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【完結】天ノ恋慕(旧:太陽の少年は月を討つ)  作者: ねこかもめ
第二章:破壊
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2-26.進むべき道

 ──ポリア。あなた、進路はどうするの?


 ──ポリアさん、そろそろ進路を決めないと


「進路……進路ね……」


親からも教師からも、嫌という程言われ続けたセリフが、

耳鳴りとなって彼女に襲いかかる。


学校が終わって自室へ戻った彼女は、

ルーティーンを済ませた後、頭を抱えていた。


「文化の勉強がしたいです」


世界の何処にどんな人達が居て、どんな暮らしをしているのか。


どんな服を着て、どんなものを食べ、何を娯楽としているのか。


何を信仰しているのか。

どのような歴史を持っているのか。


世界中のそれらに興味があった彼女は、

進路を問われても、今一つピンと来る事が無かった。


「では、文化系の学校を紹介しますよ」


中には、そう言った学問を専門にしている学校もある。

しかし、ポリアが学びたいと考えているのは、そんな物ではない。


各地の文献を集めて、ああだ、こうだと

考察するだけなら、今すでに行っている。


「実際にこの目で見たいんです」


「見たい?」


「見て聞いて、体験したいんです」


「それは……難しそうですね」


「私、旅に出たいんです」


「旅?」


「各地へ行って、文化体験をしたいです」


何度目かに進路指導で呼ばれた時、彼女は自身の願望を吐露した。


しかしそれは、現実的な想いではない。


主に安全面の懸念が大きい。決して平和的でない国も存在する。


そんな中に、十五歳の少女を「はい、どうぞ」と

一人放つ訳にはいかないだろう。


教師も親も、心配で堪らないからだ。


せめて護衛があれば、とも考えられる。


しかし、あくまで個人でしかない彼女の旅を

支援してくれるほど、騎士団も暇を持て余してはいない。


「また後日来てください。進路について、もう一度よく考えてみて下さいね」


「はい……」


と、あからさまな否定ではないものの、

己の希望を却下されたが為に、こうして苦悶している。


部屋に籠り、何を考えてもやりたい事など見つからず。

その間思い付くのは、世界行脚の理想のみ。


彼女にしては珍しく、書物を開くことなく嘆いていた。


「はあ……。お散歩でも、しようかな」


普段はしない行動だが、今のポリアにはそんな気分転換が重要であった。




 母親に旨を伝え、外に出た。

陽は落ち始めていて、あまり長時間の散策は出来なそうだ。


「城下街にでも行ってみようかな」


刺激を求め、滅多に行くことのない方向へ歩む。

彼女の自宅からは、徒歩十数分ほどで城下街に入る。


たったそれだけの距離だが、街の活気に大きな差を感じる。


しかし──


「あれ……? なんか、慌ただしい?」


彼女が見たのは、活気と言うよりかは、焦燥であった。

あちらこちらに騎士が散見され、ポリアと進路を対にする。


また何人かの騎士は、人々を城の方へ案内していた。


「いったい何?」


何がなんなのか分からず、当たりを見回す。


「あれって……煙? 火事?」


比較的平和な国であるニューラグーン。

それに似つかわしくない光景が見えた。


「ううん、違う……」


火事であれば、城下街の人間が避難する必要は無い。


「お嬢ちゃん!」


ウロウロするポリアを発見した案内係の騎士が呼んだ。

かなり慌てている様子の若い男騎士である。


「さあ、君も避難するんだ!」


「避難? 何が起きたんですか?」


「バケモノだよ。バケモノが、襲ってきたんだ」


「えっ⁈」


つまるところ、先程下って行った騎士たちは、

田舎にその事実を拡散しに向かったわけである。


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