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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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131 顕現

友嗣が道場で栗林と模擬戦を繰り広げていたその頃、【萩神社】では淡々と神事が進められていた。

この神社は萩月一門に使える式神である【妖狐 萩、白美】を祀る社である。


【妖狐 萩】【妖狐 白美】

代々と続く陰陽師の一門のひとつで、唯一誕生した女性の当主【萩月 巴】に仕えた【萩】。

萩と共に巴に降り【館林家】に仕えた【白美】。

共に六尾の妖狐で、萩月家と館林家を共に守り通していた。

真力を萩月家と館林家が失い先に、萩が霊界で眠りについても、白美は僅かばかりに都に残る真力を集めては霊界に横たわる萩に真力を与え続けていたが、その白美も茜の目の前から姿を消して、もう半世紀になろうとしている。


今こそ眠りを解く。


長谷山が衣冠に身を包み、白い浄衣に身を包んだ常義と紫の袴に白い浄衣の茜へ三方を差し出す。

若菜と茜が、それぞれ真力を溜めた白魔石を三方に並べて置いた。

神前へ進み三方を納める長谷山。

すると待ちきれなかった様に御神体として飾られた鏡に、白魔石から若緑と茜色の光を纏った【真力】が立ち昇り吸い込まれていく。

その様子を常義と茜が見守る。

「伝承のとおりだな」

「はい」

「後は待つだけか?」

「白美・・・・・」


若菜には伝わって来る。

何人もの女児のはしゃぐ声が・・・・・

そして、それを嗜める女性の声が・・・・・


鏡から様々な色を纏った光の珠が出てくる。

大きな若緑の珠と茜色の珠、そしてその二つを取り囲んで飛び回る一つやや小さな珠と八つの小さな珠。

次第に大きな珠が、六つの尻尾を持った赤みを帯びた毛並みの狐と、全身が白というより銀の様な狐に変化した。

九つの珠は相変わらずそのままであった。


「妖狐 【萩】、 顕現いたしました。」

「同じく【白美】、顕現いたしました。」


次第に、人の姿になっていく。

現れたのは巫女姿の女性がふたり。

萩は温和な顔をして、長い黒髪を後ろに束ねて立ち。

白美は銀髪を同じ様に後ろに束ねている。

やや、白美が背が高く目つきがキツイ。


「私が萩月の当主になった時に枕元に立って以来だな。萩、白美。長い事待たせてしまった。許せ!」

常義が式神達に頭を下げる。

「初めまして私は萩月 若菜です。 これからは【真力】を欠かさぬ様にします。眷属達も顕現できる様に努めます」

「白美・・・・・待たせたね。源蔵さんにもう一度合わせたかった。これからはそばに居ておくれ」

「茜様・・・・・白美は嬉しく思います。源蔵様の霊魂を見送って寂しく思っておりました。お守り出来ずに申し訳ありません」

白美は、病死した源蔵を助けられなかった事を詫びる。


「萩、白美、合わせたい者が居る。後程、ここへ一緒に参ろう。それまではこれを置いていく。それから、現世の食事を持って来ている。それを食して待つが良い」

常義が白魔石を取り出して、一つづつ二人に渡した。

「御当主様。月夜石とは違う様ですが?」白美が、白魔石を見ながら常義に問う。

「白魔石と言ってな。違う世界から来た客人の物だ。それから、後で【月夜石】をその客人に見せて欲しい。良いかな?」

「それは、構いませんが・・・・・」萩が不安げに応える。

「客人。『岩屋 友嗣』が言うには【月夜石】も手に入れる事ができる様になるだ」

「それは、本当ですか⁉︎ 【月夜石】は次々に砕け散っていきましたのに・・・・・」

「あぁ、彼もこの石より優れた魔石を砂粒から作り上げている。私も若菜もそれを目にしてその能力の高さを見ている。萩月は再興する」

「それは・・・・・御当主様。おめでとうございます。」

ふたりの巫女が揃って頭を下げた。

周りを舞う九つの球も頭を下げる様に上下に動いた。


皆で道場に帰ると【友嗣】が、無手の術で若手の【栗林】と笑いながら稽古をしていた。

長谷山も見た事がない、身体のこなしと技の数々。

「父上! 彼は凄いですよ。栗林に指一本触れさせる事なく、逆に指一本で栗林を道場のど真ん中に大の字にしましたよ。それで、あの笑顔ですよ。あのヤンチャな栗林が素直に頭を下げました。剣術も幼い頃からやって来ている様ですね。日本の剣道では無く西洋の両刃の剣を使う剣術の様ですが、木刀を使った試合でも見切りが極地を行っている。真剣を使っていましたね。羽田の門人が付いて剣道に慣れてもらいますがこの方も中々ですよ。私も少々打ち合いましたが上手く捌かれて有効打を入れるのに苦労しましたよ。多少の打ち身は彼が白い石で治してしまいます。本当、何者なのです?」

「今しばらくは言えないが、お前には彼を手伝ってもらう事になる。解るな?」

「はい。父上!」

「私は余り無手の術には詳しくないのだが、どうなんだ? 木場よ」

「古武術に近いですが、戦闘武術ですね。今も、軽く相手を投げるだけにとどまっていますが、必ず相手の急所を見ていますし、そこを突く準備が出来ています。羽田、九鬼どうだ?」

「間違い無いですね。陸自のレンジャーでも苦労するでしょう。しかも、手を抜いてあの状態です」

「海外の特殊部隊が彼をみたら、白紙の小切手帳を差し出しますよ。今でも、首を取る動作がはいっています」

「そこで、彼からの提案ですが道場を広げようかと言って来ています」

「はぁ? 空いているとしたら館林の庭になるがあそこには触れてはいけない双子池が有る。それは、出来ないぞ」

「いえ、詳しくは言えないそうですが御当主様と相談するそうです。それが出来ればこの道場の数倍の道場と宿舎を作るそうです」

皆、常義を見て言葉を失っていた。

「なんと言う男だ・・・・・」

常義は道場で華麗に舞う友嗣の姿を追い続ける我が娘の姿に溜息をついた。




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