であった。

「据え膳食ったらダメだな」

「しかし、明智様。なぜ篤から抜いた呪核は爆発し、関から抜いた【呪糸蟲】はこうして蠢いているのでしょうか?」

篤の釧路でのあらましを、皆に説明する。

「篤から抜いた【呪核】は道士を焼き尽くした【呪核】からの影響を受けて変化したのだろう。もう少し育つ、つもりでは無かったのか? 関のなりかけはまだ【呪核】になってもいない。この高野山の地に居るせいもあるのだろう。もうしばらくすると、外で赤子から取り出した【呪糸蟲】と同様に干からびて死に消えていく。怨念の塊みたいな物だからな」

「ミツよ。友嗣が知りたい事を教えてやれ」

「死人の呪核は確かに燃え尽きません。しかし、信長様が言われた通り怨念が無ければ消えていきます。しかし、埋葬地が穢れた土地や墓所ならば残っている。ところによっては成長している。一条の墓所は如何でしょう?」

「アソコは空じゃよ。あぁ、譲が呪核だけ持ち出しよった。割られた骨壷の数から30余りじゃろうて」

「それでは、その他の一族の家人は?」

「信用しておらんのだろうな。ワシらが調べたところでは、もう無いな。生きている者を探すことが先じゃな

歩く『時限爆弾』に使われたら大変だろうて。篤の呪核を潰したのは正解じゃな。おそらく篤は死んだ者とされておる。

関も死んだ事にしておこう。でないと、【呪核】【呪糸蟲】の事をこちらが知った事に気づく」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ