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いつかは訪れる最後の時  作者: Saka ジ
102/926

100 餞別

先ずは100話到達です。

これからも、話は続きます。

目にしていただけましたら幸いです。

これからも

頑張って書いていきます。

翌朝。

彼らの昨夜の会話は、朝から用を足しに出た際に【遮蔽】【遮音】をかけて聞いた。

いきなり『ブスリ』と、いかれることは無いようだ。

【伝言石】はミオラの、手の中で割れ【収納】に隠された。

ミオラは、もっともらしく【風の術】で臭いを飛ばした様に振る舞って避難所に帰る。

「なんだい? 割と気を使うんだな?」

女がミオラに声を掛けて来る。

「親しき仲にも、礼儀ありだよ」

そう言いながら笑って返した。


近づいても、今では相手も攻撃してこないと言うので、カラザが居るという【聖地】を見下ろす事ができる崖に連れて来られた。

入り口は雪に埋もれて解らないが、人が出入りした跡が残っている。

ゴミを捨てに出るらしい。

もう、顔見知りなのだろう。

コチラを、確認して手を振ってさえ来た。

「完全に下に見られているね」

「仕方ないさ向こうは、術師だけでも10倍はいる。こっちも、今更中に入ったら何をされるか解らないから、これ以上の譲歩は出来ない」

「【黒鳥】、【銀の鳥】が再襲撃してくるのだから聖地に逃げ込むしか無い。アンタらはどうするんだい? 私の見立てでは確実にもう一度街を焼きに来る。避難所も一度壊しているから、もう一度、攻撃して来るだろう。何処へ逃げ込むだ?」

「数日ならプオの聖地に逃げ込むさ。先ずは黒鳥に見つからない事だな。それで、不思議に思っていることがあるんだが、昨日話した北の住民達が【黒鳥】に見られているのに攻撃されていない。何故だ?」

「彼らは、どういう暮らしをして居る?」

「寒さを凌ぐために、南向きの崖に穴を掘って暮らしている。薪木を使って暖を取る。尖った葉の背の高い木が茂った森が有るんだ。そいつが、油を含んだ枝を落としてくれるから薪木には困らないんだ」

ミオラは知らなかった。

「そうなんだ、私はてっきり低い木々ばっかりになると思っていた」

「海岸線はそうだが、内陸部分は森林が広がって居るんだ」

「黒鳥は海岸線を重点的に見て居るし、丘の上など目立つ場所もそうかも知れない。彼らは【黒鳥】に攻撃した事は有るのかな?」

「おそらく無いだろう。私達の【火の術】を見ただけで逃げ出したくらいに臆病だ。トナカイや熊に斧一本で向かっていくほど勇敢なんだけどな」

「彼らに理解できない事に対しては臆病なんだろう。反撃出来ない武器や建設技術が無ければ襲わないのかも知れない。いつでも殺せる。その考えがチラつく」

「なら、聖地に飛び込むところを見られても大丈夫か?」

「それは無理だろう。街のそばに住んでいるんだ、当然そこの住民と思うだろう。黒鳥に見つからない様にする事が必要だろう」


ミオラの考えは的中していた。

ルベルのブラドが、痛めつけ甲斐が有る者を優先していたから。

【黒鳥】を見て逃げていった姿を見てリストから外していた。


海を見ていて気が付いた。

船は何処だ?

聞いてみると舟は、冬には波が高くて使えない。

彼らが逃げ出した時には今は波を被って居るが、平らな岩場に船が並んでいたそうだ。

冬以外は、海に潜って海藻や貝を採っている。

「豊かな海みたいだな。危険な魚は居ないのか?海の事はあんまり知らないから教えてくれ、と言っても泳げないし、また来ることもないだろうけど」

「海蛇だな。特にこの辺りには多いんだ。岩の隙間や岩の下から襲ってくる。特に聖地前の海は海蛇が多い。私も何度か噛まれた事がある」

「そいつは嫌だな。まあ泳げないから潜る事はないが、磯に出るのも危険なのかな?」

「あぁ、海蛇って奴はしばらくの間なら砂浜にでも上がる。棒っ切だと思ったら、海蛇だった事は何度もある」


(ムクの効果を隠している。海岸に出させない様にして居るな)


「元々、ヘビでも苦手なんだ。近寄らないでおこう」

震えてみせた。

「それが良い。他に聞く事は?」

「食糧だな。小麦は麦畑の跡に自生しているのを刈っているのか?」

「もう、聖地の中に保管してあった物は食べ尽くしたし、収穫は主にそいつに頼っている。俺たちもそうだ。四人で食べていける分くらいなら問題ない」

「昨日の汁の中に入っていた干したキノコや、あの甘酸っぱい木の実も美味かった。苗木ごと持って帰りたいくらいだ」

「そいつはどうかな? 今まで色んなところを見て回っているけどムクの木は、そこの海岸線にしか見たことがない。他の木や草が邪魔になるんじゃないかな」

「健康のために良いって言っていたな。『葉っぱ』はどうなんだ? 他の木々でも、よくお茶にして飲むらしいが?」

「聞いた事ないな。不味いんじゃないかなぁ? 実は甘いのに渋いのかも知れない」

「渋いのは嫌だな。そうか〜 もし良かったら少し分けてくれないか。土産にちょうど良いんだが?」

「今、持っているから少しなら分けてあげよう」

「それは助かる。手ぶらじゃ帰れないからな。冬が深くならないうちに帰るとするか」

(早く帰らせようとしてやがる)


「他にはないか?」

(帰る気になりやがった。あと一押しだな。最後の質問はもちろんコイツだよな)


「やはり、見捨てるのか?」

「そうだな。若い連中だけ解放してくれと言っては居るんだが、それじゃ、逃げ出して【黒鳥】や【銀の鳥】が来ない場所に行くしかない。今では若い連中も率先して働いているとも言っていた」

「そうだな、キラと・・・・・ペル。彼らだって逃げ出したのは案外、子供が欲しかったから逃げ出したのかもな。私には理解出来ない事だがな。子供苦手なんだ」

「私もそうだな。もうこの歳じゃ子供は無理だが、この部隊に志願したのは家に縛られる女になりたく無かった」

「アンタも色々あった様だな。解った。出来る限り自由を効かせてやってくれと交渉してくれ。若い連中の中にはやる事が出来るが子が欲しいやつも居るから、春から秋に街で麦をやらせて、冬には聖地で暮らさせては? 子供ができたら余計に土地を離れないだろう。そうすればこの後心配がいらないだろう」

「なるほど、子供で縛るか・・・・・ 良い提案かもな」


女と、歩きながら海岸線を北に歩く。

「どうする、ここからなら対岸に渡るための瀬が近いぞ、だが舟はどうする。そもそもどうやって来た?」

「海沿いに対岸を小舟で漕いでやって来たんだが、こっちに着いた途端に流された。舟も欲しいのだが」

「結構、不器用だな。俺たちが乗って来た船が残っている。もう古いから沈まない様にな。おい、ムクの実を渡してやれ。昨日のウサギの礼だ」

後ろにいる男が、【収納】から袋を取り出して投げてきた。

それを受け取る。

腕輪は静かだ。

「それで、食糧はどうなんだ? 」

「あぁ、少しなら収納に入れている。帰りは潮が向こうに流れているから数日でつけるだろう。来る時は潮を見ながらやって来たから20日ほどかかった。アイツら生きているかな?」

「そんなに弱っていたか?」

「いや、晴れて二人で子作りするんだ。喜びすぎてなんとやらだ。」

「アハハ、そりゃ有るかもな」






出来るだけ登場人物や地名は使わないようにしています。

私も資料を見直すのが大変なんで。

ご理解願います。

【領主の街】はその時に合わせて名称を変えています。

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