表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】天ノ恋慕(旧:太陽の少年は月を討つ)  作者: ねこかもめ
第二章:破壊
49/180

2-31.新たな同行者

翌朝。襲撃を乗り越えたニューラグーン国の朝は、

普段よりも騒がしいものであった。


鎧を身に付けた騎士たちが練り歩き、被害状況を調査している。


宿の契約を延長したユウキとアインズはそこで夜を明かした。



もう一度お礼が言いたいと、ユウキは

ニューラグーンに住む少女であるポリアの家を訪ねた。


「……そうですか、あの娘がそんな事を」


襲撃が収まった後、城の医務室から自宅へ届けられたポリアは、

その間に於いても眠り続けた。


昨晩の交流があったため、ポリアの母親は恩を返すと言って、

二人を居間に上げる事は躊躇わなかった。


「はい。命を助けられた訳ですから、僕から何か恩返しがしたいのですが……」


救命の礼になるような返礼が思い付かずに居た。


──お金は僕らも大して無いし


──欲しい物?


──食べたいもの?


──ダメだ、軽過ぎる


「ポリアさん、普段何か言ってませんか?」


「あの娘は……その……」


あるにはある、と言った様子の母親。

少年は、それを教えてくれと言う意思を込めて首を傾げる。


「旅をしたい、と」


「……旅?」


「ええ。世界中の文化が好きらしく、見て回りたいと言って聞かなくて」


「旅か……」


チラッとアインズに視線を向ける。

彼女は「う〜ん」と数秒考え込み、やがて母親に問うた。


「お母様は、それについてどうお考えなのですか?」


「私は……」


視線を逸らし、斜め下を見て言葉を詰まらせながら返答する。


「娘がやりたい事をやらせてあげたい。そう言う気持ちはあります。けど、やっぱり一人で旅立たせるのは心配で……」


──まあ、そうだろうな


母親の言葉に同感のユウキではあったが、

ポリアが倒れる直前に言った事が心に残っていた。


──私を、一緒に


それはアインズも同様で、今の母親の話と合わせれば、

ポリアはユウキと自身の行脚に同行したいと

考えているのだろうと、容易に察しがついた。


「あ、噂をすれば……」


二階から降りてくる足音が聞こえた。

ポリアがゆっくりと階段を一段ずつ踏む。


どうして家に居るのか。

どうやって帰宅したのか。


様々な疑問を抱えながらの歩行であった。


「おはよう、ポリア」


居間の戸を開いた少女に、母親が朝の挨拶を投げかけた。


「おはよ……え?」


人数が多い事に気付いたポリアは、まだ眠い目をこする。


「ど、どうして家に?!」


「昨日、あなたをお城から運んでくれたのよ」


「そ、そうなんですか! ありがとうございます!」


「いえいえ、僕の方こそ、ありがとうね」


「ポリアにお礼がしたくて、わざわざ来てくださったのよ」


「お礼なんて、そんな」


一気に目が覚め、スキップ気味に母親の横の空席へ。


「昨晩、私たちに何か言いかけたわよね?」


「あっ、え、えっと……それは……」


また昨日の緊張を思い出してしまった。

しかし同時に、言うと決心した事も思い返した。


背筋を伸ばし、両手を膝に置いた。

まっすぐに客人の方を向いて言葉を放った。


「私を、お二人の旅に同行させてください!」


頭を下げるポリア。

ユウキはアインズを見て返事を伺う。


──私は構わないわよ


との意思を込めて彼女は微笑みながら頷き、母親へ視線を送る。

ユウキとアインズが何と言おうと、最終判断は彼女に委ねられる。


「……約束を、してください」


迷った挙句、俯いていた母親は二人の目を見て言った。


「娘の無事を、約束してください」


「ええ、もちろん」


「この命に換えても、ポリアさんをお守りします」


「分かりました。では、娘を……お願いします」


「ありがとう、お母さん」


「勉強しに行くんだからね。遊んでばっかりじゃダメよ?」


「分かってるよ……」


家族に笑顔が戻ったところで、アインズが現実的な話を持ちかける。


「それでは、お互い準備が色々ありますし、我々は一度失礼します」


荷物の準備などと言った簡単な話ではない。

学校をしばらく休む手続きが一番の関所だろう。


一方でユウキらにも、それなりの準備がある。

次の目的地までの食料や水が必須だ。

ポリアと別れ、いったん宿へ戻る。


「護る物ができたわね」


「ですね」


個人的な理由で始まった旅は、ポリアの同行によって

ユウキだけのものでは無くなった。


ここからは彼女を預かる責任が生じる。

その緊張がまた、ユウキを鼓舞するのであった──。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ