3-29.かつての盟友
──翌々日。
ポリアの観光と桜華の準備がある為、
一日置いて出発する事になった。
その当日である。
再び指導者の間に集まり、幾つか話を受けた。
「……よし、話は以上じゃ」
「それでは……行って参ります!」
挨拶などを済ませ、立ち上がって部屋を後にする。
アインズ、ポリア、ユウキに続いて桜華も──
「ああ、桜華や」
「はい?」
「すまぬ、一つ忘れておった。港へ行く前に寄ってもらいたい所があってな。頼まれてくれるか?」
「はい。何処ですか?」
「南側の河川敷は分かるな?」
場所を聞いた彼女は、一瞬顔をしかめる。
「……え?」
「そこで怪しげな集会が開かれていると報告が上がっていてな。特に害があるわけではないのじゃが、一応、見るだけ見てくれ」
「えっと……どうして私に?」
「なに、ついでじゃ」
──ついでって……
天舞音の言葉に違和感があったのは、ユウキもアインズも同様だ。
それもそのはず、ここウルスリーヴル城から港へ行くのに、南側は通らない。
ついでと言うには余りにも余計な寄り道である。
「城門にもう一人待たせてある。その者と共に行っておくれ。頼んだぞ」
部屋を出て廊下を進み、城門へ。
──あの人かな?
防人の女性が一人、門の横に寄りかかっている。
天舞音の言っていた『もう一人』だろうと、その人物の元へ向かう。
「あれ、小町? 何してんの?」
桜華のかつての盟友、小町であった。
共に防人となった二人だが、仕事の都合上、以前ほどの頻度では会えていない。
「ん? 桜華じゃん。なんか天舞音様にここで待ってろって言われたんだよね。……誰かと一緒に河川敷を見に行けってさ」
「じゃあ、もう一人って小町のこと? 同じこと言われてるから、それ私だよ」
「……私らにあそこを見に行けって? なんのつもりなんだろう」
ふとユウキらに目がいった。
「あ、その人達が旅の相方?」
「旅のこと聞いてたんだ。そう、ユウキ殿にアインズ殿、ポリア殿だよ」
「こんにちは」
ポリアに続き、ユウキとアインズも軽く挨拶をする。
「この子は私の部下、小町だよ」
「おい」
「わわっ! 嘘嘘! 刀抜かないで!」
──ウルスリーヴル国、南
「ごめんね、三人まで巻き込んで」
「いえ、大丈──」
「街並みを観察出来るので大歓迎です!」
──まだ見るところあんの?!
天舞音から指示された河川敷へ。
防人になってからは城内かその周辺での仕事が殆どであった二人。
あれ以来、この南側へ来たことは無かった。
「集会って……あれですか?」
まだ少し距離があるが、確かに人が集まっている。
集団で剣の練習をしているのが見てとれる。
「うん、多分。ねぇ小町、あれって……」
「行ってみよ」
桜華と小町は目を見張り、顔を合わせたかと思うと
早足でそこへ向かった。彼女らをユウキたちも小走りで追う。
「……」
何も言わずに集団を眺めるその目には、
うっすらと感情の雫が見られた。
見ると、六人が前で手本を演じ、他の者たちは
それを見て各々刀を振るっている。
道場などでよく見られる光景だ。




