表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】天ノ恋慕(旧:太陽の少年は月を討つ)  作者: ねこかもめ
第三章:乖離
62/180

3-11.奇襲する蛇

 現在の大蛇では、幹部一人に平均して

三人から四人の部下がついている。


桜華のアジトには部下が四人所属する。

そこへ、防人が十人も迫っていると言うのだ。


「これ、防人の……ですよね?」


「うん。遅かったかな」


アジトの玄関をくぐると、

さっそく提灯の残骸が見られた。


単に落ちているのではなく、

刀で斬られた痕跡が見られる。


それすなわち、戦いが始まっている、

または、もう終わった事を意味する。


「……」


出来る限りの大急ぎかつ、

なるべく足音を立てないように内部へと進む。


特段大きな建築物ではないが、

今は屋敷のごとく、異様に広く感じられた。




「……居る」


部屋の前に到着。

聞こえるはずのない、大人の男たちの声が聞こえてきた。


「ここには五人居ると聞いたが」


「ああ。今のところ三人か」


「あとの二人はどこだ?」


──私たち以外は、もう


──こんな事ならっ!


最初から、小町の言うようにアジトに

居れば良かったものをと、桜華は後悔した。


──どうすれば……


いくら剣に自信があるとは言え、さすがに防人

十人を同時に相手するのは分が悪かろう。


妙な二つ名を自称する彼女とて、

現実が分からないほどの愚か者ではない。


「桜華さん、これ」


「ん?」


小声で何か提案をしてきた部下は、

手のひらサイズの煙玉を持っていた。


緊急時用にと、組織の何人かに配られたものである。


「そうだね、今が使い時か」


桜華は煙玉を受け取り、廊下に転がる提灯に

残った微かな火種を使って着火を試みる。


「いい? 私が合図したら突入、防人の足を狙うから、君は襟を引っ張って背中から倒しちゃって」


「分かりました」


自力で立ち上がれない状態にしてしまう作戦だ。


無事な者が仲間の介抱に入れば、

それはそれで狙い目である。


──よっし、着いた!


なんとか着火に成功。


火が本体に到達する

ギリギリまで耐え、部屋に投げ込んだ。


「ん?」


「なんだ⁈」


「くそっ、煙幕だ!」


防人たちの驚く声を聞き、


「行くよ!」


部下に合図を送った。


──まず一人!


──二人!


──三人!


障子のそばに居た三人を無力化。


目論見通り、自ずから立って

反撃するのは困難そうであった。


──四、五、六!


捕縛された部下を監視していた三人を、さらに無力化。


彼らもまた後ろに倒される。


十人と言う情報が正確なら、

あっという間に過半数を撃破したことになる。


「なんだ、何事だ⁈」


隣の部屋を捜索していた二人の防人が、

異常を察知して現れた。


煙幕。


倒れる防人仲間。


ただ事ではないぞと、真剣を抜く。


しかし、やる気になった桜華を

前にしてそれでは、余りに遅すぎた。


「はあっ!」


「うぐっ⁈」


──七人


「ぐあああっ⁈」


──八人!


──あと二人!


「桜華さん、もう煙幕が!」


「分かってる!」


頼もしき目眩しが限界を迎えつつある。


──残りはどこ?


周辺を警戒しつつ、部下を解放していく。


体に巻きついた縄を刀で少しずつ削り切る。

口を塞ぐ捻り布も解く。


「ごめん、私、不在にしてばっかりで」


「いえ! それより、防人は全部で十人です。あと二人、何処かに──」


「動くな、ガキんちょども!」


──っ!


「んん! んんん!」


静止を促す声。


見ると、共に突撃した部下が捕まっていた。


防人の大男に両腕を鷲掴みにされたうえ、布で口を塞がれ、

刀を喉に近付ける事で反撃を抑止されている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ