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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
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112 泉の球

ダイアの移住に沸いた翌日。

彼女は、朝食はムクの干した物と茶を頼んで来た。


なんでも鉱物を食した後はしばらくは、こういった食事になるらしい。

「でも、ムクの葉は毒じゃ?」

「彼女は海蛇じゃないですよ。それにムクの葉を海蛇が嫌うのは、海蛇がエラにムクの葉っぱから出る粘液がまとわりつくのを嫌うからです。毒じゃ有りません」

「現に、今ミオラさんが頂かれているのはムクの葉から作ったお茶です」

パムとパメラに怒られた。

(あんた達の妹とその夫が、そう言ったんだよ〜)


朝食を終え、早速ダイアを訪ねる。

夕べは、はっきり見えなかったが、確かに彼女の肌は美しかった。

翠と蒼を基調とした肌で、中に蛍光色の緑と青も混ざる。

紅の筋や金の鱗が煌びやかに光を放つ。

「怖くないですか?」

「いい声ですね。私の妹に聞かせてあげたい。あっ、ごめんなさい。怖くないですよ。いつまでも見ていたくなるほど美しいですから」

「それは、良かった。ありがとう褒めてくれて。妹さんは?」

「南の聖地で【遠見の術師】として周囲の警戒にあたっていますが、元々は【歌姫】です。歌を唄い、そして【サトリ】の力で人々に【安寧】を与えてくれる。優しい妹です」

「サトリですか・・・・・私たちもサトリですが【眠りを誘わせる力】に特化しています。前回、あの【黒鳥】がやってきた時も、機械でしたので何もできませんでした」

「機械と見抜かれましたか?」

「はい。・・・・・それで、私に何か出来るでしょうか?」

「出来ますよ。今、貴女の寝所を作ろうとしている遺跡ですが大変重要な遺跡です。あそこが壊されたらこの世界の聖地や避難所に有る魔素の泉が枯れます。そうなれば術師の力と魔素の力で生き延びている者たち全てが、死に絶える恐れがあります。貴女が生み出す【ヘルファ】があの遺跡を守ります。

そして、何より貴女のその【安眠の力】を貸して下さい。

お聴きでしょうが、ここには多くの心に傷を持った人が多くいます。身体の傷は私たちが治しますが、心の傷は心理士の女の子に頼むしか有りません。

今でも寝ている時に、あちらこちらで思い出して泣いてる娘や男の人もいます。すみません。少しの間眠りを与えてやってください」

「・・・・・夫が言った通りですね。ミオラさん。貴女は常に弱い者の側に寄り添う。解りましたご協力しましょう。

手が無いので握手が出来ませんが、宜しければ私の肩に触れてください」

「こうですか?」

ミオラが左手で彼女の肩と思しきあたりに触れる。

するとミオラの腕輪が微かに光り始めた。

「エッ、これは?」

「やはり、ファルバンの方だったのですね。大丈夫です。心配なされないで下さい。それどころかもうしばらくお願いします」

ダイアが、目を閉じて気持ち良さそうにしている。

「ダイア。やはりそうだったか?」

ノアが確認する。

「ミオラさん。私が鉱物を食するのは、その毒で私の体の中にある私を害する物を抑える為です。ですが、ファルバンの紋章ならば、より効果が高くその物を抑えられます。私はまだ死ぬわけにはいきません。どうか、時々、治療をお願いします」

「ミオラさん。私からも頼む。ダイアは死ななければならないが、今では無い。今ではその死に価値が無くなる」

「死に価値なんて無いです!言われなくとも治療には来ます!なんて事を言い出すのですか!ノアさん! いくらご主人でも言いって良いわけがないでしょ! ダイアさん。もうしばらく続けますか?」

「えぇ、お願いします。でも、この人を責めないで下さい。彼は私の事を思って言ってくれています。訳は今は話せません。許して下さい。時が来たら話します」

ダイアとノアがそして、息子と娘がミオラに向かって深々と頭を下げた。

「・・・・・解りました。確かに何か事情がありそうですね。私も秘密は守ります。ですから必要になったら必ず呼んでください。緊急用にこれを渡しておきます。まだ、開発中ですがこの島くらいならどこでも私には繋がります。上と下を反対側に捻ってください。私のブレスレットが反応します」

「そんな物まで・・・・・ありがとうございます。今日はこの辺で終わって下さい。これ以上はかえって毒になりそうです」


ノアが妙に強調したのは、ここに居る二人の子供は人間ノアの資質を受けていて、ダイアの様に姿が変わることはない。という事だった。

「この秘密だけは時が来るまで話せない」とノアが許しを乞う。

「大丈夫だよ。私が知りたいのはあの【黒鳥】と【銀の鳥】の事。何か、気になる事が有るの?」

ノアが口を開く。

「彼らが降り立とうとしているのは、フロール平原では無いかと思っている」


すると、ノアが人一人分より大きな丸い球を取り出した。

「これは? あの・・・・・」

「シャンタの遺産です。これが全ての元凶です」

「昨夜からコレを調べて居たんです。ダイアも手伝ってくれました」

「ダイアさん!何をしているの! 具合が悪い人がやる事じゃないでしょう!特に昨日は引っ越ししたばっかりでしょう!」

ミオラは、片手でノアの頬を摘みあげてダイアをキッと睨みつけた。

「ごめんなさい。ミオラさん。でも、コレを見たら無理はないです。謝りますから話を聞いて下さい」


頬をさすりながらノアが続ける。

「良いですかこの軸が刺さっている部分、ここがあの遺跡です。そして小さくて見えにくいですけど、周囲に避難所に二つの聖地。青いのは海で茶色いのは大地。

そしてこの島の西側の海峡を下って行くと内陸に【聖地】が有って突き当たりの湾の奥に【シーグス】が有って・・・・・」


「ちょっと待って。もしかしてこれは私たちがいる大地?」

「そうです。アーバインと呼ばれる星の姿を表していのが、この【泉の球】です」


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