クリスマスの笑顔に
私はサンタさんになりたい。
私は、ぬいぐるみで一年中、棚に座っている。よく遊んでくれた女の子も今は学校に入ったのであまり遊んでくれない。
なのにクリスマスになると毎年忘れずにサンタさん、サンタさんという。
「○○ちゃんがサンタさんに手紙書いたって」
「□□ちゃん、さんたさん来なかったって泣いていた」
サンタさんは世界中の子供に愛されている。
だから、私もそのような存在になりたい。
ただ、棚の上に座っているだけじゃなくて、世界中を旅したい。
そうやって強く願った。
「メリークリスマス。うさぎさん」
優し気な声がした。
腕が動く。心臓がどくんと動いたのを感じた。
「一緒にクリスマスの夜の旅に行きたいのかな」
「ええ、そうです」
人生で初めて動いた口に驚きながら、私は答えた。
「連れて行ってください」
サンタさんは少し考えるそぶりをした。でも、すぐににっこりと笑った。
「さあ、いこうか」
気が付くとそりの上にいて、サンタさんが隣に座っていた。そりはゆっくりと滑り出し、だんだん加速していった。驚くことにそりは空中に浮いていて、鳥のように街を上を飛んでいく。
私は動けるようになった口でサンタさんに言った。
「まずは何をするんですか」
「星になるんだ」
「星?」
「そう、星だ」
どういう意味かがわからなかったが、サンタさんは今に分かるよ、と笑った。
サンタさんは足元から大きな袋を取り出した。中には何か、たくさんの物が入っている。
「中を見るかい?」
サンタさんが袋の口をこちらに向けて見せてくれた。
「うわあ」
金色に輝く砂の粒がそこにはたくさん入っていた。
「これをこのパイプに入れるんだ」
そういいながらサンタさんは前の方についていたパイプに袋のなかの粒を流し込んだ。
そりはしばらくガタガタと音を立てた。
サアー
そりの足元から色とりどりの光が流れ出して、町に落ちていく。
「これが星になるってことだよ」
まるですべるように星となって飛んでいく。
気持ちいいと思った。
「プレゼントはどうやって渡すんですか」
星となった興奮が少しだけ小さくなったころに、まだそりに乗り続けているサンタさんに私は聞いた。
「この光がね。夢を持っている人にかかると、…ほら」
サンタさんは町の一角を指さした。
「すごい」
「治った。歩けるようになったよ!」
「クリスマスの奇跡だ!」
「あれは…」
「あの男は小さいころから歩けなかったんだ」
サンタさんは優しい目でこちらを見た。
「でも、この光を浴びて強く願ったことから足が治って歩けるようになったのだ」
「すごい…」
だけど…
「あの、プレゼントは渡さないっていうことですか」
「この光がプレゼントだ」
「でも、それじゃあ」
さみしい、ということを私は言えなかった。
「いいんだよ。感謝なんてされなくても、寝顔なんてみなくても」
「じゃあ、なんでプレゼントを渡すんですか」
「なぜなら…。うん、そうだね。ねがいっていうのは必要だからねがうんだよ」
「必要だから?」
「みんながうれしい時ぐらい、かなえてやりたいじゃないか」
「私、サンタさんに向いていないかもしれません」
「そうだね」
帰ろうかとサンタさんが言った。
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「私のうさぎさんはどこ?」
とある町のクリスマスの夜、女の子がないていました。
女の子の大切にしていたぬいぐるみがどこにも見つからないのです。
いつも棚の上に座っているうさぎのぬいぐるみがどこに行ったのか、部屋のどこを探してもありませんでした。
女の子のお母さんはもう、寝なさいと言いました。
でも、どうしても諦めきれないのでずっと一人で探していました。
その時です。
きらきらと光る星が部屋に道渡りました。
「こんばんは」
急に現れた男の人は赤いスーツを着て、白いひげを生やしていました。
「サンタさん…?」
「そうだよ。…ごめんね、君のうさぎさんを借りていたんだ。ほら」
「うさぎさん!」
サンタさんの手にはうさぎさんが乗っていました。
「さあ、もう寝るんだよ」
「サンタさん、ありがとう!」
稚拙な表現ばかりでした。
ここまで読んでくださり、マコトにありがとうございます!