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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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122 黒鳥再来

残酷なシーンを想像させる描写が有ります。

今回の冬越しには誤算があった。

プオで飼っていたボアの一部が、深く伸びた『馬鹿蔦』の根の下を掘り進み、林に逃げ出していたのだ。

しかし、家畜化された為か開いた、この地下道を使って戻って来て餌を食べに来る。

しかも、新しい連れ合いを連れて帰って来て数が増えていた。

狼が侵入してくるかと警戒していたが侵入してこない。

原因が解ったのは、出入りするボアの身体が濡れている事だった。

内部で水が出ていて、それを嫌がって狼は入ってこれない。

森へ出る際には慎重に出て行くボアに撃つ手がないのだ。


そして、バイが居なくなった。

予測はしていたが、発情期には勝てなかった様だ。

それでも、春を過ぎ夏を迎える頃に3匹の子供を連れて帰って来た。

同じ様に【魔道具の首輪】を着けて飼ってみる事にして、今はボアやトナカイを襲う事なく遊び相手にしている。

増え過ぎるのも考えものなので、場合によっては首輪の魔石を変えて、【妊娠制御】させる事になる。



そして、遂に東の大陸。

フロール平原の上空に船が到達した。

ルースの聖地が、警戒状態に入る。

フロール平原に近くなるプオの聖地の崖の【遠見の陣】が、夜間も含めて警戒に入る。

今は、もうタリムが育てた浜の村出身の術師が取り仕切っている。

ルースの聖地ほど良くは見えていないが、ルースの聖地からの伝言石が転送されて割れた。

「『3本! 銀の筒が船腹に現れた。警戒せよ!』 ルナの声だった。


落下してくる白い筒の姿を、しっかりと監視出来ている。

避難所の地下とアメの聖地、そしてダイアの部屋にはルースの聖地の様に白石板に、その光景が映し出された。

ダイアも起きてその光景を見ている。

そして、【黒鳥】がフロール平原一帯に放たれた。

24もの【黒鳥】がフロール平原とその周囲を周回していく。

そのうち、北の山腹に置いた陣とプオの崖がそれぞれ、二つづつ黒鳥の接近を捉えていた。

「やはりそう来ましたね。」

ノアがそう指し示した。

北の集落跡を舐めるように、二つの【黒鳥】がゆっくりと集落跡から街跡と避難所を何度も行き来する。

集落を捨てた様に見せかけて、ソリや台車を打ち捨てて置いた。


『あぁ、ここは逃げ出したみたいだな』

『記録だとゴッツイ動物の様な体付きの人型生物が金属加工していた様だがいない様だな。学者がいたら喜んだろうにな』

『学者なんて、しばらくは動けないさ』

『食糧増産が先。記録映像だけ残して置くか・・・・・』



海側からもやってくる。

崖で囲まれた島。

唯一、船着場が有った西側の瀬辺りは、蔓が大群落を作って覆い尽くしていた。

少しばかり有った集落もこの蔦に飲み込まれていた。

そして、4つの【黒鳥】は避難所周辺と街跡を捜索する。

こちらも、あの蔦だ。


『この蔓状の植物は凄いな。もうこの島の森林以外はこの蔦に覆われている』

『こいつは厄介だな。入植地に入ってこない様にしないと植勢が強い』

『帝国の入植地までは距離がある。海峡で切れているのが幸いだな』

『コリャもう、この街跡は使い物にならないな』

『ここは反撃らしい反撃は無かったな。島だし入植した痕跡もないからこのまま放置で良いか?』

『そうだな。無人攻撃機で再攻撃の必要はないだろう。食糧生産もこの状態だと、逆に入植者が出て来たらすぐに判るし監視エリア外だから放置で良いだろう。寒冷地だしな。それじゃ、戻すぞ入植予定地の平原に下ろして置くか』



東の大陸に戻っていく黒鳥たち。


それから、しばらくした後の【アレ】、【シーグス】などの攻撃があった後でも、【銀の鳥】はおろか【黒鳥】の姿をウルマで見る事はなかった。


ミーフォーはこの間、ルイを抱えたまま【伝言石】でのやり取りを、ダイアの部屋の下に作った【転移陣】を使って行っていた。

「完全に廃墟に魅せていて正解でしたね」

ルースの聖地でも【黒鳥】の周回が無くなり、又あの船がフロール平原の上空に停止した事で、警戒を緩めてひと段落したところでイバがやってきた。

プオの聖地を拡張させて、イバとミーフォーの為の住居が作られていた。

ここが、ミーフォーがバイと過ごした隠れ家に近く、バイが子供達を連れて狩に出る時に出て行きやすかった。

そして、ここからの風景を何故かイバが好んだ事も有った。

(アメだと、浜の村の連中が邪魔なの!)

と言う、ミーフォーの強い要望もあった。


ダイアの具合が悪くなる。

ミーフォーの治癒で痛みは取り除いているが、体調は悪くなるばかりだった。

ルースやイバ、そしてダイアと仲良くなったサランとルナ、リルとジュンまで、転移して来てアシの一族の秘密が語られた。


ダイアは、この身体を捨てて【ポアーザ】に変化する。

そして、その身体を食い破って【アシの女の赤ん坊】が産まれると・・・・・


衝撃の告白であった。

アシの一族は、女性だけで代を繋いでいる。

息も絶え絶えな状態でいる母体から子供が出てくるのを、手足が無い大人が手伝う。

側から見たらそれは酷い光景であるが、手伝わなくては共に死ぬのだ。

その死に際に、赤ん坊の成長と共に体内で【ポアーザ】も成長する。

そして、我が娘の誕生と共に【ポアーザ】に心が移る。

そして数年後、曾祖母にあたる【ポアーザ】がゆっくりと死を迎える。

夕陽の【ポアーザ ウーラ】の色が、薄くなったのはそのせいだった。


「ノアは知っていたの?」

「はい。私たちの一族は彼等の声を聞いて伝えるのが役目でしたから。彼女一人であってもこの代を継ぐ営みは変わりません」

「そう・・・・・私たちが治癒を使い続けながら子供を取り出してダイアに負担がかからない様にしてもダイアがあの姿でいられる事は無いのね?」

「えぇ もう彼女の意識は身体の中の【ポアーザ】に移っています。彼女の身体は間違い無く死を迎えます」

「これが、あの時の答えなのね。子供達は知っているの?」

「はい。【ポアーザ】と心を通わせる様になってから、二人には話してあります」

「強いわね」

「でも、産まれてくる娘も同じ運命を歩むのね。」

「そうです。彼女達も又アシの一族ですから・・・・・」


「彼女達?・・・・・ ダイア。少し身体を見て良いかしら?」

「良いわよ。ミオラ。 アナタなら、もう娘達と言葉を交わせるのでは無いかしら?」


ミーフォーはふと思い出した。

(治癒師として接する時には、彼女はミオラと呼ぶ事が多かったな・・・・・}


『聞こえる? 私はミーフォー。もしかしたら、ミオラの方が馴染みがあるかしら?』

『『はい。聞こえます。ミオラさん。お母さんの事を診てくれてありがとう! ミオラさんが診てくれる前まで鉱石の毒で私達が未発達のまま出てこない様にしていたの。でも、私たちも苦しくって少し身を捩ってしまう。でも、それがお母さんを苦しめていたの。ごめんなさい』』

『私こそありがとう。あなた達の事は私が責任を持って産まれさせてあげるわ。心配しないで。何か伝えておきたい事ある?』

『『それなら、お父さんと兄さんと姉さんに・・・・・お母さんを奪う事になってごめんなさい。でも、私達にはどうしようも無いの。私達もお母さんに抱き締めて貰いたかった・・・・・』』

ミーフォーは、二人の言葉を皆に伝えた。

「解っている。これがアシの一族なのだから・・・・・願わくば君達の生涯を変える様になれば良いのだが・・・・・」

「ノア。ごめんなさい」

ダイアがノアを、抱き締めて謝った。

「何を謝ることがある。この別れは新たな出会いなのだよ。それに姿が又変わるだけだ。私は四人の子供に恵まれる最初のアシの一族と結ばれた者だ。幸せだよ。それよりもウーラとの別れが辛い」

『ありがとうね。やはりアナタに孫を託して間違い無かった。ワシらの秘密はダイアから教えて貰うが良い。もしかしたら、こうして繋いでいる代の方法を変える事ができるやもしれない。元々は竜の姿を持ち男女が居て卵で産まれてくるのがアシの一族だった。母親として我が子を抱けない事はなかった。ダイア、皆さん頼んだよ』


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