2-32.国王からの贈り物
その翌日。
もろもろの準備を終えた二人は、最後に再び王城へ。
二人が不在の間に、宿に手紙が届けられていた為だ。
差出人はニューラグーン国王であり、四班を含めて簡単な送別をしたいとの事である。
前回とは違い、晴れ晴れとした気分で廊下を進む。
「こちらです」
案内人に指示された部屋へ。
取っ手を押して扉を開く。
「ああ、ご足労頂きありがとうございます。どうぞ、こちらへ」
「この度は、大変お世話になりました」
先導のアインズが王の姿を確認して言った。
彼の周囲には見知った顔──四班の面々が立っている。
「お世話になりました。本当に」
「こちらこそ。お二人の功績で、我が国に蔓延する不安や不満は次第に解けるでしょう。本当に、ありがとうございます」
城へ至る道中においても、東に異物は確認できなかった。
「突然お呼び立てして申し訳ない。本日は、お礼をしたく、機会を頂きました」
「お礼なんてそんな」
「いやいや、お二人がニューラグーンの騎士なら、即時昇進させるレベルのお話ですよ」
幾ばくかの言葉を交え、話は本題へ。
「さて、あまりお引き留めも出来ませんでしょうから、早速お礼の品をお渡ししますよ」
「すみません」
入ったばかりの部屋を出て、城の裏口から外へ。
手入れされた芝生の庭が広がっている。
「こちらを、お二人に贈らせてください」
「こ、こんな立派なものを?」
「すごい……」
王が示したのは、ニューラグーンの紋章が刻まれた馬車の座席車一台であった。
ブライトヒルの物に引けを取らない絢爛な逸品である。
「お役に立てましたら、何よりです」
──ちょうど良かった
同行者が一人増える予定の二人にとって、これほどマッチした贈り物は無い。
危うく、野宿の際に床か地面で寝る除け者が生まれるところであった。
「よし、これで引けるっすよ」
ブライトヒルの馬車に牽引させる形で接続が完了。
見送りを兼ねて作業を手伝った四班に、再三の礼を言う。
「何から何までありがとうございます」
「いえいえ〜、お気になさらず」
「……では、また会いましょう」
「そうですね」
「ええ、ぜひ」
「アインズさん、今度食事に──」
「では、これにて失礼します」
「とほほ……」
「またね、ユウキ君」
「はい、ユリアさん。また」
各々手を振るなど、別れの挨拶を交わした。
アインズが馬を走らせる。
馬車はゆっくりと動き出し、王や四班の面々が遠くなってゆく。
別れを惜しむような彼らの表情に、ユウキは温かさを感じた。
初対面とは違う、確かな信頼が感じられたのであった。




