3-2.鎖国の地
ブライトヒル王国から旅立ったクライヤマ出身の少年ユウキと、
ブライトヒル王国騎士団第一部隊長アインズ。
二人は、ブライトヒル王国との友好国である
ニューラグーン国へ赴き、その国土近辺に刺さる鎖を破壊した。
巫女の冤罪を払う足がかりを残し、
各地の文化見聞を望む少女ポリアを連れ、
次なる目的地へと旅立った。
その道中である。
「ウルスリーヴル?」
「ええ。そこが、次の目的地よ」
アインズが手綱を握り、ユウキとポリアはブライトヒルの座席車に。
「と言うことは、まずはハーフェン港ですね」
「そうなるわね」
「港ってことは、島?」
「そうよ。まあその辺は、ポリアの方が詳しいかもしれないわね」
「えっと、では、簡単に……」
荷物の中から筒状に丸められた地図を取り出す。
それを広げ、ペンにインクを着けて解説が始まった。
「まず、ここがウルスリーヴルです」
クライヤマから見て、極東に位置する島が丸で囲まれた。
ブライトヒルやニューラグーン、クライヤマなどがある場所を
大陸とするのなら、ウルスリーヴルは海に囲まれた島国となる。
「ここへ行くには、ハーフェン港で所定の手続きをしないとダメらしいです」
「……手続き?」
「はい。この国は今、国交をほとんど絶っているんです。なので、許可を得ていない船は入港も許されないかと」
「そうなんだ。ちょっと、クライヤマに似てるかもね」
「確かクライヤマも、周辺の国とはあまり関わってないんですよね⁈」
ユウキの呟きに食いついたポリアは、
新たな知識を得られるかもと、目を輝かせながら聞き返した。
「え、う、うん」
彼女の圧に押されながら肯定の返事をした。
「あっ、ごめんなさい……。ウルスリーヴルは昔から、攻められたり同盟を持ち掛けられたりすることが多かったみたいです」
気を取り直し、ポリアは説明を再開した。
ユウキもまた姿勢を直し、聞き入る。
「ウルスリーヴルは資源が豊富だって聞いた事があるわね」
「そうなんです。それを目当てに他国が干渉するんだそうです。ただ彼らとしても、その資源は自分たちで使いたく、煩く感じて交流を絞っているんです」
「へえ……」
それ即ち、鎖国状態であると。
そんなウルスリーヴルへ入る唯一の手段が、
ハーフェン港にて正規の手続きを行う事であった。
「ちなみにですけど」
何か思い出したかのように、新たな解説を付け加える。
「ウルスリーヴルは戦争をしたくないらしいですが、防人と呼ばれる国防組織は、かなり強力だって聞いた事があります」
「なるほど、そうだったのね。だから……」
過去において、ブライトヒルが
ウルスリーヴルを攻撃した事は無かった。
強力だという「防人」を懸念しての事だったのだろう……
と、アインズはそう考察した。
加えて、国土面積だけを考えれば、ブライトヒルよりも
ウルスリーヴルの方が大国と言えてしまう。
「それと、特徴的な統治体制が採用されてます」
「特徴的?」
「聞いたことないわね」
これはアインズも知らない様子だ。
「はい。ウルスリーヴルでは、建国から今に至るまで、必ず女性が統治者になっているんです」
「そうだったのね」
「統治者って程じゃないけど、クライヤマも似たような感じだったな」
「クライヤマも代々地位を継いだ巫女様がいらっしゃいますもんね⁈」
「う、うん……」
──クライヤマの話になると凄いな
「あっ、つい……。あとは……島国ですから、食べ物は海産物が多いみたいですね」
「あら、それは楽しみね」
「……旅行?」




