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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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120 創芸師

聖地と遺跡をつなぐ坑道が心許ないので、聖地から呼んだ術師とメック達鍛治師の集団が聖地の深い部分から再度通路を作り、今までの坑道は塞いでしまう。


ルースが収める聖地でも食糧の事を考えると、此処の住民の全てを受け入れるのは無理だ。

【泉の球】で見る限り、おそらくルースの聖地と同じ規模を持つ魔素の泉はこの島の近在には無い。


更に北の島にも、同じ様に二ヶ所の聖地がある島が解ったが交渉を持ったことがなかった


次回の襲撃は此処で乗り切るしか無いと結論が出された。


その打開策として避難所の深い位置と遺跡をつなぐ坑道を作り、避難所の地下で羊や山羊、トナカイ、そしてボアを飼うことを試す事にした。

急がなければならない。

更に、聖地から獣人達が羊、山羊を連れてやって来る。

この家畜達には予め島の餌を与えてみていた。

此処に連れて来たのは、あのユキの子とその後にやってきたアルファンス種の山羊達で非常に耐候性が強かった。

もちろん持参した馬鹿蔦を魚道を隠す為にも植えている。

枯れるかと思ったが頑丈な植物だ。

直ぐに魚道の出入り口を隠してくれた。

山羊を飼うエリアにも馬鹿蔦を生やしておいた。


【遠見の陣】を構築していく。


【遠見】といえばやはりタクム。

【飛行】、【飛翔】を使って陣を置く場所を決めて敷設してゆく。

この島に来て得られる豊富な魔素を使って【陣】を重ね書きした【遠見の陣】を悪辣兄弟に描かせてある。

プオの聖地の傍に聳え立つ白い崖の上にも、ミーフォーが設置したプオの出入り口を見張る【遠見の陣】とは別に、対岸の大陸を見張る陣を重ねて置いた。

聖地から連れてきた【遠見の術師】を、島の五人の術士と共に貼り付けた。

ここの陣には、全ての術師が関わってもらわなければいけない。


チョアの実も、回収させて冬籠りの最中に魔墨の作り方を教える事にする。


タクムが北の集落を超えて山を登る。

流石に山頂は無理だが山腹にも【遠見の陣】を隠した。

こうして、島の周囲を回る彼の後を追う様に、【飛行】の術を学ぶ犬獣人の男の子がついて回る。

タクムは、一緒に抱えて飛びながら突然術を切る。

タクムを支えて少年は、必死に術を繋ぎ飛行を続ける。

こうした厳しい訓練が実って短い時間に【飛行】を収める事ができ、短い時間であれば【飛翔】も使える様になった。

彼は、子供達の憧れになり術師となって彼の指導で【浮遊】の術を学ぶ。



こうなると、【プオの聖地】でも何かをという話になるが、人が住んでいて整備を進め易かった【アメ】と違い整備が進まない。

更にフロール平原が有る東の大陸に面していて、今後、【黒鳥】の監視が頻繁に通るのではという懸念も有った。

そこで、こちらは【遠見の陣の部屋】と割りきった上で、こちらには避難所で飼いきれなくなってきたトナカイとボアを放牧する。

穴を掘り攻撃的なボアは常に逃亡を図り、世話をする人間を威嚇して手に追えなくなっていた。

トナカイは運動不足になってしまい、脚を痛めて食肉にされてしまう。

野生種はやはり、ルースの聖地でも持て余している。

慣れさせて家畜化するには、まだ時間がかかるようだ。

岩陰を模した横穴に寝ぐらを作り、そこに誘導する。

一番奥には聖地に繋がる【遮蔽】と【偽装】がかかった出入り口をつけておいた。

今や、こういった仕事は新村の村長だったワッグの娘、青い髪の【創芸師】カイの独壇場だ。

弟のリョウには及ばないが【傀儡士】でもある彼女は、土人形を使って聖地周辺と浜の周囲や新村を覆っている【魔絹布】の【偽装】に手を加える。

今では誰もが入口を見出せない。

外から入ってこようとする者は、これも彼女が手をかけた【遠見の陣】から見張っている術師の連絡を受けて、迎えにいく事にしていた。

まだ少女のカイが術師達の先頭に立って、人々を守る為の仕事をする。

その青い髪が子供達の憧れになって、彼女と同じ【創芸師】を目指すその子達は髪に青いリボンを巻き彼女の指導を受けている。

時には、聖地の床に大穴を開けた様に見せかけたりとイタズラをして怒られてもいた。


聖地の農園で気づいた事だが、ボアは脚元に絡みつく事で嫌がり、山羊以外の羊や馬は『馬鹿蔦』を食べないし嫌っている。

そこでボアとトナカイを囲む様に『馬鹿蔦』を植えてみた。

効果は抜群。

外にある林には向かわず『馬鹿蔦』で囲った中にいた。

将来は、ボアにはアメの魚道で採れた魚のアラなどを処分させる。

ボアの方が綺麗好きで糞はネグラから少し離れた風下にする習性がある。

うまく誘導して処分する。

トナカイには蓄えられていた麦のうちから、状態が悪い物を洞窟内で与える。

新鮮な飼い葉もルースの聖地から供給していた。


オオカミや他の肉食獣は周辺に現れたが厚く生え揃った馬鹿蔦に行く手を阻まれて、海岸沿いに回り込むがこれも【遮蔽】で追い返すうちに諦めて他へ向かった。

人の痕跡を地上に残さない。

今は【遮蔽】を中途半端に張る事はせずにいよう。

イバ達と話し合って決めた事だ。


アメの聖地から瀬に向かって掘り進め、遂に聖地の脇に魚道を通す。

しばらくすると、その魚道を通って魚が行き来する様になって来た。

アメの洞窟内の磯溜まりにも魚影が見える。誰もがここに来ると歓声をあげる。

複数の場所から魚道を通した事で魚種も様々に増えてきて、潮の流れに寄っては北へ向かう魚も魚道に溢れる。

「これは効率がいいな」

「魚種が多いのが面白い」

養殖に関わる浜の者達もやってきて【鮭】を獲えて、腹の中の卵の育ち具合を調べていた。

卵の成熟には、もうしばらくかかるというのが皆の見解だった。

それなら、生簀で回遊させてみてはと調べてみる事にした。


養殖もそのうち考える事になるだろうが、この人数なら豊漁の時に獲って保存した量で賄える。

聖地に廻せるのであれば、それに越した事がない。

何より新村が見つかる危険性が減る。

将来を考えて、小さな生簀も作って浜で使っている餌をやってみたりしていた。


もう何人かが、この冬は残ると言い出している。

モリノの息子や孫の中には積極的に移住を考えている者もいた。

ジャリムも息子を連れて来ている。

孫がいる歳になっても、相変わらず畜産関連は彼女が仕切っている。

しかも、この孫が中々に優秀揃い。

中には早くも、二人の娘に青魔石を贈っている少年がいた。

この少年はウルマへの移住をジャリムに伝えている。

(相変わらず、開拓という言葉が好きな一族だ)

ルースは眼を細めて見ていた。


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