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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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172 念話の魔道具

【念話の魔道具】が完成した。

若菜の何気ない一言から・・・・・

若菜が【転移陣】を見ながら、『まるで国際電話みたいだ』

そう若菜の一言から始まった。


皆に木場が説明をした。


確かに今、アーバインと繋ぐ【転移陣】を見ると、地球で使われている電話のシステムだ。

一番外側は国番号、市外局番にあたる。

二番目は電話のシステムそのもの。

三番目が個人の電話番号にあたる。


そう言えば以前、こちらから荷物を送った際に、友嗣の『念話』がサランに届いた。

転移陣の動きに『念話』が乗っかった?


念話用の紋様をルースが、黒石板から探し出した。

最後の個別番号にあたる物。

これを、サラン、ルース、ルナ、ルクアというサトリの能力持ちのファルバン家に繋がる者にする。

日本側を友嗣と若菜というやはり、サトリの能力持ちでファルバン家の者に制限して対の魔道具を持つ。

その個人が識別できる物は、それぞれに与えられた紋章。

試しに一番内側にルースと友嗣(イバ)の、ファルバン家の紋章を入れてみた。

二人共、燕の紋章。

一番外側の紋様を、アーバインと日本を指し示す今の[転移陣の紋章】を入れた白石板を、カイがそれぞれ五枚作って試してみた。

三枚の白石板に、陣を重ねた物で繋がった。


こうして、全員が特定の相手に繋がる『念話』の魔道具を持つ。

三枚程度ならそんなに大きな場所は要らない。

更に改善をかければ、片方の掌程の大きさで十分に繋がると、ルクアがカイと一緒に改良に取り掛かっている。

蒼も負けては居ない。

レーザーの光軸を絞り、細かな加工に挑戦している。

彼女が挑戦しているのは『コインサイズ』

一番外側にヘルファのカバーリングを付ければ【収納】持ちでなくとも持ち歩ける。

空中に陣が広がったとしても10センチ程の光の輪が出来るだけ。

友嗣の紋章は、彼から貰った胸に着けている赤い魔石のネックレストップ。

若菜の青い魔石と一緒なのだ。

今も、そのペンダントに手を当ててレーザー光の軌跡を追いかける。

自分もその一員となって、念話の魔道具をブレスレットにして見せる。

アニメの世界みたいで良いじゃないか!


お互い写真でしか見たことのない相手に対して意地をぶつけ合っている【創芸師】

カイに、微細加工の為の工具やルーペを送ると、今度はルクアが【遠見の陣】を使って拡大した映像を【白石板】に映し出す様にした。

話を聞いて友嗣が、同じ様な物を桜と作り出す。

木場が息子に渡し、非常に難易度が高く躊躇されていた手術に使ってみた。

ピントの調整や角度の調整、視野の広さを、陰陽師で修業を積んだ者で有れば容易にできる。

急な患部の出血源を見つけるにも、何の苦もなく対応できてしまった。

重宝するが他の医師、助手と共に使えないジレンマに今、苦しんでいる。

光学機器メーカーに勤める一門の者が、これを目標にしている。


イバの四人の妻達は、父ルースと夫の為にペンダントを渡す事にした。

彼らは持ち前の魔素量で、補助として使うペンダントは不要だったしかし、家族の証をあげたい。


聖地に居ない若菜は日本画の技法を使い、ルースと友嗣の共通の【燕】をモチーフにして、二種類のペンダントトップのデザインを描きサランに送る。

三人の姉達は一緒に金を加工して、青魔石を埋め込んだペンダントトップを完成させる。

蒼が若菜のペンダントのチェーンに似せてヘルファで作り上げ、その一本をサランに送った。

この頃、蒼も『サラン姉さん』と呼んだりするので、その度に若菜はピックっとするのだが・・・・・

こうして作られた【青魔墨】で、それぞれの紋章が刻まれた陣を描き入れた白石板で格段に念話が楽になった。

お互いが持っているペンダントの青魔石と魔道具の起動用として青魔石を使えば、若菜でもサランかルナ、ルースに念話が出来る様になった。


そうこうするうちに、11月10日の朝を迎えた。

若菜が、今日は朝からサランと『念話』を繋ぐ。


今、友嗣はアトリエのグラウンドで、荷物を受け取る為に京都を留守にしている。

若菜は館林の離れに設けられ友嗣との新居になる部屋で、サランからの呼び掛けを待っている。

向こうではサランとルナがミーフォーと手を繋いで念話を繋ぐ

こうすれば、ミーフォーはサランとルナから若菜の念話は伝えてもらえるし、若菜には念話は送れなくとも声で、隣の二人に意見を伝えられる。

念話が開始されたと同時に、若菜がサランに泣きついた。


『サランさん!これじゃ蒼さんも五人目の奥さんみたいじゃないですか!チェーンの加工したのが蒼さんなんですよ!』

『でも、若菜が二つの図案を考えて私達が作ったのだし、蒼が作ったチェーンは友嗣が作った物のコピーでしょ?』

『なんだか、私の貢献度が小さいって言うか、蒼さんが手作りした物を友嗣さんが肌につけているのが、何となく腑に落ちないし、出来た時にドヤ顔されたのがフラッシュバックしてくるし・・・・・』

『それを言うと、私たちだって仕上はカイにやってもらったわよ。そうしないと、やはり素人だからね』

『カイは独身で、もう成人。名変えができるし許嫁もいないわね。五人目?』

『な、なんって事!言うんですか!サランさん!』

『いや、今のはミーフォーの発言だよ。』

『勘弁してよ。そんな事言い出したら大変だよ。聴くと、友嗣が道場で合気道をやる女の子の手をとって魔素を循環させたらしいよ。あれって・・・・・気持ちいいよね。私、寝る前にイバにアレやってもらうんだ・・・・・』

『ルナ〜。ミーフォーも、テレテレしない!』

(確かに、あれは気持ちいい。やっぱり、その前に、やって貰っているんだ・・・・・ウフフ)

『若菜も、自分の世界に入らない! 桜が去ったと思ったら、又、惹きつけているの?』

『本人、無自覚だから、困り者よね』

『お姉〜さん達! 私一人じゃ、蒼さん止めるので精一杯ですよ!』

『でも、今、その蒼のところに行っているんでしょう? ひとりで・・・・・』

『ちょっと、姉さん! よりによって、今日、不安がらせちゃダメでしょ!』

『そうですよ。今から私、美容院行く準備しなきゃいけないんですよ』

『なぁに? この娘・・・・・、私達そんな『結婚式』なんて無かったわよ』

『そうそう、この前送られて来た冊子で見た結婚式のドレス。綺麗だったわよね。あんなの着るの?』

『えぇ〜まぁ、今夜は違いますけど来月の披露宴では着ますね』

『全部、写真撮るのよね?』

『えぇ、はい』

『あのデカい、ケーキも出るの? ミーフォーが聞いてるよ』

『はい、出ます。上の部分は飾りで食べられないですけどね』

『だろうね。あんなのコケたら大惨事! だからね』

『明日から、一週間。北海道に二人で旅行よね』

『ミーフォーは島で二人っきりになっていたから良かっただろうけど、私とサラン姉さんはイバの取り合いだったわね?』

『そうよね。しかも、聖地と浜の行き来で離れている時間が多かったわよね』

『サラン姉さん。私たちも日本に行って結婚式を挙げませんか?』 

『良いわね。やはり妻は平等よ。 ミーフォーも言っているわ。という訳でいずれ私達も日本に行ったら結構式と新婚旅行やり直すからね。彼に伝えてね』


『・・・・・』

『若菜?・・・・・』

『ごめんね。イジちゃって。・・・・・不安なのね?』

『大丈夫!私たちは家族でしょう?』

『蒼の事は気にしなくて良いから、良いじゃない写真見る限り良い子みたいだし、ルクアとのやり取りの手紙も見たけど良い子よね』

『ねぇ、ルクアの日本での妻にしてはどう?って、ミーフォー! いい考えね』

『ルクアは実力じゃ、イバの次よ。魔道具造りならルクアが上よね? そうね。上手く誘導してみるか? 子供の頃、私に何度も誘導されていたわね。蒼との間なら才能溢れる子供が授かりそうよね?』

(怖い人達だ、やっていけるかな〜)

『ほら、そろそろ時間じゃないの? 頑張ってらっしゃい若菜。私たちがついているわ。幸せになりましょう』

『そうね。若菜ちゃん!早くルイの妹を産んであげてってさ』

『私は家族が増える事が嬉しいわ。おめでとう。若菜ちゃん』



『ふう〜そう言えばそうよね。お姉さん達は、今も昔も閉じ込められた生活をしているんだから、それに比べれば幸せか。頑張んなきゃね。若菜!』

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